2015年10月19日

印刷に使う基本的な明朝体、ゴシック体、特殊書体の特徴

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印刷物のフォントにこだわろう

あなたは、印刷物を作る時にどのようなフォント(書体)を使用していますか。

チラシでも、パンフレットでも、WEBサイトでも、フォントを使わないことはほぼありません。

フォントにそこまでこだわる必要ある?と思う方もいるかもしれませんが、情報を目立たせ、読み手に印象を残すデザインにするためには、雰囲気を明確にあらわすフォントの知識は必要です。

特に、DTPデザイナーはフォントにこだわりを持っています。

印刷物に使われるフォントは印象に残るだけではなく、可読性、視認性、判読性を上げるための手段としても用いられます。

文章の読みやすさを決める可読性、視認性、判読性とは

と言っても、どのようなフォントがあるのかをある程度知っておかないと、選ぶことはできません。

そこで今回は、よく使う代表的な日本語フォントの形が持つ特徴をご紹介したいと思います。

日本語フォントの分類

日本語フォントは、明朝体、ゴシック体、特殊書体に分けられます。

明朝体、ゴシック体の中には、それぞれ印刷物に使いやすい、美しいフォントがありますが、今回は特殊書体に焦点をあてて分類します。

和文フォントは、大きく以下の3つに分けられます。

・明朝系…繊細、高級感
・ゴシック系…力強い、モダン、信頼感
・筆書体…和風、伝統的
・手書き風文字…やわらか、あたたかみ、チープ

参考:デザインイメージが大きく変わるフォントの選び方

特殊書体とは、上記の筆書体や手書き風文字にあたるフォントです。

明朝体とゴシック体は書き方のまとまりを表しますが、特殊書体は特定のフォントのことではなく、その他に分類されるものと思ってください。

その他と言っても、フォントにはさまざまな種類があります。街中やデスク周りを見渡してみてください。「このフォントって何?」と思うものがたくさんあるはずです。

基本的な明朝体とゴシック体の特徴

明朝体の特徴

明朝体

明朝体は、横線が細く、縦線は太くなっており、文字の端に「うろこ」と呼ばれる三角形の飾りがあります。

明朝体は、強弱があるため文字の形を判別しやすく、正確に読めるため、疲れを感じにくい特徴があります。また、横線が細いため、軽やかで明るい印象になります。そのため、長めの文章に使いやすいフォントです。

ただし、フォントが小さくなると線の細さのため、文字が判別しづらくなります。

参考:読まれるチラシを作るための4つのルール

MS明朝はヒラギノ明朝や游明朝、小塚明朝よりも文字が薄く見え、少々読みにくくなります。しかし、游明朝や小塚明朝は対応していないパソコンやプリンターもあるので、注意が必要です。

ゴシック体の特徴

ゴシック体

ゴシック体は、横線、縦線ともに線の太さが一定で、全体的にきっちりした印象のフォントです。

ゴシック体は、線の太さが均一なので、明朝体に比べてインパクトがあり、目に入りやすい特徴があります。そのため、簡潔に要点を伝える文章やキャッチコピーに使われることが多いフォントです。

また、ある程度小さな文字でも読みやすいため、雑誌の本文や注釈などに使われやすいフォントです。

参考:読まれるチラシを作るための4つのルール

特殊書体の特徴

特殊書体には、さまざまなフォントがありますが、今回は特徴があるフォント形式を12種選んでみました。

windows、Macでそれぞれ搭載フォントは違いますし、無料ダウンロードできるフォント、購入のみの有料フォントもあるため、まずは形を押さえて、後で必要かどうかを考えましょう。

特殊書体1.丸ゴシック

丸ゴシック

丸ゴシックは、ゴシック体で線の端が丸い特徴があります。ゴシック体よりも柔らかい印象を与えます。

大きく崩したフォントではないため、本文に使われたり、可愛らしい雰囲気を伝える際のキャッチに使われます。

特殊書体2.教科書体

教科書体

教科書体は、小学校や中学校の教科書で使われる毛筆フォントです。明朝体よりも手書きに近く、筆の雰囲気がでていますが、読みやすい文字です。

特殊書体3.新聞書体

新聞書体は手元にないので、こちらでご確認を。

参考:株式会社イワタ 製品情報|イワタ新聞書体一覧

新聞書体は明朝体を縦に少し潰した感じで、判読性の高いフォントです。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞など、大手の新聞社にはそれぞれ独自のフォントがあります。

特殊書体4.隷書体

隷書体

隷書体も毛筆フォントです。伝統的な平べったいフォントで、読みやすさよりも特徴重視な文字ですね。個性が強いので、使いどころは考えものです。

特殊書体5.楷書体

楷書体

楷書体は、教科書体よりもさらに筆の雰囲気を強くしたものです。日本らしさ、厳格さなどを与えます。名刺、判子、旅館や神社など雰囲気に特徴がある印刷物などに使われます。

特殊書体6.行書体・草書体

行書体

行書体は楷書体を繋げたり崩したフォントで、楷書体よりも柔らかい印象を与えます。草書体は行書体よりもさらに崩しています。隷書体が中国っぽいイメージのフォントに対して、行書体・草書体は、和風な演出をするために使われます。

特殊書体7.ペン字体

ペン字体

ペン字体には、楷書体の細い文字から行書体に近い文字まで色々あります。決して読みやすいフォントではないため、手描きの雰囲気を伝えたいシチュエーションで使用されます。

特殊書体8.勘亭流体

勘亭流

勘亭流体は、江戸時代に歌舞伎や落語で使われていたフォントです。日本的な雰囲気があり、現代では居酒屋や焼き鳥屋の看板、メニューに使われています。

文字の間隔が詰まっているように見えるのは、歌舞伎や寄席で満席になるようにとの願いが込められているため、また、右肩上がりなのは、売上げが伸びることを願っているそうです。

特殊書体9.江戸書体

江戸書体は手元にないので、こちらでご確認を。

参考:江戸書体 – Google 検索

江戸書体は、勘亭流体に似たもので個性的です。太い筆で書いたように全体的に文字の線が太く、日本的な感じを伝えるフォントです。

特殊書体10.手書き書体

手書き書体

手書き風の文字です。手紙っぽい味を出したいときなどに良いでしょう。

特殊書体11.ポップ体

ポップ体

ポップ体は、明るくポップな感じのフォントです。人目を惹きやすく、元気な印象を与えます。親近感がわく反面、安っぽい印象にもなるため、あくまでアクセントとして使うようにしましょう。

特殊書体12.デザイン書体

デザイン書体

デザイン書体とは、決まったフォント形式ではなく、デザインされた個性的なフォントのことです。それぞれの個性に合わせてロゴなどに使うとよいでしょう。

和文フォントの場合、漢字以外のひらがな、カタカナ、英数字にデザインを施したフォントがほとんどです。

こちらを参考にするとイメージが湧きやすいでしょう。

参考:フォントフリー – 無料で使える日本語フォント投稿サイト

基本的な明朝体、ゴシック体、特殊書体の特徴まとめ

今回ご紹介したフォントは、一般的で普段からよく使われているものばかりなのでぜひ覚えてください。

フォントは有料無料問わず、これら以外にもさまざまな種類があるため、デザインを作る重要な要素としてフォントをメインに考えるデザイナーは非常に多いでしょう。

そのため、表現したいデザインに合わせたフォント選びは欠かせません。さまざまなフォントを見てイメージを膨らましつつ、一度とことんまで探求してみることをおすすめします。

そして、あなたに合う良いフォントを見つけたら、実際に印刷してみて思った通りのものか確かめるようにしましょう。

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