2020年7月30日

目指せクロージング!営業トークマニュアルの作り方

営業トークマニュアル

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営業マニュアルといえば、トークマニュアルを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

営業トークマニュアルとは、実際に商談の場で話す内容や順番などの話法です。トークスクリプト(台本)とも呼ばれています。

どのような商品や商材でも、セールスポイントやセールストークの骨子は予め設定されているものです。

そこで今回は、営業マニュアルの肝であるトークマニュアルの作成方法についてご紹介していきます。

営業トークマニュアルの作成手順

営業トークには、大きく3つの流れがあり、アプローチ → プレゼンテーション (応酬話法) → クロージング、それぞれの段階毎に話法のフォーマットを作成していきます。

作成手順は以下のとおり。

1.インタビュー、営業同行による結果を基に商談の流れを書き抜く。

2.購買心理の各段階に合わせて、話法の展開や態度・行動、ツールの活用等を見直し、加工、整理を図る。

3.これを標準化し一覧表に作成する。

4.一覧表に準じて、アプローチ、プレゼンテーション(応酬話法)、クロージングの各段階のマニュアルを作成する。

続いては各段階に応じたマニュアルの作成方法を具体的に解説します。

営業トークマニュアルの作り方1.アプローチについて

まずは第一段階のアプローチについて説明します。重要なのは、以下に相手に興味を持ってもらうかということです。

いきなり商品の話をするのはNG。というのも、アプローチの場面で、初めてあなたの話を聞くときのお客さまの気持ちは、「売り込まれるのでは?」…といったマイナスの気持ちです。

アプローチの目的は、まずはお客さまが持っていると思われる売り込みに対するマイナスの気持ちを、プラスの気持ちに引き上げることです。

お客さまは自分や自社にメリットがないことには耳を傾けません。

目的は、自分自身、自社を正しく伝えた上で、顧客を正しく把握し、そのニーズを適確に把えることです。

具体的には以下のように進めます。

1.自己紹介(会社紹介)…自信を持って伝えましょう。

2.前置き… 落ちつきと誠意をもって行います。

3.問いかけ… おだやかに、気楽に伝えましょう。

この段階でのポイントは、お客様の反応を把握し、後のプレゼンテーション、クロージングの段階で何にポイントを置いて話をすべきか、又どういう抵抗があり得るかを予め予測する事です。

お客さまの気持ちがプラスの状態になっていないにもかかわらず、無理に商品を購入してもらおうとしても、お客さまは真剣に考える気持ちになっていなっていないため、後々拒否反応が出てくることもあります。

現状で認識を誤ると、後々のクロージングまで影響します。

また時折出てくる質問内容には充分注意を払う必要があります。

営業トークマニュアルの作り方2.プレゼンテーションについて

次のステップは(商品)内容を具体的に説明するプレゼンテーションです。
プレゼンテーションの重要な点は、顧客に「欲求」を起させることで、商品の明確な説明のみでなく、その商品がお客様にどういうメリット(利益)を提供するかを説明・理解してもらう必要があります。
    
営業におけるプレゼンテーションは以下の4原則を意識しましょう。

1.明確であること

曖昧な表現は誤解招き、後々のトラブルにも繋がります。

2.完璧に説明すること

情報は不足なく伝え、お客様がどこに関心があるのかを探ります。

3.顧客第一であること

自分たちがお客様にとってのメリット、利益を一番に考えていることを相手に感じ取って頂けるよう伝えます。

4.競合他社を忘れさせること

お客様の中から競合他社を忘れさせることです。お客様の課題を解決するには、これ以外にないという点を立証します。

続いて、プレゼンテーションの標準化(トークスクリプトの作成)は以下の手順に沿って行います。

1.商談の流れを把握する

営業同行等の調査に基づき、現実の商談の流れを表にまとめます。このとき、営業マンのトーク内容などもメモしておくといいでしょう。

2.自社商品・サービスに関する情報収集と検証

当該商品及びサービスに関する情報を集め、セーリングポイント表を作成します。顧客の声なども参考にしましょう。

3.セーリングポイント文の作成

セーリングポイント表に基づき、セーリングポイントの文を作成します。

4.トーク展開を考える

購買心理の各段階(興味→連想→欲求→比較・検討)に合わせてトークの展開を考えます。顧客の課題に合わせ、セーリングポイントを入れ込みます。

プレゼンテーションで大事なことは、それが単なる「主張」に終わってはいけないということです。

確かな裏付けとしての客観的データ、写真、自分の言葉を立証するための道具を最大限に活用することです。

また、お客様からの疑問や質問などに即座に答えられるよう、シミュレーションや資料の整理などを行います。 念入りな準備がプレゼンテーションの成否に深く関与しているのです。

営業トークマニュアルの作り方3.クロージングについて

クロージングとは、商品の購入や提案の採用をお客さまに決めていただくこと、つまり最終ステップです。

お客様の背中を押し、最後の購入決意を促すことがクロージングのポイントとなります。

クロージング話法のパターン化は以下の手順に沿って行います。

1.クロージングに入る段階のタイミングを明示する

アプローチでも言及しましたが、いきなり決断を迫っても相手は警戒するだけです。

例としては、以下のようなタイミングが挙げられます。

セールス側

・お客のニーズにぴったり合うセールスポイントを提供したとき。
・他社にはない最も強力なセールスポイントを説明したとき。
・反論をうまく克服できたとき。
・デモをしたとき

顧客側

・価格、納期、支払条件などについて質問があったとき。
・「もっと詳しく知りたい」と申し出があったとき。
・前に置いてある製品やサンプルを取り上げて見入ったとき。
・確認質問にお客がよくうなずき出したとき。
・お客がセールスマンの言葉を繰り返したとき。
・周囲の人に声をかけたとき。
・両者のフィーリングがピッタリと合ったと思えたとき。

以上はクロージングのチャンス例ですが、これらは、販売形態を問わず共通しています。

(但し、営業内容により、クロージングチャンスのタイミングがやや異なる場合があります)

2.クロージング話法のフォーマット

クロージングには様々なテクニックがありますが、以下に示す代表的なクロージング話法を応用してその会社独自のクロージングフォーマットを決めていきます。

<二者択一法>

「Aになさいますか、それともBになさいますか。」の二者択一話法です。
よくある営業テクニックで、選択話法、イエス・バット法とも言われています。
二つ並べて質問することで、YES・NOではなく相手がどちらか一つを選べるように促す話法です。

  • 数量
    「50ダースそれとも100ダース?」(多少多めに!)
  • 納期
    「月末と月初はどちらがよろしいですか」
    「配達は来週の月曜からにしましょうか。それとも火曜からにしましょうか」
  • 機種
    「機能面からAサイズ、経済性からBサイズといえますが、どちらになさいますか」

これは商品の特性からあらゆるパターンを作成できます。

<経験提案法>

セールスマンが自分の経験を生かしてクロージングする方法です。
日頃の信頼関係が醸成されていればいるほど提案しやすい傾向があります。

  • 「私の経験ですと」…を前置きして提案する。
  • 「お宅様の立地条件を考えますと月々50ダースはかたいと思いますので、とりあえず50ダースおもちしましょう。」
  • 「この機種は部屋のコーナーに設置しますとよろしいと存じますのでドアと窓の間ではいかがですか。」

具体的な提案があればあるほど説得力が増します。

<比較法>

意志決定の遅いお客様に早く決定を促す為に、競争他社に先がけてお客様の意志決定に役立つ資料や情報提供し比較させる方法です。

営業マン「いろいろお話しして参りましたが、私どものシステムの導入に際して、何かご不満な点がございますか」
お客様「価格がね、在庫も心配だなあ。納期遅れはないの?」
営業マン「わかりました。ご心配はこの二点でございますね。」
(紙にきれいに書いて提示)
    「ごらん下さい、私共のシステムにより考えられるメリットは10点でございます。」
    「是非来週寄らして頂きますのでご検討の程よろしくお願いします。」

クロージングテクニックは上記以外にもたくさんありますし、参考にすべきところは取り入れてもいいでしょう。しかし、アプローチやプレゼンがうまくいっていない場合、クロージングの段階で挽回しようとしてもなかなか成功しません。お客さまが提案を採用されるかどうかは、アプローチからプレゼンの段階でおおよそ決定されています。

クロージングへのタイミングが難しい…そんなときはアプローチやプレゼンを見直すことも大事です。またシミュレーションを繰り返し、クロージングのタイミングを逃さないようにしましょう。

営業トークマニュアルの作り方 まとめ

小手先のテクニックだけで簡単にモノは売れません。(モノとは限りませんが…)

お客様が抱える課題や求めるメリットは、一人ひとり、一社一社異なるものであり、杓子定規で測れるものではありません。

しかし商談の流れを把握し、お客様のシチュエーションにあった商品のセールスポイントなどを整理していくことで、営業トークの標準化は可能です。

一度作って終わりにするだけでなく、現場からのノウハウの共有、競合や市場の調査、提案資料の見直し、営業トークのブラッシュアップを続けていくことで、トークスクリプトのクオリティは格段に上がっていくでしょう。

シチュエーションによってはマニュアル通りにいかないことがあるのは大前提ですが、営業スキルの底上げを狙う意味でも、トークマニュアルは作るべきだと思います。