2015年9月16日

CI、VI、BIとは?会社ロゴによるブランディング価値を考える

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ロゴマークの価値はどれくらい?

何らかの印刷を依頼される際に、「ついでにロゴマークを作って欲しい」というお話をいただくことがあります。

私自身がデザインをするわけではないので、社内のデザイナーに声をかけて、「この会社がこういうコンセプトで新しいロゴマークを作りたいそうなんだけど、できるかな?」と話します。

デザイナーは、「CIはマニュアルどうします?BIも必要ですか?あと、VIにつなげます?」と私に話します。

ここですでに、ロゴマークは3つの違う捉え方をされています。

顧客…ついでにロゴマーク
私…コンセプトありきのデザインマーク
デザイナー…CI、VI、BI、マニュアルを考慮したシンボル

ロゴマークとは、単純なマークではなく、デザイン的に、事業コンセプト的に、会社や商品をあらわすためのマークであり、さらにロゴマークが事業や会社や商品の発展のために活用されなければいけません。

そこで、デザイナーが言うCI、VI、BIという考え方が出てきます。では、このCI、VI、BIとはどのようなことでしょうか。

CI(コーポレートアイデンティティ)とは

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CIとはコーポレートアイデンティティ(Corporate Identity)の略で、企業が持つ抽象的なイメージや経営理念などを統合化して、見た目であらわすことを言います。

わかりやすく言うと、ロゴマークでその企業を表現するということです。

確かに私たちは、あるロゴマークを見るだけでその企業をイメージすることができます。イメージで表現するということは、形だけではなく配色やバランスも非常に重要です。

たとえば、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートは、ロゴカラーがすぐに思い浮かびますし、ドコモ、au、ソフトバンクも何となくロゴの形が思い浮かびます。

高級ブランドが好きなら、シャネル、カルティエ、ヴィトンのロゴマークは、すぐにイメージできます。

コンビニや携帯会社などの一般的な商品に使われるロゴは、わかりやすい色、太めで安定感があり、書きやすいロゴを使うことが多く、高級ブランドは、シックカラーorゴールドorシルバーで細身のラインの上品なイメージのロゴが使われます。

VI(ビジュアルアイデンティティ)は

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VIとは、ビジュアルアイデンティティ(Visual Identity)の略で、CIではなく、商品イメージのロゴやブランドイメージのロゴをあらわすことを言います。

たとえば、さきほどのカルティエ、ヴィトンは、わかりやすいので例に挙げましたが、それぞれ会社ではないので、実はCIではなく、VIだったりします。

ちなみに、カルティエはリシュモンという会社(Compagnie Financière Richemont SA – Home)、ヴィトンはLVMHという会社(LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン)です。

ブランド=会社のように見えている場合は、VIとCIにはほとんど差はありませんが、ソニーのVAIOや、ユニクロの(本当はファーストリテイリングの)GUは、うまくVIができているのではないかと思います。

BI(ブランドアイデンティティ)とは

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BIとは、ブランドアイデンティティ(Brand Identity)の略で、CIやVIのように見た目でアイデンティティを持たせようというものではなく、特徴や個性などを明確にし、価値としてブランディングしていくことを言います。

つまり、CIやVIをより明確にブランディングし、価値を高めていく考え方がBIです。

これは、マルチメディア戦略やクロスメディア戦略をどこまで取り入れていくのかを考えなければいけません。

たとえば、わかりやすいものはアパレルブランドのロゴの使い方です。胸や肩に入ったロゴマーク、その大きさ、色使いによって、その服の価値が変わってきます。

アパレルブランドのロゴマークはVIが多いのですが、これをどのようにブランディングし、ロゴをどのように使うかは、BIの考え方によって分かれます。

CI、VI、BIとマニュアルの関係

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このように、ロゴ1つをつくるためには周辺要素を十分に考慮して取り組まなければいけません。

また、CIを戦略的に作るためには作成後にどのように使われるのかをマニュアル化しなくてはいけません。

ロゴの色や比率、好き勝手にあらゆるところに使ってしまうと、コーポレートアイデンティティという名前に反してしまいます。

たとえば、セブンイレブンのロゴを青に変えると、セブンイレブンの認識は薄くなってしまいます。シャネル取扱店が、勝手にシャネルのロゴをチラシに使うと、ブランドイメージが下がってしまいます。

そのため、ロゴに使われる色、比率、背景の色は、非常に厳格に決められるべきで、使われる場所は、会社の名刺、パンフレット、自社サイト、商品パンフレットなどと制限があるべきです。

そして、マニュアルにない要素を盛り込んだり新しく使いたい場所がある場合は、適当にOK/NGを決めるのではなく、広報や法務部に許可申請することで、社内におけるロゴの重要性も高めていきます。

このようなマニュアルがあり、仕様のルールが決まっているため、私たちは「あるシチュエーションで見かけるあのロゴ」という意識が高まり、ブランディング効果が増します。

また、厳格なルールがあるため、そのロゴを使う社員としての自覚を持ち、組織の一員としてルールを逸脱しない行動が生まれるという効果ももたらしてくれるのです。

会社ロゴによるブランディング価値まとめ

もちろん、中小企業や地方企業においては、CI、VI、BIを意識して得られるメリットは少ないかもしれません。

まず、自社がどこまで企業イメージを大切にするのか、ロゴによるブランディングが市場にどこまで影響をあたえるかを予測した方が良いでしょう。

ロゴとそのブランディング価値をしっかりと測ることができないと、市場の思いと価値が乖離してしまいます。

東京オリンピックで話題になったロゴーマークですが、あれはコンペ形式で行われ、採用賞金100万円が支払われたそうです。

パクリ疑惑がどうなのかは、おいといて、

デザインに関係がない一般の方はあれを見て、「こんなの誰でも思いつきそう、これで100万円ってラッキーじゃん!」と考えるかもしれません。

私は、オリンピックの価値を考えて、「よくこんな金額で公募したな。ヘタすれば桁2個違うんじゃないの?」と考えます。

デザイナーは、オリンピックの歴史の深さと作業量を考えて、「公募はきついな。名前を売りたいわけでもないし、名誉職とかどうでもいいから、自分はやりたくないわ」と考えます。

すべてあくまで、個人の感想です。

ロゴマーク1つでこんなに意見や取り組む姿勢が分かれるほど、価値観がバラバラなロゴマークに相応の値段をつけるというのは難しい作業です。

今後、ロゴのお値段に関しては、一般的な作業量にかかるコスト+ロゴを使用したものの売上の0.01%が入る仕組みを作るというのはいかがでしょう。

冗談ですが。