2015年11月2日

折込チラシの反響率は?効果測定に必要な反響率の考え方

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折込チラシの反響率とは

あなたは、折込チラシの反響率(反応率)を知っていますか?

反響率とは、資料請求や、問い合わせ、購買、来店など、何らかの反応があった率のことを言います。人によっては、反応率、レスポンス率で覚えている方もいるため、どちらも覚えておくと便利でしょう。

参考:広告・販促の効果測定に最低限必要な8用語の意味と使い方

折込チラシの反響率とは、配布した折込チラシに設定されている問い合わせ数や来店数などの目標に対して、実際にアクションが起こった割合を言います。

つまりチラシの効果測定のようなもの。

反響率は、チラシの目的、商売、取扱商品、知名度などによって大きく変わります。

仮に不特定多数向けの折込チラシを10,000枚配布した場合、反響は1人~30人ほど、つまり、折込チラシの反響目安は0.01~0.3%程度と言われています。

新しく商売を始めた方や初めて折込チラシを使う方が、事業計画段階でまず間違ってしまうのがここです。

「まぁ、チラシを撒いたら、少なく見積もって1%くらいが買ってくれるとして……」

なんて考えるわけですが、とんでもない。

もし折込チラシで1%の反響率があったら、どんな商売でもうまくいきます。ましてや、顧客化率1%を最初から期待するのは流石に甘すぎます。

折込チラシの反響率は、広告の効果測定や販促を理解するための入り口です。今回は折込チラシの反響率をメインテーマにして、販促における反響率の考え方をお話していきます。

反響率の計算と商売のイメージ

たとえば、折込チラシの反響目安0.3%で商売がどのように展開できるのかイメージをしてみましょう。

来店促進のために、折込チラシを1回あたり10,000枚配布して、単純なデザイン費、印刷費、新聞折込費で、14万円使ったとしましょう。

反響率が0.3%なので30人です。

もしスーパーの折込チラシであれば、
30人×顧客単価5,000円=150,000円(1万円の粗利)

もし美容院の折込チラシであれば、
30人×顧客単価7,000円=210,000円(7万円の粗利)

もしレストランの折込チラシであれば、
30人×顧客単価10,000円=300,000円(16万円の粗利)

となるため、チラシを撒けば撒くほど利益が出ることになります。(顧客単価は正確に調べたものではありません)

もちろんこれらは、来店してくれる=売り上げに繋がる商売ばかりなので、顧客単価を当てはめるだけで費用対効果が算出できる単純なものです。

実際には資料請求や来店などの反響があり、その中で顧客化されていきます。

ちなみに、反響=売上ではない商売で、顧客化に繋がるのは2割程度と言われています。もちろん、商売や取扱商品、知名度によって大きく変わります。

つまり、反響=売り上げではない商売の場合、0.3%の反響率で獲得できる顧客は0.06%、折込チラシを10,000枚配布すると顧客化する人数は6人となります。

これを先ほどの折込チラシの反響目安に当てはめてみると、以下のようになります。

反響率が0.3%、顧客化率が0.06%の場合

30人×顧客単価5,000円×0.06=9,000円(-13.1万円の粗利)

30人×顧客単価7,000円×0.06=12,600円(-12.74万円の粗利)

30人×顧客単価10,000円×0.06=18,000円(-12.2万円の粗利)

これでは折込チラシに対して、赤字にしかなりません。しかも、ここに仕入れや人件費もかかってきます。

顧客化は蓄積していくもの

「折込チラシを配布しても赤字なら、やらなくてもいいんじゃない?」

この考え方はNGです。なぜなら、商売は積み重ねで成り立つものだからです。

たとえば、杉並区周辺で美容院を探すと300店舗以上ありますが、あなたは、人生で一体何件の美容院に行きますか?

もし私が何らかのきっかけで、初めてその店舗を使った場合、自分の基準で良かったか悪かったかを判断します。そして、良かったと感じた場合、その店舗を再利用する可能性があります。

300店舗の美容院を全て試してから、最高の美容院を決めようとは思いません。つまり、そもそも知ってもらわなければ、良い悪いの判断をするテーブルに乗ることさえ難しいのです。

しかも、1度試すと親近感が湧きやすく、再利用するとさらに親近感が高まります。これが単純接触効果です。

単純接触効果という心理的効果があります。人と人の関係は、他人→知人→友人→特別な人という風に、接触頻度によって親密度が増していきます。つまり、接触回数が増えることで、好感度が増していくというものです。

これは人と人の接触だけではなく、商品の体験や見聞きしたもの全てが対象になります。日用品メーカーの花王やライオン、P&Gなどが、絶えずテレビCMを打ち続けているのは、そのためです。

参考:販促の超基本!2ステップマーケティングのメリットデメリット

1度カットしてもらった美容院なら、また1~2ヶ月後に行く可能性が高いでしょう。
1度利用したスーパーなら、また仕事の帰りにでも寄って行こうと思うでしょう。
1度食事をしたレストランなら、外食をしたい時の候補に入るでしょう。

反響率が0.3%でも商売がうまくいく考え方

折込チラシの反響率が0.3%、顧客化するのはたったの2人でも、その2人は繰り返し利用する見込みが生まれます。

10回の折込チラシで20人の顧客になります。100回で200人です。200人が定期的に利用してくれれば、それだけである程度の規模で商売が行えるはずです。

また、折込チラシのデザインが決まってしまえば、次からは印刷代と折込代だけで済みます。用紙サイズと厚さによりますが、チラシに使うもので考えると10,000枚両面フルカラーで7~8万円前後です。

もちろん、10,000枚よりも20,000枚、30,000枚の方が単価は安くなります。

つまり、方程式通りであれば、700万円用意できれば200人の顧客を抱えることができるのです。

これをシミュレーションすると、粗利はこのように表記できます。

・30人×顧客単価5,000円×0.06=9,000円(-13.1万円の粗利)
・1万枚、2万枚、3万枚のパターンで毎月折込チラシを活用する
・顧客は全て蓄積していくものとする
・顧客は毎月1回利用するものとする
・上から、売上、広告費、粗利

チラシ

折込チラシの反響率と販促に必要な反響率の考え方まとめ

勘違いをする方がいますが、販促や広告は魔法ではありません。たった1回で劇的に効果が出るものはこの世の中にはほぼありません。

0.01%~0.3%という数字を見ると、ものすごく小さい数字に見えてしまうかもしれませんが、この数字は1回1回捨ててしまう数字ではなく積み重ねる数字です。

商売はいろいろな条件で結果が変わってきます。

たとえば、シミュレーションが下ブレる影響として、

・反響率が0.3%よりも低いかもしれない
・顧客化率が2割よりも低いかもしれない
・客単価が3,000円しかないかもしれない
・顧客の再利用率が5割かもしれない

反対に、上ブレる影響として、

・顧客の再利用頻度は週1回かもしれない
・もっと広告費を下げられるかもしれない

このように、ちょっとした要素、ちょっとした数字で商売は大きく変わります。もしチラシの作り方や工夫で、反響率が0.3%から0.6%に増えた場合、パーセンテージで見ると0.3%しか増えていませんが、割合では2倍です。

つまり、折込チラシによる粗利が2倍になるということです。上の表の数字が2倍以上変わると考えると、かなり凄いことだとわかります。

これが販促における反響率の考え方です。ちなみに、反響率が0.3%というのは、折込チラシでは大成功の部類です。

最初は面倒かもしれませんが、ちょっとした工夫を積み重ねていくことで、先ほど勘違いと言った、「販促や広告は魔法ではありません」が、本当に魔法のようになるかもしれません。

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