2020年10月30日

2021年は丑(うし)年!縁起物や干支の意味、年賀状デザインの注意点とは

丑年

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年賀状に描かれる縁起物それぞれの意味、デザイン上の基本を抑えておこう

早いものでもう10月が終わろうとしています。

年末に向け、そろそろ年賀状の用意を始める企業も多いのではないかと思います。

送付リストのチェックも大事ですが、まずはデザインです。

年賀状には、干支に加え、日の出や松竹梅といった縁起物のモチーフが必ずといって良いほど描かれています。

それぞれが持つ意味をご存知でしょうか。

デザインを手掛ける前に、一度その意味を知っておくと、年賀状がより意義深い内容になっていくはずです。

今回は、縁起物や干支の意味、年賀状デザインの基本についてご紹介していきます。

年賀状の縁起物1.富士山・日の出

年賀状のイラストといえば、富士山を思い浮かべる人は多いと思います。

古来より霊峰として崇められており、その姿かたちの美しさから、なんとなく縁起のよいものという印象があります。しかし、そこにはちゃんとした由来があります。

富士山の富士を「不死」と掛けて、不老不死、つまり長寿を意味し、縁起が良いものとされてきたのです。

また、「無事」を掛けて無病息災や家内安全を意味するとも言われています。

このように富士山は縁起物として最強のモチーフなのです。

また、同じく縁起が良いとされるものに、初日の出(はつひので)があります。

初日の出が見られる場所には年神様(歳神様ともいいます)が現れるとされています。

年神様とは、家々に新年の幸せをもたらすと言われる神様です。

初日の出と共に現れた年神様へ、感謝と幸せを祈ることから、初日の出を拝むという行為に繋がったといいます。

そもそもお正月とはこの年神様を向かい入れ、お祝いするための行事です。

つまり、富士山と日の出の組み合わせはまさに最強タッグ!日の出と共に赤く染まったその姿から「赤富士」とも称され、年賀状にも多く描かれています。

年賀状の縁起物2. 松竹梅

松竹梅というと、商品やサービスのランク付け(格付け)を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。(某日本酒を思い浮かべる人もいるかもしれませんが…。)

しかし、そもそも松竹梅には順位付けや優劣はありません。

(諸説ありますが、江戸時代に寿司屋が上中並に縁起物として松竹梅を当てはめたのがキッカケと言われています。)

松竹梅は、もともとは中国の「歳寒三友」が日本に伝わったものとされています。

歳寒三友(さいかんのさんゆう)は、宋代より始まった、中国の文人画で好まれる画題のひとつであり、具体的には松・竹・梅の三つをさす。三つ一緒に描かれることも多いが、単体でも好んで描かれる。日本では「松竹梅(しょうちくばい)」と呼ばれる。
by 歳寒三友 – Wikipedia

中国での意味合いとは異なり、日本ではめでたいことの象徴として定着し、縁起物として扱われるようになりました。

松は常緑樹であり1000年もの寿命があることから長寿を象徴するものとして、竹は天に向かいまっすぐ伸び続け、枯れることなく新芽を出し続けることから子孫繁栄を象徴するものとして、梅は厳しい寒さのなか先駆けて美しく咲く姿から気高さや長寿の象徴とされてきました。

ちなみに門松には松竹梅が使われていますが、お正月に門松を用意するのも、先述のとおり歳神様の依り代(松に宿るとされています)のためや年神様が迷わず家に来て頂くための目印といった意味合いがあります。こちらも年賀状の定番モチーフの一つですね。

年賀状の縁起物3.扇・扇子

年賀状だけでなく、正月飾りなどでも使われる扇ですが、いったいどのような意味があるのでしょうか。

扇を開き逆さまにすると「末広がり」になりますよね。これが縁起ものとされる理由です。

末広がりが縁起物とされる理由は、富士山に似ているからなのです。

やはり富士山は日本のシンボルですね。

また奉納における舞では、扇は鈴や榊などと同様、依り代としても使われました。

このような理由から、扇・扇子は縁起物として扱われるようになりました。

年賀状の縁起物4. 七福神・宝船

七福神とは、幸福をもたらすとされている7柱の神様の総称です。御朱印帳として色紙を使い、各所に祀られる七福神を巡る「七福神巡り」もお馴染みです。

恵比寿様以外は、インドや中国など海外からやってきたという、実に多様性のある神様たちです。

七柱。それぞれ異なるご利益があります。

恵比寿:商売繁盛(日本蛭子尊(ひるこのみこと))

大黒天:豊穣・子孫繁栄(ヒンドゥー教シヴァ神の化身)

弁財天:地位向上・名誉獲得(ヒンドゥー教の神)

毘沙門天:厄除け・招福(ヒンドゥー教の神)

布袋:人徳・調和(中国の禅僧。唯一、実在の人物です!)

寿老人:長寿(中国・道教の神)

福禄寿:健康・子孫繁栄(中国・道教の神)

そして、七福神を乗せた船が宝船です。

このように七福神と宝船も最強タッグであり、人々に幸福をもたらす代表的な縁起物のひとつです。

年賀状の縁起物5. 打ち出の小槌(こづち)

打ち出の小槌(こづち)とは、振ることにより思いどおりのものが出てくるとされる槌(つち)のことです。童話一寸法師でもお馴染みですね。

七福神の大黒様が持っているのも「打ち出の小槌」です。

まさに幸福の象徴です。

干支、丑年の意味とは?

ほとんどの年賀状には、上記で挙げた縁起物の他に、その年の干支が描かれています。

そもそも干支(えと・かんし)とは、古代中国における時間や方角の数え方や仕組みで、五行(木・火・土・金・水)思想から生まれた十干(じっかん)と暦や方角を表すのに用いられてきた十二支(の動物)を組み合わせたものです。

普段私たちが使っている干支とは十二支のことで、正確には意味が異なります。

そして十二支それぞれにも意味があります。

2021年は丑(うし)です。

古来は、食用というより、重い荷物を運んだり畑を耕したりするために必要な動物でした。このことから牛は力強さや粘り強さ、誠実さの象徴とされています。

年賀状のデザイン、ここに注意しよう

ここではデザイン上、気をつけなければいけないことをご紹介します。

年賀状には以下3つの基本構成があります。

1.賀詞

賀詞とは、「初春のお慶びを申し上げます」「明けましておめでとうございます」「HAPPY NEW YEAR」といった新年のお祝いの言葉です。

ここで注意したいのは上司や目上の人に「賀」「賀正」「迎春」など1~2文字の賀詞を使用してはいけないというもの。

ビジネス向けであれば、避けたほうが無難です。

また賀詞を2つ用いるのもNG。年賀状のデザインテンプレートなどでも2つ使用されているものを多くみかけますので注意しましょう。

また「新年あけましておめでとうございます」はよくある間違い。「新年」と「あけまして」は同じ意味です。

2.年号

年号は必ず入れます。よくある話ですが、間違って「昨年」の年号を入れないようにしましょう。

ちなみに元旦とは1月1日のことを言います。こちらも1月元旦、1月1日元旦などとかくと重複ですので注意しましょう。

3.添え書き

「旧年中は格別のご愛顧を賜わり厚く御礼申し上げます」「旧年中は大変お世話になりました」などの一言を添えます。

ちなみに、「、」「。」などの句読点は不要です。

元々句読点は子供が読みやすいようにと使われた記号であることや、「区切りをつけない」という縁起を担ぐ意味から年賀状での使用はNGとされています。

その他注意事項

また差出人名や住所は、表面(宛名)か裏面、どちらかに記入しましょう。

黒い縁取りはグレーの文字は、お葬式を連想させてしまうため、使用NGです。写真のフレームでも黒い縁取りを使用するのは避けたほうが良いでしょう。

縁起物や干支の意味、年賀状デザインの注意点とは まとめ

私自身もそうですが、最近ではメールやLINE、SNSなどで新年の挨拶を済ませる人も増えたため、社会人になって初めて年賀状のマナーを認識した方も多いかと思います。

幼い頃に書くことはあっても、子供同士のやり取りということもあって、親からもマナーへの言及は曖昧だったように思います。

句読点を使わないなど、意外と知らないマナーもあったのではないでしょうか。

最近では、ハラスメント防止や経費削減を理由に「虚礼廃止」を行う企業も増えましたが、年賀状はまだまだ健在な日本文化の一つです。

作成の際にはぜひ参考にしていただきたいです。