2023年2月27日

漫画を使った訴求がもたらすメリット・デメリットとは?

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漫画なんて子供が読むもの…と思われていた時代はいまや遠い昔です。

公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所が2021年に行った調査では、漫画(コミック)の国内推定販売額は紙媒体と電子媒体を合わせると6759億円。驚くことに出版市場全体の40%を超える売り上げとなっています。

日本の漫画は海を越えて、世界中で親しまれていることも良く知られています。

そのような漫画ですが、最近ではポスターやパンフレットなどの販促物、商品マニュアルや教材などの教育資料、官公庁や自治体による各種啓発資料、企業の研修資料など、大人を対象としたものにも漫画は多く使われています。若い世代だけでなく中高年にとっても、活字より漫画の方が受け入れられやすいのかもしれません。

そこで今回は、チラシやパンフレット、マニュアルなどを漫画化することのメリット・デメリットをご紹介したいと思います。

漫画化のメリットとは

漫画化のメリット1.手に取ってもらいやすくなる

何と言っても親しみやすく、手に取ってもらいやすいのは漫画ならではの特徴です。

興味のない分野であっても、漫画なら読んでもいいと思うことはありませんか?

例えば同じ内容の本でも、表紙がイラストの場合とそうでない場合、2種類あればイラストがある本を手に取る方が多いのではないでしょうか。

漫画とまではいかなくても、少しのイラストがあるだけで親しみやすさが増しますよね。「読みやすそう!」と思わず手に取りたくなるのは漫画化のメリットと言えます。

漫画化のメリット2.わかりやすい

漫画の特徴である、連続する絵(コマ)と吹き出しによるストーリーは、難しい内容をわかりやすく表現することができます。

研修資料や業務マニュアルに漫画が採用されるのは、そのわかりやすさからです。漫画には、難しい内容でも多くの人の関心を惹きつける魅力があります。歴史を扱った学習漫画が長年にわたって子供たちの支持を受けているのもそうですし、漫画をきっかけに化学や医療など専門分野を勉強する人が増えたり、就職志望者が増えたり…という話も耳にします。

漫画は人の気持ちを動かす、強い力を持っているといえるのではないでしょうか。

漫画化のメリット3.スペースが省略できる

文章なら何行何ページに及ぶ説明も、漫画であれば1カット1ページで簡単に説明できてしまいます。

例えば、細かい描写が必要な景色の説明も、漫画1コマで表現が可能です。情報量の多い内容を少しのスペースで伝えることができるのは、漫画の大きなメリットです。

漫画化のメリット4.老若男女に読んでもらえる

手にとりやすいということは、老若男女、多くの人に読んでもらえるということです。漫画は若い世代向けのものと思われがちですが、意外にも幅広い世代に受け入れられています。

こちらは、40〜50代の女性をターゲットとした美容サプリメントの販促漫画です。サプリメントを飲んだ効果の先にあるものを漫画で表現しています。

40〜50代の女性をターゲットとした漫画の例

漫画は老眼など視力の衰えた高齢者に対するアプローチツールとしても有効です。小さいコマ割りを避け、大きい文字(フォント)による画面構成を行うことで、視認性、文字判読性を高めることもできます。

国民的アニメ「サザエさん」の漫画連載開始はなんと1946年。日本中の子供たちを熱狂させた「鉄腕アトム」も1952年に連載をスタートしています。漫画は「子供が読むもの」ではなく「子供のころから読んできたもの」なのです。

小学生からお年寄りまで、幅広い年齢の人々に読んでもらいたいコンテンツにも、漫画は有効的なツールと言えるでしょう。

漫画化のデメリットとは

もちろん漫画化のデメリットもあります。

漫画化のデメリット1.細かい内容がカバーできない

漫画はわかりやすさがメリットである一方で、わかりやすさを追求するあまり、要点は押さえているものの詳細は省略することが多いです。

「漫画で分かる〇〇」など、近年、多くのビジネス書や啓蒙本が漫画化されていますが、漫画では書籍の全ての情報を網羅しきれていないことが多いのです。

漫画化のデメリット2.イメージがポップに見える

漫画は親しみやすさがメリットでもあるのですが、「軽く見える」「威厳がない」といったネガティブなイメージを持つ人もいます。

例えば高級ブランド、ラグジュアリーブランドなどの販促には、ポップなイメージを抱かせる漫画が向いていないこともあります。

漫画化のデメリット3.費用が高くなる

漫画を書く場合、通常のデザイン費に加え、漫画家への報酬や編集者などへの人件費がかかります。例え1コマ、1ページであっても、通常のパンフレット類よりは制作費用が高くなるケースが多いです。

しかし、ページまるごとではなく1コマだけ、挿絵だけなど、ピンポイントで漫画を採用する方法もあります。予算に応じて検討しましょう。

まとめ

今回は、漫画を使った訴求がもたらすメリット・デメリットをご紹介しました。               では、どのようなツールや用途に漫画を使うと効果的なのでしょうか。

まず、イラストを用いることで理解がしやすくなる商品やサービスの場合は漫画を活用するべきでしょう。

反対に、ブランディングされた商品やサービス、幼い印象にしたくない場合は漫画の活用は控えた方が無難かもしれません。

いくら特徴を持たせたいからといって、安易に漫画を取り入れる前に、マーケティング視点で向き・不向きをよく見極めてから取り入れるようにしましょう。

また、漫画を採用する場合は漫画のタッチやテイストも十分に検討してください。

例えば、真面目なトーンで行きたいならビジネス漫画系のタッチ、インパクトを与えたいならアメコミ風や劇画風、男性向けなら少年漫画風、女性向けなら少女漫画風…などターゲットによってテイストを変えて、もっとも「刺さる」漫画に仕上げることが大切です。

漫画を使ったマーケティングは、成果の高い手法として確立されつつあります。

最近では取り扱う印刷会社や制作会社が増え、以前よりも低コストで制作することが可能になってきています。目的や対象に合わせてぜひ効果的に漫画を活用してみてください 。

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