2024年7月19日

明朝体とゴシック体の違いとは?特徴と使い分けを解説

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

紙媒体やWeb媒体を問わず、デザインにおいてフォント選びは非常に重要です。
同じ文字でも、使うフォントによって、見る人に与える印象は大きく異なります。

日本語のフォントは、大きく分けて「明朝体」「ゴシック体」「筆書体」「デザイン書体」の4種類があります。中でも、最もよく目にするのは「明朝体」と「ゴシック体」かと思いますが、それぞれの特徴や違いについてはよく知らないという方も少なくないのではないでしょうか?

そこで今回は、「明朝体」と「ゴシック体」の特徴と違いについてご紹介いたします。

明朝体とは?

明朝体は、「うろこ」と呼ばれる三角形の山が特徴的な書体です。
その名のとおり、明朝時代に発展した書体で、中国の宋の時代からの影響を受けていると言われています。

明朝体の特徴

明朝体の特徴

明朝体は、横線に対して縦線が太く、「とめ」「はね」「はらい」などの画線や筆使いが表現されているのが特徴です。可読性(文字の読みやすさ)が高く、長文でも読者が疲れにくいため、書籍や新聞、教科書などの本文によく使われます。

また、明朝体は「上品」「高級感」「フォーマル」といった印象を与え、ビジネス文書の作成にも適しています。

画数が多い漢字でも潰れにくく、小さな文字でも読みやすいのが特徴ですが、解像度の低い印刷物やWeb上では、細い線がかすれて読みにくくなることがあるため、フォントのサイズや太さには注意が必要です。

▼可読性・視認性については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

ゴシック体とは?

ゴシック体は、すべての画線の太さが均一で、「うろこ」と呼ばれる三角形がない書体を指します。
線の端や角が丸いものは「丸ゴシック体」、角ばったものは「角ゴシック体」と呼ばれます。

ゴシック体の特徴

ゴシック体の特徴

ゴシック体の特徴は、横線と縦線の太さが均一であり、「とめ」「はね」「はらい」といった筆の動きが強調されていない点です。また、「うろこ」はありませんが、線の始まりに「打ち込み」と呼ばれるアクセントがついているものもあります。

明朝体が可読性(文章の読みやすさ)に優れているのに対し、ゴシック体は視認性(文字の認識のしやすさ)が高く、遠くからでも見やすい書体です。そのため、タイトルや見出しなど、目立たせたい部分でよく使われます。

ゴシック体は「カジュアル」「親近感」「活発」といった印象を与えますが、太さによって印象が大きく異なります。例えば、太いゴシック体は「力強さ」、細いゴシック体は「洗練された」イメージを与えます。

しかし、ゴシック体はすべての線の太さが均一なため、文字にメリハリがなく、明朝体に比べて可読性が低く、長い文章には不向きと言えます。また、太いゴシック体は文章量が多いと圧迫感があり、フォントサイズによっては文字が潰れてしまうこともあるため、注意が必要です。本文で使用する際には、丸ゴシック体や細めのゴシック体、UDフォントなどを選ぶとよいでしょう。

明朝体とゴシック体の比較

▼UDフォントについては以下の記事で紹介しています。

その他の書体

筆書体

筆書体は、その名のとおり、筆で書いたようなデザインの書体です。「とめ」「はね」「はらい」など、手書きの風合いが特徴で、「和風」「伝統的」「格式高い」といった印象を与えます。

筆書体は主に、「篆書体(てんしょたい)」「隷書体(れいしょたい)」「草書体(そうしょたい)」「行書体(ぎょうしょたい)」「楷書体(かいしょたい)」という5つの伝統的な書体をもとに作成されています。

「篆書体」や「隷書体」は印鑑などでよく使われる書体ですが、可読性や視認性が低いため、文書などでの使用には向いていません。

行書体や草書体は、筆で流れるような動きを表現しており、画線がつながっていたり、省略されている部分があったりと、文字の形を崩した書体になっています。

楷書体は、行書体や草書体に比べて、一画一画をしっかりと書き、画線のつながりや崩しがないため、筆の風合いは控えめですが読みやすい書体です。

行書体と楷書体の比較

明朝体と似ていますが、楷書体は横線が傾いていたり、縦線と横線の太さが均一だったり、うろこが目立たないといった違いがあります。

明朝体と楷書体の比較

デザイン書体

デザイン書体は、装飾性やデザイン性の高い書体を指します。個性的なものが多く、タイトルやロゴなど、インパクトを与えたいシーンでよく使われます。

目立ちやすく、印象に残る書体ですが、可読性が低いものが多いため、長い文章では目に負担を与えたり、煩雑な印象を与えることがあるため、注意が必要です。

▼以下の記事でご紹介しているサイトでは、個性的でユニークなさまざまな書体を探すことができます。

まとめ

今回は、明朝体とゴシック体を中心に、日本語のフォントの特徴についてご紹介しました。

適切なフォントを選ぶためには、それぞれのフォントの特徴を理解することが重要です。

同じデザインでも、フォントを変えるだけで読み手に与える印象が大きく変わるため、ぜひ参考にしてみてください。

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