2016年4月12日

予算や納期はいつ決める?知っておきたい会社案内制作の基本工程

会社案内作成

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会社案内作成のスケジュールや納期とは

もしあなたが会社案内の作成担当者に指名されたら、まず何から手をつけますか?

前任者にヒアリングをすれば良いですが、もしいない場合は何から手をつけるべきなのかもわからないのではないでしょうか。

印刷会社や制作会社に丸投げすれば良いと思っている人もいるかもしれませんが、それでもやるべき仕事はたくさんあります。

まずは、会社案内を作成する目的とコンセプトを確認することです。これは、会社案内に限らずどんな制作物にも言えることです。

会社案内を作り替えたいという要望が社内であがったときは、「何となく」ではなく、必ず何か理由があるはずです。

逆に、何となくという理由を突き詰めても「何となく」のままだった場合、会社案内の作成はおすすめしません。なぜなら、会社案内は会社の顔だからです。

参考:
会社案内を作る「何となく」を明確な目的に変える方法

リニューアルや改定の場合は、「情報が古い」「事業内容が変わった」「CI/VI/BIの変更」といった理由が考えられます。

情報の劣化、環境の変化…会社案内をリニューアルするタイミングとは

また初めて会社案内を作る場合は、会社が勢いのある時期であり、ブランディング目的や営業ツールとしての活用を考えているはずです。

目的・コンセプトが明確であれば、自然とどのようなコンテンツが必要であるのか、何をアピールするべきなのか、何をすべきなのかもわかるはずです。

目的によっては納期や配布時期が予め決められている場合もあります。目的を把握した上で具体的なスケジュールを決めていかなければなりません。

そこで今回は、初めての会社案内作成でも上手くいくように、制作の流れ・スケジュールや納期の目安などをご紹介したいと思います。

会社案内作成に取り掛かる前に必要なこと

先ほども述べましたが、前任者がいればヒアリングを行います。

どの業者に依頼をしたのか、どのようなコンセプトで作ったのか、どのような流れで作ったのか、以前作ったときの打ち合わせ資料や議事録を基に、前任者からヒアリングを行います。

参考:
初めての会社案内作成!担当者が決める9つのこと

ヒアリングを行うのは、なにも前任者だけに限りません。目的によっては、関係各所の要望を聞くことも大事です。

現在の会社案内を検証して、足りない内容を洗い出したり、競合企業の会社案内を取り寄せて比較する作業も必要です。

また、予算感を把握しておくことも大事です。

可能であれば、前回作成した時の見積もりを確認したり、発行部数の目処を立てておきます。

納期については、既存の会社案内のデザインや内容を踏襲するのであれば、スケジュールにも余裕がありますが、大幅なリニューアルもしくは新たに作成する場合は、2〜3ヶ月は必要と見てください。

自分たちで全ての企画を考え原稿を用意するパターンと、印刷会社や制作会社に企画やコピーを依頼するパターンでも、コストとスケジュールに違いがでます。

どこからどこまでが自分達で行うのかを事前に把握することも、事前に準備しなくてはいけない作業と言えるでしょう。

会社案内作成の流れ1.打ち合わせ・編集台割

まずは、社内や印刷会社との打ち合わせを行い、内容や構成を決めます。

会社案内においては、「事業紹介」「企業理念」「会社概要」「CSR」「社員紹介」以上5つが基本コンテツと言われています。

何が必要?会社案内の基本構成とコンテンツとは

しかし、会社案内の意味合いは会社によって違います。

会社によっては、社長の挨拶やインタビューを掲載することもあれば、自社の強みをアピールするために事業紹介にページを割いたり…と内容と構成が変わってきます。

冒頭でも申し上げたように、会社案内を作成する理由を踏まえた上で、必要コンテンツの取捨選択をし、準備に取り掛かりましょう。

コンテンツが決まったら次は台割です。

冊子などのページ物を作る場合、原稿を書く前に全体のページの割り振りを決める行為を台割と呼びます。
もうキョドらない!現場でよく使う印刷・デザイン用語

また、台割と同じくコンテンツのボリュームによって変わるものが「ページ数」です。

なぜなら、パンフレットの基本が8ページ、16ページだからです。

A4サイズが多いパンフレットの場合、A3サイズの紙を2つ折りにして冊子形状を作ります。

パンフレットの面

A3サイズ1枚で4面ができあがるため、4の倍数でページを増やしていくことが基本のように思うかもしれませんが、輪転機などの大きな印刷機を使うため、8の倍数が基本です。

参考:
パンフレットや冊子形式の印刷物に必要なページ数の決め方

そのため、8ページ、16ページに収まるように構成を決めるのが基本となります。

中途半端なページになると、ページ数が少なくてもコストがかかる場合がありますので、気をつけましょう。

会社案内作成の流れ2.手配するもの、必要なものを決める

内容と構成が決まったら、納期やスケジュールを念頭に、必要なものを洗い出し、手配を始めます。

・原稿は発注側で用意するのか
・用意できる写真はあるのか
・取材が必要なのか

取材が必要であれば、撮影やスタジオの手配が必要なのかを確認しなければいけません。

また、社長や社員のインタビューがあれば、取材対象者だけでなく、インタビュアーやカメラマンのスケジュール調整も必要となるでしょう。

手配の有無は、見積もりにも大きく影響します。

内容・構成、そして取材関係の手配、部数などによっておおよその見積もりが確定します。

会社案内作成の流れ3.紙面のトーンを決める(デザイン)

続いては紙面のトーンを決めます。

競合他社の会社案内やパンフレットなどイメージに近いものを集めて、すり合わせします。

コーポレートカラーが決まっていれば、それに合わせる必要がありますし、CI/VI/BIなどのレギュレーションもチェックします。

CI、VI、BIとは?会社ロゴによるブランディング価値を考える

また、業界・業種によって、適した色合いやデザインも変わります。業界が持つイメージや会社のイメージと実際のトーンが乖離しないよう注意しましょう。

参考:
ITは青、食品は赤…業界別に見るイメージカラーやデザインとは

会社案内作成の流れ4.原稿作成

文章や写真・素材などの原稿を作成・手配します。

コピー・ライティングはプロのライターにお任せするのかなど、印刷会社や制作会社にどこまでお任せするかによって、発注側が用意する原稿の内容がかわってきます。

もちろん、見積もりも変わります。

ちなみに、印刷物はWebと違いデザインに応じて文字組が変わります。原稿執筆の際は、文字数の指定、デザイン見本(組見本・カンプ)が先にあると、イメージが掴みやすく、書きやすくなるでしょう。

会社案内作成の流れ5.取材(撮影・インタビュー)

撮影をプロカメラマンにお願いするのか、発注側で写真を用意するのか、など細かい取り決めが必要です。

オフィスや施設の写真を使いたい場合、社長や社員のインタビューがある場合など、既存写真があっても、解像度が低く使えない場合もあります。

そんな時は新たに撮影をする必要があります。

また、掲載コンテンツに社員紹介やインタビュー、座談会などがある場合は、各社員のスケジュールを調整します。

撮影だけ先行して行ったり、撮影とインタビューを同時に行ったりなど、スケジュールが並行してできるもの、順序が必要なものを明確にし、効率よく手配しましょう。

会社案内作成の流れ6.入稿データの作成

4と5で作成・手配した原稿を、印刷会社のDTPオペレーターが見本(デザイン)に流し込みます。

会社案内作成の流れ7.初稿(ゲラ)・再校正・校了(最終稿決定)

初稿が完成したら、校正を行います。

原稿とゲラを照合して、誤りをチェックし、校正紙に校正記号を使って、修正指示を加える作業のことを言います。

参考:
もうキョドらない!現場でよく使う印刷・デザイン用語

納期や費用との兼ね合いから、ほとんどの印刷会社では、予め「3回まで」など校正回数を決められています。

基本的に、校正回数は見積もりにも記載されています。

会社案内作成の流れ8.色校正/カラープルーフ

色校正とは、DDCP(ダイレクト・デジタル・カラー・プルーフ)やデジタルプリンターなど、デジタルデータの直接出力ができるプリンタを使って、仕上がりのイメージを確認することです。

また、オプションで、本機校正を行うことができますが、納品イメージを確認できる、実際に使用する紙を仕入れるためコストが高くなります。

テストのためだけに用紙を取り寄せるのが大変だからです。

印刷会社が必ず色校正を行う3つの理由

会社案内作成の流れ9.入稿・印刷・納品

色校正が終わり、印刷をします。

印刷から納品(送付)まではおよそ1週間です。

会社案内作成の流れとスケジュール まとめ

スケジュールには余裕を持って取り組みましょう。焦っても良いことはありません。

どんな印刷物でも言えることですが、納期が短いとコストが高くつきますし、チェックが疎かになり、何かとミスも増えやすくなります。

校正にも時間をかけないよう、誤字脱字などの初歩的な確認は印刷会社への提出前に必ず行いましょう。

冒頭でもいいましたが、どこからどこまでを印刷会社や制作会社にお願いするのかで制作期間やコストは変わります。

役割には適材適所がありますので、社内におけるアサインもしっかりと行ってください。

途中で方向性が変わってしまうと、軌道修正にも時間がかかります。

提出物や取材のスケジュール調整など、ちょっとしたズレが納期に大幅な遅れを生む原因になります。

納期に間に合わせるためにも、初期段階で目的とコンセプトはしっかり確認しましょう。