2023年3月13日

漢字?ひらがな?使い分けに迷ったときの7つのポイント

どっちがいいの

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

文章を書いていて、漢字とひらがなどちらをつかっても間違いではないけれど、どちらの表記が適切なのか迷ったことはありませんか?

人によって感覚や判断基準は異なりますが、一つの文章の中で漢字とひらがなが混在していると、読者にとっては読みにくいと感じてしまいます。

一つの文章や冊子の中で、同じ意味なのに複数の表記が混在していることを「表記ゆれ」と言います。

さまざまな表記で書かれていると、読者はそれぞれ違う意味なのかと混乱してしまい、読みにくく・わかりにくい印象を与えてしまいます。

引用:表記ゆれを防ぐには?表記統一で気を付けたい9つのポイント

漢字とひらがなの使い分けは特に表記ゆれが起きやすいため、よく使われる語句を中心に使い分けのルールを決めておくことが大切です。

そこで今回は、漢字とひらがなを使い分けるポイントについてご紹介いたします。

漢字とひらがなの使い分けについて絶対的なルールはなく、どちらを使っても間違いではありませんので、あくまで目安として参考にしてみてください。

▼表記ゆれを防ぐポイントについては以下の記事でもご紹介しています。

広報誌・機関誌専門の編集業務委託・BPO

漢字とひらがなを使い分けるポイント

一般的には、一つの文章の中で「漢字30%:ひらがな70%」の割合が読みやすいとされています。

PCで入力しているとつい漢字に変換してしまいがちですが、文章の中で漢字の割合が多すぎると読みにくく硬い印象を与えてしまいます。

以下のポイントをベースに、漢字とひらがなのバランスを見ながら使い分けていきましょう。

1.常用外漢字はひらがなで書く

常用漢字とは、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものとして、1981年に内閣告示・訓令された漢字のことです。

漢字とひらがな、どちらの表記にするか迷ったときにはこの常用漢字表が一つの判断材料になります。

例えば、「飴」「薔薇」「繋ぐ」「揃う」などは常用漢字外のため、ひらがなで表記されることが多いです。

ただ、常用外漢字であっても、人名や地名などの固有名詞、一般的によく使われている漢字、ひらがなにすることによって読みにくくなってしまう漢字などはルビを振って対応するケースもあります。

あくまで読み手にとっての読みやすさを優先しましょう。

常用漢字は常用漢字表として、文化庁のWebサイトから確認することができます。

参考:文化庁|常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)

2.形式名詞はひらがなで書く

形式名詞とは、「こと」「もの」「とき」など、実質的な意味のない名詞のことです。

「おいしいもの」や「楽しいとき」など、主に連帯修飾語と一緒に使われますが、これらの形式名詞はひらがなで書くのが一般的とされています。

以下、ひらがなで書く形式名詞の一例をご紹介します。

ひらがな漢字
もの
こと
とき
ため
ところ
うち
わけ
はず
ほう
とおり通り
うえ
たび
よう

「上の階」「北の方」「駅前の通り」など、それぞれ「上下」「方角」「道」という実際の意味を表す場合には、漢字で表記しましょう。

3.接続詞はひらがなで書く

文と文をつなぐ接続詞も、基本的にはひらがなで表記します。

接続詞をすべて漢字で表記してしまうと、漢字が連続して読みにくくなってしまうためです。

ひらがな漢字
あるいは或いは
かつ且つ
さらに更に
しかし然し
したがって従って
ただし但し
ついては就いては
なお
また
ゆえに故に
よって依って/因って

公用文の場合は、以下のように漢字で書くことが推奨されている接続詞もあります。

ひらがな漢字
および及び
ならびに並びに
または又は
もしくは若しくは

▼公用文の表記ルールについては以下の記事で詳しくご紹介しています。

4.補助動詞はひらがなで書く

「買ってくる」「やってみる」「伝えておく」など、本来の意味を持たずに動詞の補助として使われる動詞のことを補助動詞と言います。

補助動詞は使用頻度が多く、漢字表記にすると漢字の割合が多くなり読みにくくなってしまうため、基本的にはひらがなで書きます。

ひらがな漢字
いく行く
おく置く
くる来る
みる見る
いたします致します
いただく頂く
ください下さい

「学校へ行く」「荷物を置く」などのように、動詞として本来の意味を表す場合は漢字で表記します。

5.一部の動詞はひらがなで書く

先ほど動詞として本来の意味を表す場合は漢字で書くとお伝えしましたが、以下のように一部ひらがなで書く動詞もあります 。

ひらがな漢字
ある有る/在る
いる居る
できる出来る
なる成る
わかる分かる

「できる(出来る)」は、「出来事」や「上出来」といった名詞や形容動詞として使う際には、漢字で表記するのが一般的です。

6.副助詞はひらがなで書く

副助詞とは、「くらい」「まで」「ほど」などさまざまな語句の後ろに付いて意味を添える役割を持つ助詞のことです。

副助詞は「東京駅まで」「1時間くらい」のように漢字の後ろに付くことが多く、「東京駅迄」「1時間位」と表記すると漢字が連続して読みにくくなってしまうため、一般的にひらがなで書きます。

ひらがな漢字
くらい
ころ
など
まで
ほど

7.副詞はひらがなで書く

副詞は、名詞以外の語句をより詳しく説明する役割を持ちます。「既に」「全く」「次第に」など、漢字で書かれることもありますが、一般的にはひらがなで表記することが多いです。

ひらがな漢字
あまりに余りに
いたって至って
いったん一旦
いまだに未だに
おおいに大いに
おそらく恐らく
さまざまな様々な
しだいに次第に
しばらく暫く
ずいぶん随分
すでに既に
すべて全て
たいへん大変
ともに共に
ほとんど殆ど
まったく全く
もっとも最も
わずか僅か

公用文の場合には漢字で書くことを推奨されている副助詞もあります。

まとめ

今回は、漢字とひらがなを使い分けるポイントについて、ひらがなにすべき語句を中心にご紹介しました。

冒頭でもお伝えしましたが、「絶対に漢字/ひらがなで書かなければいけない」という決まりはありません。
掲載する媒体やターゲットなどによっても最適な表記は変わってきます。

読み手がスムーズに読めるよう、文章全体のバランスや読者層などを考慮しながら使い分けのルールを決めていきましょう。

広報誌・機関誌専門の編集業務委託・BPO