2025年4月15日
明朝体とゴシック体の違いとは?特徴と使い分けを解説

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紙媒体やWeb媒体を問わず、デザインにおいてフォント選びは非常に重要な要素です。同じ文字でも、使うフォントによって読み手に与える印象は大きく変わってきます。
日本語のフォントには、「明朝体」「ゴシック体」「筆書体」「デザイン書体」といった大きく4つの種類があります。中でも、よく目にするのは「明朝体」と「ゴシック体」かと思いますが、それぞれの特徴や違いについては、意外とよく知らないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「明朝体」と「ゴシック体」を中心に、よく使われるフォントの特徴や違いについて、詳しくご紹介します。

明朝体とは?
明朝体は、文字の端にある「うろこ」と呼ばれる三角形の山が特徴的な書体です。
中国・宋の時代(10~13世紀頃)の木版印刷から発展したと言われています。
明朝体の特徴

明朝体は、横線に比べて縦線が太く、「とめ」「はね」「はらい」などの画線や筆使いが表現されているのが特徴です。可読性(文字の読みやすさ)が高く、長文でも疲れにくいため、書籍や新聞、教科書などの本文によく使われます。
また、明朝体は「上品」「高級感」「フォーマル」といった印象を与えるため、ビジネス文書にも適しています。
画数が多い漢字でも潰れにくく、小さな文字でも読みやすいのが利点ですが、解像度の低い印刷物やWeb環境では、細い線がかすれて読みにくくなることがあるため、フォントのサイズや太さに注意が必要です。
▼可読性・視認性については、以下の記事で詳しく解説しています。
ゴシック体とは?
ゴシック体は、「うろこ」がなく、すべての線がほぼ均一な太さで構成された書体です。
線の端や角が丸いものは「丸ゴシック体」、角ばっているものは「角ゴシック体」と呼ばれます。
ゴシック体の特徴

ゴシック体は、横線と縦線の太さが均一であり、「とめ」「はね」「はらい」といった筆の動きが強調されていないのが特徴です。明朝体のような「うろこ」はありませんが、線の始まりに「打ち込み」と呼ばれるアクセントがついているものもあります。
明朝体が可読性(文章の読みやすさ)に優れているのに対し、ゴシック体は視認性(文字の認識のしやすさ)が高く、遠くからでも見やすい書体です。そのため、タイトルや見出しなど、目立たせたい部分でよく使われています。
ゴシック体は「カジュアル」「親近感」「活発」といった印象を与えますが、太さによっても印象が変わり、太いゴシック体は「力強さ」、細いゴシック体は「洗練された」イメージを与えます。
一方で、ゴシック体はすべての線の太さが均一なため、文字にメリハリがなく、長文では読みづらく感じられることもあります。特に、太いゴシック体は文章量が多いと圧迫感が出たり、サイズによっては文字が潰れてしまうこともあるため注意が必要です。本文で使用する際には、丸ゴシック体や細めのゴシック体、ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)などを選ぶとよいでしょう。

▼UDフォントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
その他の書体
筆書体
筆書体は、その名のとおり、筆で書いたようなデザインの書体です。「とめ」「はね」「はらい」など、手書きの風合いが特徴で、「和風」「伝統的」「格式高い」といった印象を与えます。
筆書体は、主に「篆書体(てんしょたい)」「隷書体(れいしょたい)」「草書体(そうしょたい)」「行書体(ぎょうしょたい)」「楷書体(かいしょたい)」という5つの伝統的な書体をもとに作成されています。
このうち、「篆書体」や「隷書体」は印鑑などでよく使われる書体ですが、可読性や視認性が低いため、一般的な文書にはあまり向いていません。
行書体や草書体は、筆で流れるような動きを再現しており、画線がつながっていたり、省略されている部分があったりと、文字の形が崩れているものが多いのが特徴です。
一方、楷書体は一画一画が丁寧に書かれており、画線のつながりや崩しがないため、筆の風合いは控えめですが読みやすい書体です。

楷書体は一見すると明朝体と似ていますが、楷書体は横線に傾きがあったり、縦線と横線の太さが均一だったり、うろこが目立たないといった違いがあります。

デザイン書体
デザイン書体とは、装飾性やデザイン性が強調された書体を指します。個性的なものが多く、タイトルやロゴなど、インパクトを与えたいシーンでよく使われます。
目立ちやすく印象にも残りやすい反面、読みづらいものも多く、長文に使用すると読者に負担を与えたり、全体の印象がごちゃごちゃしてしまうこともあるため、使いどころには注意が必要です。
▼以下の記事でご紹介しているサイトでは、個性的でユニークなさまざまな書体を探すことができます。
まとめ
今回は、明朝体とゴシック体を中心に、日本語のフォントの種類や特徴についてご紹介しました。
フォントは、デザインや文章の印象を大きく左右する重要な要素です。それぞれのフォントの特徴を理解し、適切に使い分けることで、より効果的なデザインが可能になります。
同じデザインでも、フォントを変えるだけで読み手に与える印象が大きく変わるため、ぜひフォント選びの参考にしてみてください。
