2015年7月28日
実はシンプル!クロスメディア戦略のメリットと媒体組合せ事例
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クロスメディア戦略とは
最近良く聞く「クロスメディア戦略」という言葉ですが、難しい言葉だと思って避けている人もいるでしょう。
以前、販促、広告、広報は部署の縦割りから、マーケティング部などの名前で集約されてきているというお話をしました。
その際に、クロスメディア戦略を行うためには縦割りでは難しいというお話もしています。
つまり、クロスメディア戦略は、いろいろな物をクロスさせた複合的な戦略であるということがわかります。
実際、現場では、広告と販促、場合によって広報をミックスさせた「クロスメディア戦略」が売上を上げるための重要手法になってきているため、縦割部署制度では難しいでしょう。
販促、広告、広報という違いは、将来的にはなくなってしまうのかもしれません。
クロスメディア戦略とは、1つの商品やサービスをさまざまな媒体を用いて、広告宣伝活動、販促活動に活かすことで、媒体同士の相乗効果をもたらす戦略のことを言います。
「それって、マルチメディア戦略じゃないの?」
鋭いですね。確かに似ていますがクロスメディア戦略とマルチメディア戦略は違います。
マルチメディア戦略とは、1つの商品、サービスを複数の媒体を使って、宣伝広告するための手法です。
クロスメディア戦略とは、1つの商品、サービスを複数の媒体の長所と短所を理解し、特徴を活かした一連の広告戦略を行うことなので、かなり意図を持って、広告を行っていく必要があります。
使用する媒体は、それぞれが役割を持っています。つまり、集客し、興味付けをし、購買や資料請求に至るまでの役割を1つの媒体では行いません。
クロスメディア戦略は、一連の流れに沿って、各媒体に役割を持たせ、スタートとゴールを明確にすることで、認知効果を高めたり、より精度の高い販促を行うことを可能にします。
それでは、そんなクロスメディア戦略をより深く理解するために、メリットや媒体の組合せ方をご紹介していきましょう。
クロスメディア戦略のメリット
クロスメディア戦略には、3つのメリットがあります。
クロスメディア戦略のメリット1.媒体毎の不足を補い合える
たとえば、チラシ単体では多くの情報を伝えることはできません。テレビCMでは商品詳細までは紹介できないかもしれません。
そこで、チラシからWEBサイトに誘導して情報閲覧させたり、テレビCMでイベント告知して雑誌に誘導したりなど、それぞれが不足する特徴をクロスメディア戦略によって補完することができます。
クロスメディア戦略のメリット2.質の高い顧客を囲い込める
クロスメディア戦略は、複数のメディアを使うことでスタートからゴールまでの導線を引くことができる一連の広告戦略です。
これまで単一媒体の広告中心だった企業では発見できなかったユーザーニーズを発見できるだけでなく、高いニーズをもった顧客をゴールに導くことが可能になるため、より質の高い顧客を囲い込める可能性が高まります。
クロスメディア戦略のメリット3.媒体毎の効果測定が行いやすい
クロスメディア戦略は、チラシ、カタログ、テレビCM、WEBサイトなどの組合せでできているため、媒体毎に段階的なプロモーションを行うことができます。
また、媒体が分かれているといっても一連の流れがあるため、それぞれの誘導率など効果測定が行いやすく、PDCAを回しやすくなっています。
クロスメディア戦略に使える媒体とは
メリットを理解できたら、次はクロスメディア戦略を行うために組み合わせる媒体の種類と長所・短所を知っておかなければいけません。
現在のクロスメディア戦略といえば、多くの方がおわかりの通り、如何にインターネットと他の媒体を組み合わせるかが主眼に置かれます。
組み合わせ方によっては、大きな威力を発揮するものもあればそうではないものもありますので、しっかりと長所・短所を理解しておきましょう。
4マス広告(マスメディア)
テレビCMや新聞、雑誌、ラジオなどを総称して、マスメディアと呼びます。そして、主要な4つのマスメディアを使った広告のことを4マス広告と呼びます。
4マス広告の長所は、広い層に対して一気に情報を拡散でき、かつブランディングに繋がるということです。
どのメディアも全国区のものと地方のものがあり、広告宣伝したい商圏に応じて使い分けを行えます。
個別媒体広告
チラシ、DM、パンフレットなどの印刷物は個別の広告媒体です。
それぞれは単なる広告素材であるため、どのように利用して顧客に届けるかが重要であり、それによってコストも変わってきます。
また、チラシは新聞折込やポスティング、街頭手配りなどを使った認知訴求が目的であることに対して、DMや資料送付は住所と名前を知っている人に営業することが目的です。(例外もあります→新規出店でDMリストがない…郵便局のタウンプラスを使おう!)
個別広告媒体も、自社が行いたい戦略や現在持っている情報によって何を使うかが変わってきます。
WEB媒体広告
企業のWEBサイト、ECサイト、Facebookページ、Twitter、リスティング広告などが、WEB媒体と呼ばれるものです。
WEB媒体は移り変わりが激しいため、全てを追いかけて使いこなしていくことは非常に難しいですね。
特徴としては、インターネット上で展開される媒体であるため商圏はありません。つまり、より広い広告宣伝が行える代わりに、狭い地域に対するピンポイント広告には威力を発揮しづらいということです。
その割には、近場のお店に行く方でもスマートフォンで検索をすることが当たり前になってきているため、せめて自社のWEBサイトや宣伝ツールを持っていないと損をしてしまうことがあります。
クロスメディア戦略の媒体組み合わせ事例
マスメディア、個別広告媒体、WEB媒体の特徴を把握したら、次は最適な組み合わせを考えます。
クロスメディア戦略の最大の目的は、市場に埋もれているターゲットを発掘することです。
そのため、これまでバラバラに考えていた新聞広告、テレビCM、チラシ、パンフレット、DM、WEBサイト、WEB広告などを複合的に活用するためのコンセプトやターゲット設計、ユーザー導線のスタートからゴールまでの戦略など、考えることは多岐に渡ります。
もちろん、複数の媒体を組み合わせるためコストもかかりますので、安易に始めるわけにはいきません。
業種業態、ターゲット、取り扱い商材等によって、戦略は大きく変わります。まずは、クロスメディア戦略の媒体組み合わせにどのようなものがあるかを見ていきましょう。
媒体組み合わせ例1.WEBサイト+SEO対策→資料・カタログ請求
企業用WEBサイトにSEO対策を使って集客し、資料やカタログの請求に繋げるための方法です。
WEBサイトから直接問い合わせてもらうことにハードルを感じている場合、紙の資料やカタログを簡単に請求できる仕組みをとっておくと、間口を広げられ、取りこぼしを少なくすることができます。
資料請求はメールアドレスのみで行えるなど、ふらっと立ち寄った方にも請求ハードルを下げた仕組みにするべきでしょう。
非常に多くの商品を取り扱っている場合や、紙の資料を見た方が魅力が伝わりやすい場合に有効な方法です。
媒体組み合わせ例2.WEBサイト+リスティング広告→資料・カタログ請求
企業用WEBサイトにリスティング広告を使って集客し、資料やカタログの請求に繋げるための方法です。
商品ニーズが明確な顧客に対してはリスティング広告が有効です。ニーズが強いため、問い合わせフォームには企業名や担当者名を書かせることも可能です。
資料請求を行った方はさらにニーズが高いことが予測できるので、反響営業を仕掛けていきましょう。
広告費を投入する分、確実に資料請求顧客を追える仕組みが必要です。
媒体組み合わせ例3.チラシ・DM→WEBサイト→資料・カタログ請求・来店促進
企業用WEBサイトにチラシを使って集客し、資料やカタログの請求に繋げるための方法です。
通常WEBサイトを使った商売には決まった商圏がありません。ところが、地元密着企業や来店型店舗にとっては、WEBサイトの活用方法がわからない場合があるでしょう。
その場合は、チラシ・DMでWEBサイトに集客し、オファー(特典)を用意した上で資料請求・カタログ請求に繋げたり、直接来店を促す仕組みを作ってみましょう。
あくまでもクロスメディア戦略であるため、チラシ・DMに記す内容は、「来店促進」と「WEB集客」です。
媒体組み合わせ例4.チラシ・DM→ECサイト
ECサイトに対してチラシやDMを使って集客し、直接売上に繋げるための方法です。
日用品や頻繁に使うものをECサイトを使って新しく展開することになった場合、今までの顧客や新規顧客はECサイトの存在を知りません。
そのため、チラシ・DMなどの広く確実に手元に届く広告手法で告知する方法を使います。
媒体組み合わせ例5.テレビCM→WEBサイト→資料・カタログ請求
WEBサイトに対してテレビCMを使って集客し、資料・カタログ請求に繋げるための方法です。
学習塾や家庭教師、不動産、有料老人ホームなど、顧客が選択をするためにさまざまな情報が必要、かつ顧客単価が高いものを販売したい場合は、どうすれば資料請求やカタログ請求ができるかを知らせる必要があります。
その場合に、一番手広く宣伝する方法がテレビCMです。
ただし、マスメディアを使うため、広告コストがかかります。自社の商品、サービスがテレビCMに見合った内容なのかを吟味しなくてはいけません。
クロスメディア戦略のメリットと媒体組合せ事例まとめ
冒頭でお話した通り、クロスメディア戦略は難しいものではありません。
マルチメディア戦略と違って考えることは導線です。
・何の媒体を使って集客するのか
・何の媒体に集客するのか
・どのような行為を顧客に求めるのか
この3つの組み合わせによって、クロスメディアで活用する媒体が、2つなのか、3つなのか、4つなのか、ということが決まります。
インターネットが広がる前まではマスメディアと個別広告媒体でのクロスメディア戦略が主流でしたが、今は如何にインターネットを組合せて相乗効果を出すかが主流になっています。
ただし、まだインターネットをゴールに据えるには市場の習熟度が足りません。インターネットがリアルな店舗営業の消費活動を上回るには、あと10年以上はかかるでしょう。
そのため、私たちは、どうやって顧客の手元に、パンフレットや資料、カタログの個別配送ができるかを考えなければいけません。
現在のところ、クロスメディア戦略の導線におけるゴールはこれら個別広告媒体です。それを理解して、効果的なクロスメディア戦略に取り組んでみてください。