2023年4月12日

オリジナルで漫画を制作するときの流れと注意点

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

ここ数年、漫画誌やコミックス(単行本)といった漫画専門分野だけでなく、パンフレットやチラシといった販促物、社内マニュアル、SNSなどで、漫画を使ったコミュニケーションを目にする機会が増えました。

漫画は、一般的なデザインとは制作工程が違うため、注意しなければいけないポイントがいくつかあります。文字の訂正とは違い、漫画を修正するには大幅な手間と時間を要する場合もあります。

そこで今回は、オリジナルで漫画を制作するときの流れと、各工程での注意点をご紹介いたします。

漫画制作の流れ

1.企画

まずは「啓蒙活動のために、読みやすく分かりやすいツールを作りたい」「商品説明を漫画にして、消費者の理解を深めたい」など 、制作の目的や漫画によって達成したい目標などを明確にします。ターゲットのペルソナ(老若男女、年齢、職業などの属性)、いつから使いたいのか(納期)、予算、アウトプットや媒体(冊子、Web、SNSなど)、カラーか白黒か、展開方法や使用期間などを検討しましょう。

漫画制作会社の多くは「1ページあたり〇万円」という料金設定をしており、あらかじめ予算が決まっていれば制作してもらえるページ数が算出できます。著名な漫画家さんにお願いしない限り、カラーで4~10万円ほどが1ページあたりの制作料の相場となります。

次に目的に応じた絵のタッチとトーン&マナーを決めます。

例えば、真面目なトーンで行きたいならビジネス漫画系のタッチ、インパクトを与えたいならアメコミ風や劇画タッチ、男性向けなら少年漫画風、女性向けなら少女漫画風…などターゲットによってテイストを変えることが大切です。

はっきりとしたイメージがない場合には漫画制作会社と相談し、もっとも目的達成に適したタッチを提案してもらいましょう。キャラクターのラフスケッチでイメージのすり合わせをしてからスタートすることもあります。

2.シナリオ制作

企画がまとまったら、制作に必要な資料・素材を提供したり、 概要が記載されたWebページなどを伝えたりして、漫画制作会社のライターにシナリオを制作してもらいましょう。

資料の例として、商品紹介なら、商品そのものや既存の商品販促パンフレット、取扱説明書などです。

キャラクターづくりや話の展開、結末(オチ)など、漫画で訴求したいことを掛け合わせたシナリオが作られますが、ページ数によっては「起承転結」ではなく「序破急」のシンプルな構成になることもあります。

シナリオが完成したら、目的に沿った内容になっているか、情報が正しく伝えられているか、トーン&マナーは適切か(コミカルになり過ぎていないか、堅過ぎないか)などをチェックしましょう。なお、シナリオ修正を依頼する際に「あれも言いたい」「これも伝えたい」と情報を詰め込み過ぎるとセリフが長くなり、吹き出しの中が文字だらけになってしまうので注意が必要です。

3.ネーム制作

シナリオが決まったら、次はネーム制作という工程に移ります。

ネームは、漫画を描く際のコマ割り、コマごとの構図・セリフ・キャラクターの配置等を大まかに表したもの。「コマ割」「ラフ・ネーム」「ラフ」、やや意味合いは異なるが「絵コンテ」などと呼ばれる場合もある。狭義では、ふきだしの中の台詞やモノローグを指し、元々はこちらの意味で使われていた。

ネーム (漫画) – Wikipedia
ネーム

文章であるシナリオが、実際にどんな漫画になるのかというストーリーイメージのほか、コマ割り・構図・大まかなセリフ回しをネームで確認します。

セリフは基本的には後工程でも修正可能ですが、イメージやコマ割り、構図はこの時点で確定させておきます。

4.下書き

次は下書きです。

下書き

下書きでは、ネームを元にキャラクターや背景が描き込まれます。実際の線ではなく、あくまでも下書きなのですが、ネーム時点で描き込まれていなかったディテールが描かれ、完成形がイメージできるようになります。登場人物の服装や表情、建物、乗り物、持ち物などがイメージと合致しているか、事実と相違ないかなどをチェックします。

下書き以降の工程でコマ割りや構図の修正を入れてしまうとネームから描き直しとなってしまうため、納期に影響してしまう場合もあり注意が必要です。

5.ペン入れ・彩色・セリフ入れ

下書きが終わったら、ペン入れと彩色+セリフ入れが行われます。

ペン入れとは、鉛筆などで描かれた下書きの描線を、インクや墨汁などでなぞって引き直すことです。近年はデジタルソフトで制作する漫画家さんが多く、ペンタブレット(通称ペンタブと呼ばれる板状のタブレット)にスタイラスペンで描画し、白黒またはカラーで仕上げて行きます。

ペン入れ・彩色

その後、セリフを入れる作業を経て完成です。完成した漫画は色(派手過ぎる・地味過ぎる・イメージと違うなどのギャップがないか)とテキスト(誤字脱字はないか、正しく配置されているか)をチェックします。

まとめ

今回は、オリジナルで漫画を制作するときの流れと、各工程の注意点についてご紹介しました。

ご説明しましたとおり、漫画の制作は独特の工程、流れを進行していくのが一般的です。その工程それぞれで注意点や配慮すべきことを意識しておけば、トラブルなくスムーズに進められることでしょう。ぜひ、参考にしてみてください。

オリジナル漫画制作サービスの漫画化伝説