2015年8月10日

販促DM(ダイレクトメール)を100%有効活用する7つの基礎知識

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DMを有効活用するための7つの基礎知識とは?

皆さんはDMを広告宣伝、販促活動のツールとしてうまく活用できていますか?

DMとは、ダイレクトメールの略で個人あてに直接ハガキや郵便物を郵送して販促活動を行うこと全般を指します。

最近はインターネット広告やメール広告に押され気味の広告手法の1つだというイメージもチラホラありますが……。

もしかしたら今時の20代若手経営者、マーケティング担当の方にとっては、DMといえばTwitterのダイレクトメッセージの方が馴染みがあるかもしれません。

またはダイレクトマーケティングやデジタルマーケティングのことと思うかもしれません。

販促担当者が学ぶべきダイレクトマーケティングとは?

このように旧世代の広告手法、販促手法のイメージがありつつも、あなたの家庭や職場には今も普段から多くのDMが届いているはずです。

なぜ、DMはこんなに毎日届いているのでしょうか?もちろんそれは、DMに広告手法、販促手法としての効果が備わっているためです。

そこで今回は、アナログの広告手法、販促手法と思われがちなDM(ダイレクトメール)がなぜ有効なのか、DMを有効に活用するための7つの基礎知識のお話をしたいと思います。

これを読めば、改めてマーケティング手法としてDMを見直すきっかけになるはずです。

DM7つの基本1.DMの現在の市場背景

まず、DMの基本を知るために最初に知っておくことは、どれ位の市場規模で、どれ位使われているのかということです。

電通調べによると、2018年のDMに使われた年間広告費は3,678億円です。少しずつ減少しているものの、プロモーションメディア広告費の中では、折込広告に続く第2位の広告費となっています。

2018年 媒体別広告費

参考:2018年 日本の広告費

また、日本郵便では年間約40億通ほどのDMが取り扱われているそうです。日本郵便取扱いのDM量だけで、国民1人当たり年間40通のDMが届いていることになります。

販促を分類するために必須なプロモーションメディア広告費の説明は以下をご参照ください。

日本の広告費50%を占めるプロモーションメディアとは?

DM7つの基本2.DMの販促効果

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自分宛てに届くDMに対して、あなたはどのような印象を持っているでしょうか?

「たくさん届くからうざったい」
「こんなもの届いたって誰も見ないし、買わないよ」

こう思っているあなたは98%正解です。98%正解なら、DMなんか出さなくても良いと思うかもしれません。

ところが、DMとは残り2%の人に向けた広告手法なのです。

取り扱う商材や事業のやり方によりますが、DMを送って2~3%の反響を重ねることで、商売を成立させるのがDMという広告手法なのです。

仮にDMの単価が80円だとすると、1,000通分のコストは8万円です。商品価格が2万円で、売上原価が8,000円だとすると、

DM経費:1,000通×2%=20件
商品売上:20件×2万円=40万円
商品原価:20件×8,000円=16万円
営業利益:20万円-8万円=24万円

と、このように2%でも採算が合う計算になります。もちろん、DMの作成にコストはかかりますし、送付先リストも必要です。人が動くコストもかかるため、実際、この時点で営業利益がプラスになるかはわかりません。

ただ、DMを使うことによって商品に興味を持って購入した顧客が20人いることは事実です。上記の例では、1人当たりの顧客獲得単価はたった4,000円です。

取扱い商品が全くリピートされない商売ならば割高かもしれませんが、毎年何度かリピートを生む商品だったらどうでしょうか。

1回毎のDMアプローチの積み重ねが、1年後、5年後に大きな財産になることが想像できます。

DM7つの基本3.DMが持つ3つの目的

DMの効果を単純に説明しましたが、もう少しわかりやすくDMが持っている3つの目的を説明しましょう。

DMの目的1.新規顧客、見込顧客を見つける

まず先程の話の通り、DMは新規顧客を探すための販促ツールとして活用されます。商品を直接購入してもらうためだけではなく、資料請求をしてもらうなど、ステップを踏む場合もあります。

ただし、新規顧客に対してDMを郵送するためにはいくつかの仕掛けが必要になります。たとえば、リストを持った業者にDMの郵送を任せる方法などがあります。

新規出店でDM(ダイレクトメール)リストがない…郵便局のタウンプラスを使おう!

DMの目的2.見込顧客に購入を促す

問い合わせや資料請求をしてくれた見込顧客、セミナーやイベントに足を運んでくれた見込顧客、アンケートに答えてくれた見込顧客などに、直接的な購入や来店を促すためのDMを郵送します。

DMの目的3.既存顧客にリピートを促す

1度購入をしてくれた顧客に対して、季節イベントなどと絡めてリピートを促すDMを送ります。

通販であれば名前や住所はありますが、来店形式の場合は顧客リストを作れる体制にしておかなければいけません。

会員登録をさせたり、店頭アンケートで何らかのグッズをプレゼントしたり、などです。

その他にも新商品のカタログや新商品のサンプルなどを郵送することで、既存顧客に対して「あなたは特別なお客様です」とアピールする効果もあり、ライフタイムバリューの長い顧客を作ることが可能です。


DMとは、このように3つのステップによって成り立っています。DMをうまく活用することは、2ステップマーケティングをうまく行うことと同じ意味です。

販促の超基本!2ステップマーケティングのメリットデメリット

そのため、ある程度概念を含めて理解し、慣れている方でないと非常に面倒な手法だと思われてしまうかもしれません。

※DMの送付にはお客様ご自身の同意が必要です。送付前に同意があるかどうかも必ず確認しましょう。

DM7つの基本4.DMとマス広告の違い

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新聞や雑誌、テレビCMなど、マス広告とDMの違いを把握しておきましょう。

前提として

「広告ならやっぱりテレビCMだよ」
「新聞の広告が一番信用されるでしょ」

このような意見があります。

確かに、マス広告、特にテレビCMは認知拡大には非常に大きな威力を発揮します。そして、認知拡大が商品の売上に直結することも想像できます。

ただし、どれだけ売上に直結したのか、テレビCMの費用対効果がどれ位あったのかは測る方法がありません。

反対に、DMは認知拡大に大きな威力があるわけではありません。テレビCMと違って「ながら見」で頭に刷り込まれるわけではなく、ファーストインプレッションで「いらない」と思われる可能性があります。

ただしDMは1,000通送ったことに対して、どのような反応が何件あったのかを測定することが可能です。名前と住所は知っている前提なので、誰が必要としてくれているかが可視化できます。

この情報を蓄積していくことで、さらに精度の高いDMを郵送していくことが可能になります。

つまり、マス広告とDMは同じ広告費という枠の中でも全く目的が違うということです。もちろん、テレビCMに適した業種や企業体がイメージできるようにDMにも適した業種があります。

DM7つの基本5.DMに適した商材

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商品やサービスで、DMに適した商材をイメージしてみましょう。

私達に普段届くDMと言えば、通信販売、教育商材、クレジットカードなどの金融商品、マンション等の不動産情報、出版物情報、健康食品など、ありとあらゆる商材があります。

これだけを見ると向き不向きはなさそうに思えますが、そんなことはありません。

DMでより高い効果をあげたければ、費用対効果が高い、または費用対効果を高くする工夫ができる商品やサービスを見極めなければいけません。

1.顧客単価が高い商材
2.リピート率が高い商材
3.保守・メンテナンスが必要な商材
4.顧客属性が絞られる商材
5.友達や家族に口コミしやすい商材
6.友達や家族を連れて行きやすい商材
7.フロントエンド商材

この7つの商材を私は、「DMの費用対効果が高い7つの商材」と呼んでいます。この、DMに適した7つの商材に関しては、以下を参考にしてください。

DM(ダイレクトメール)で成果が出る!費用対効果が高い7つの商材の特徴

DM7つの基本6.DMに使われる媒体

DMはダイレクトメールなのでハガキや封筒を送るイメージが思い浮かびますが、「郵送するもの」に特に決まりがあるわけではありません。

ハガキ、封筒、カタログ、小冊子、CD-ROM、さらにEメールもダイレクトメールの1種です。それぞれメリットとデメリットがありますので、1つずつ見ていきましょう。

DMに使う媒体1.ハガキ

ハガキはコストが非常に安く、手に取った時点で中身が見えるメリットがありますが、伝えられる情報が少ないため、わかりやすい商品やサービスでなければいけません。

デメリットは、家族がいる場合に金融商品などの受け取りにくい商材であれば捨てられてしまう可能性があることです。

DMに使う媒体2.封筒

封筒は捨てられやすいというハガキのデメリットを補うことができます。ただし、封筒を開封してもらうという一手間が発生します。

送り主の名前だけを見て、捨てられないような工夫が必要になります。

DMに使う媒体3.カタログ

一度商品を購入した通販会社から送られてくるのがカタログです。購入経験があるカタログは、もう一度中身を見てもらう抵抗が少ないでしょう。

また、すぐに通販ができるように申込が簡便化されているメリットも有ります。

わかりやすいデメリットは、非常にコストがかかることです。

DMに使う媒体4.小冊子

ハガキよりも情報が豊富で、封筒よりも開封されやすく、カタログよりもコストがかからないものが小冊子です。

とは言え、カタログほど極端ではありませんが、こちらも作成に手間とコストはかかります。

DMに使う媒体5.CD-ROM

最近はCD-ROMで商品やサービスを伝えたり、商品のオマケ映像として送られてくるDMがあります。映像を見て理解できるため他のDMよりは格段に認識してもらいやすいでしょう。

ただし、見てもらうまでの工夫が必要ですし、家族世帯や再生機器を持っているターゲットを絞りこまないと無駄になってしまいます。

DM7つの基本7.DMの構成要素

DMは前述した通り色々な媒体で郵送されています。そのため、全てが統一した構成要素を持っているわけではありません。

ただし、基本となる構成要素がありますので、しっかりと覚えておきましょう。

DMの構成要素1.宛先

当たり前の話ですが、誰に向けて宛てられたものなのかはしっかり明記されています。ポスティングは誰宛というものはないので、その違いと思ってください。

DMの構成要素2.キャッチコピー

はがきの場合は見出しとして、封筒の場合は封筒を開けてもらうための文言や、封筒を開けて1枚目の紙を見てもらった時のインパクトを出すためのキャッチコピーを必ず付けます。

DMの構成要素3.あいさつ文

宣伝文句とは別に、あいさつ文があります。

DMの構成要素4.商品、サービス紹介

商品やサービスの内容を理解してもらうための案内をします。

単純に商品一覧をリーフレットで説明する場合もありますし、商品説明のストーリーを読ませる場合もあります。ここはDMの工夫のしどころです。

DMの構成要素5.ベネフィット(メリット)

紹介する商品がどのようなベネフィットをもたらしてくれるのかを書きます。

たとえその商品が普段の5割引きでも、使って得られるメリットをイメージできなければ購入はしません。つまり興味もわかないため、誰もDMを読まないでしょう。

DMの構成要素6.オファー(プレゼント)

このDMを読んだ人だけが得られるオファー(プレゼント)を記載します。割引券・クーポンなどがよくある手法で、購買意欲を高めるための仕掛けです。

DM(ダイレクトメール)やチラシに効果絶大なオファー5種類

DMの構成要素7.レスポンスデバイス

商品やサービスの申込書、資料請求用の封筒、電話番号やFAX番号などの問い合わせ先など、顧客、見込顧客が次のアクションをしやすいような仕掛けを行います。

DM活用のための7つの基礎知識まとめ

もう一度、DMを活用するための7つの基礎知識をおさらいをしておくと、

1.DMの現在の市場背景
2.DMの販促効果
3.DMが持つ3つの目的
4.DMとマス広告の違い
5.DMに適した商材
6.DMに使われる媒体
7.DMの構成要素

この7つです。それぞれが深堀りをするとかなり長くなってしまうので、今後切り出しなどして、ご紹介できればと思います。

今後理解していただきたいことは、

・自社商材に照らしあわせた販促効果をどう捉えるのか
・DMの目的の違いを理解してステップを踏めるか
・自社商材がDMに適しているか
・何を使ってDMを行うか

ということです。

自宅や会社に届くDMは、全ての方に必要なものではありません。

DMを使って商品を買ったり、資料請求をしたことがない方もいると思いますが、そんな方でも一度もDMを見たことがない、開封したことがないということはないはずです。

たまたま必要とする方に見て頂くために、商品やサービスを紹介することがDMの役目です。

「たくさん届くからうざったい」
「こんなもの届いたって誰も見ないし、買わないよ」

DMに対するこの概念を捨てて、自社の商品を必要な方に知って使っていただくために、効果的なDM販促を行ってみてください。