2016年2月3日

反響率を上げる正しいDM(ダイレクトメール)ターゲットの設定方法と流れ

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

DMの反響率を高める要素とは

「DMを送っても、予想していたほどの効果が出なかった……。」という経験は誰にでもあるはずです。

ではあなたはDMの反響率が悪い場合、何が原因だと考えますか?

DM販促において「想定した効果が出ない」「反響率が低い」場合は、目的とターゲット、ターゲットへのクリエイティブ訴求が咬み合っていない可能性があります。

例えば、男性宛にレディース服や子供服のDMが届いたら、迷わずゴミ箱行きです。開封すらされないでしょう。

DMには大事な要素がいくつかありますが、上記の場合はターゲティングのミスです。

以前、DMの反響率を上げるには4つの要素があるとお伝えしました。

DM成功法則の4大要素1.ターゲット
DM成功法則の4大要素2.オファー
DM成功法則の4大要素3.タイミング
DM成功法則の4大要素4.クリエイティブ

参考:
DM(ダイレクトメール)の反響率を上げる4大要素と5:2:2:1の法則とは

この中でも、ターゲットの選定(ターゲティング)は一番大きな要素であり、その比率は5割と言われています。

そこで今回は、DMにおけるターゲティングの重要性と、正しいターゲティング設定方法をご紹介したいと思います。

ターゲティングを行う前提条件

ここで改めて、ターゲティングについておさらいしてみましょう。

ターゲティングとは、セグメンテーションの結果、自社商品の参入すべき市場を選定する行為のことです。

選定には、ターゲットの市場規模やニーズなどの複数のセグメンテーションの軸を組み合わせて、理論的に市場を攻める理論を組み立てなければいけません。

参考:
商品市場価値を高めるSTP分析の意味と使い方事例

ターゲティングとは、ターゲットとなる市場を選定する行為を指しますが、DMにおけるターゲティングは、手元にある顧客リスト・見込み顧客リストを基に、条件にマッチした対象にピンポイントでDMを発送することを指します。

つまり、DMを成功させるための前提条件として、ある程度の量のリストが必要だということです。

どのようにリストを集めれば良いかはまた別でお伝えするとして、手元に様々な情報を持つ顧客・見込み顧客リストがあるほど、DMを送った時の反響数が増えることは想像できるはずです。

あとはリストという宝の山から効率良く宝を発見するために、正しいターゲティングを行えば良いだけです。

ターゲティングの方法1.DMの目的を明確にする

ターゲットを決めたいからと言って、最初から「どんな人達にDMを送ろう……?」と考えるわけではありません。

最初に行なうことは、なぜDMを送るのか、その目的を明確にすることです。

なぜなら、目的が主になってターゲットやクリエイティブ内容が変わるからです。

目的には新商品、キャンペーン告知による来店促進、休眠顧客の再喚起、ロイヤルカスタマーへのメリットやベネフィットの提供など様々ありますが、あなたがDMを受け取ることを想像すれば、目的によってターゲットや内容が変わるのは想像できるはずです。

そのため、まずはDMを送る目的を明確にしてください。

目的を明確にすれば、ターゲットの骨格が見え始めます。

化粧品会社によるDMプロモーションを例にイメージしてみましょう。

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目的:春夏向けの新製品告知による来店促進
※東京・神奈川・埼玉・千葉のエリア限定プロモーション
商品:化粧品(ファンデーション)
価格:4,000円(税別)
対象年齢:20~34歳
商品特性:
乾燥や皮脂に強い、長時間くずれにくく肌荒れも少ない
シミ・くすみ・毛穴も自然にカバーしてなめらかな仕上がり
SPF30(やや強め)
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ターゲティングの方法2.セグメンテーションを行う

セグメンテーション

具体的なターゲティングの前に必要な作業があります。商品やサービスの顧客がどの市場にいるのか、市場を細分化していく作業です。

この行為をセグメンテーション(グルーピング)といいます。

費用対効果の高い商品訴求をするためには、セグメンテーションで市場の構成要素を明確にして、セグメントのニーズと商品特性に何らかの接点を見出さなければいけません。

参考:
商品市場価値を高めるSTP分析の意味と使い方事例

上記図では、色と形という2種類の要素(属性)でセグメンテーションを行っていますが、できるだけ多くの属性を軸にしてセグメンテーションを行うと、ターゲティングがより正確なものになるでしょう。

ちなみに、セグメンテーションの内容は対象がBtoBとBtoCかで分かれます。つまり、企業を軸に考えるか個人を軸に考えるかという違いがあります。

例えばBtoBであれば、業界や業種、従業員数、エリアや部署、営業対象者の役職などの属性を基にセグメンテーションを行います。

BtoCであれば、性別、年代、職業などの個人の属性、もし顧客なら商品回数や頻度、金額などの属性を基にセグメンテーションを行います。

例の化粧品はBtoCの商品です。今回は「性別」「年齢」「職業」「購入履歴」「居住地域」でセグメントします。

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性別:男・女
年齢:10~14歳・14~19歳・20~24歳・25~29歳・30~34歳・35~39歳・40~44歳・45~49歳・50~59歳・60歳以上
職業:会社員・公務員・自由業・自営業・パート/アルバイト・専業主婦・無職
平均購入価格:~999円・1,000~2,999円・3,000~4,999円・5,000~9,999円・10,000円以上
最新購入歴:1ヶ月以内・3ヶ月以内・6ヶ月以内・1年以内・2年以内……
居住地域:北海道・青森……宮崎・鹿児島・沖縄(都道府県別)
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これはあくまでも例なので、商品や目的によってセグメントの大きさは変わります。

居住地域であれば、北海道・東北・北陸など、大きなエリアでわける場合もあれば、市区町村で分ける場合あります。

ターゲティングの方法3.ターゲティングを行う

ターゲティング

セグメントされた市場から、商品やサービスにマッチする人、訴求する人(もしくは企業)に狙いを定めます。これがターゲティングです。

DMの場合は、商品特性に加えて目的による絞り込みが必要になります。

今回の化粧品は、そもそも商品の対象が「20~34歳」と設定されています。また、DM送付はエリア限定のプロモーションです。

商品特性(コンセプト)と目的をかけあわせ、セグメントの中からターゲットを選定します。

ターゲットの設定は具体的なほど良いでしょう。「あっちもこっちも」と無闇にターゲットを広げると、クリエイティブの内容がマッチせず、反響率を下げる原因になってしまいます。

BtoCの場合、BtoBと比べると範囲が広くなる傾向がありますが、商品が持つ特徴に合わせて可能な限り絞り込んだ選定を行います。

では、先程グルーピングした「性別」「年齢」「職業」「購入履歴」「居住地域」というセグメントから、以下をターゲットとします。

性別:女性

ファンデーションは基本女性向けですので、女性をターゲットとします。これは簡単ですね。

年齢:20~34歳

商品ターゲットの年齢層は20~34歳。

DM送付には、目的に応じて年齢を絞る場合がありますが、商品にはコンセプト上の対象商品があります。化粧品の場合、商品特性に応じたターゲットが予め設定されています。

今回のDMでは、そのまま設定ターゲットを適用します。

職業:公務員・会社員

このファンデーションは長持ちして肌荒れも少ない特性を持っているため、忙しく働く女性がターゲットの商品です。

ちなみに、専業主婦がターゲットのファンデーションの価格帯は、一般的に1,000~2,000円程度ですが、今回の商品は4,000円と倍以上の価格帯です。

ある程度、美容に投資ができる人でないと購入できません。求める機能が備わっていれば、自分のへの投資には積極的な女性向けです。

そのため、公務員や会社員(派遣・契約含む)をターゲットとします。

平均購入金額:3,000円以上

平均購入金額が3,000円以上の顧客を抽出します。同じ化粧品でも、対象ブランドや商品によっては、金額設定が上下します。

このファンデーションの価格は4,000円ですが、1つ上の機能を求める女性が対象であるため平均購入金額を3,000円以上としました。

最新購入歴:1年以内

直近1年以内に購入した日付を元にターゲットを絞ります。

今回の目的は、新商品発売告知による需要喚起です。そのため、この商品に対する訴求がしやすい購入1年以内の顧客に絞ることで、購入確度を上げます。

また、これが1年以上購入していない顧客という設定であれば、DMの目的が休眠顧客の掘り起こしに変わります。

居住地域:東京・神奈川・埼玉・千葉

規模の大きな化粧品会社であれば、全国規模で展開する場合もありますが、今回は、東京・神奈川・埼玉・千葉エリア限定のプロモーションのため、該当エリアに住んでいる顧客を絞ります。


以上のように設定したターゲットにより、顧客リストを元に抽出し、DMを送付します。

もちろん、DMはそれだけでは完成しません。オファーやタイミング(時期)、クリエイティブも重要です。それらの要素もこのターゲットの設定によって変わります。

ターゲティングがしっかりできていればDMが成功すると言われているのは、このような根拠があります。

ターゲティングを適切に行うことで、商品需要が高い顧客にピンポイント訴求できるからです。

DMターゲットの設定方法と流れのまとめ

DMは、ターゲティングがしっかり行われていれば、ターゲットへの訴求内容やオファーもよりピンポイントになり、自然と開封率や反響率も高くなります。

まずは、DMの目的と商品特性をしっかりと把握し、適切なセグメンテーションとターゲティングを設計しましょう。

冒頭でもお話しましたが、「DMの成功法則」におけるターゲティングの重要性は5割もあると言われています。

参考:
DM(ダイレクトメール)の反響率を上げる4大要素と5:2:2:1の法則とは

逆に言えば、ターゲティングを間違うと、他の要素(タイミングやクリエイティブなど)がどれだけ良くても、開封率や反響率が上がることはないともいまエス。

つまり、ターゲティング次第で、タイミングやクリエイティブが台無しになる可能性があるのです。

費用対効果の高いDM作成に向け、ぜひ今回ご紹介したターゲティングを取り入れてみてください。