2025年6月26日

マニュアルの翻訳を依頼する前にやっておきたい4つの準備

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翻訳とローカライズの違いとは?

グローバル化が進み、日本製品の海外輸出や事業の海外展開が一般的になったことにともなって、マニュアルや取扱説明書の翻訳・ローカライズへの需要も高まっています。

「翻訳」と「ローカライズ」はしばしば混同されがちですが、実は両者には違いがあります。翻訳は、ある言語の文章を別の言語に変換することを指します。一方でローカライズは、翻訳に加えて、文化・習慣・宗教など対象地域の背景を考慮し、表現や内容を現地に適した形に最適化する作業です。

翻訳…ある言語を別の言語に変換すること
ローカライズ…言語の変換に加え、文化や習慣を考慮し、表現などを最適化すること

翻訳だけでは、国や地域によっては意味が正しく伝わらなかったり、誤解を招くおそれがあります。製品やサービスを海外展開するうえでは、ローカライズも不可欠といえるでしょう。

マニュアルや取扱説明書の翻訳・ローカライズは専門性の高い作業であり、翻訳会社に依頼するケースが多いです。今回は、翻訳会社へ依頼する前に準備しておきたいポイントをご紹介します。

▼日英の機械翻訳の注意点については、以下の記事でご紹介しています。

マニュアル作成や取扱説明書の作成ならマニュアル制作.com

マニュアルの翻訳を依頼する前に準備しておきたいこと

1.翻訳の対象範囲を明確にする

翻訳会社にマニュアルを丸ごと渡すのではなく、まずはどの部分を翻訳する必要があるのかを事前に見極めましょう。

後になって「この部分は翻訳不要だった」と判明すると、無駄なコストや作業が発生してしまいます。マニュアル全体を改めて見直すことで、内容の重複や不要な情報に気付けることもあり、翻訳の効率化にもつながります。

また、図表や画像を使っている場合は、それらも翻訳やローカライズの対象とするかを確認しておくことが重要です。

2.元となる日本語マニュアルの文章を整えておく

翻訳の品質は、元の日本語マニュアルの文章に大きく左右されます。特に、翻訳を前提としたマニュアルであれば、元の日本語マニュアルを作成する段階から、翻訳を意識した表現にしておくとよいでしょう。

日本語は主語の省略や曖昧な表現が多いため、伝わりにくい文章では翻訳者が誤解しやすくなります。誤訳を防ぐためにも、主語と述語を明確にし、簡潔で明瞭な文章に整えましょう。社内でしか通じない略語や慣用表現が含まれている場合は、一般的な言い回しに修正しておく必要があります。

さらに、原文に誤りがあると、そのまま誤った内容が翻訳されてしまうため、原文の正確性も必ず事前に確認しておきましょう。

3.専門用語の用語集や対訳表を用意する

専門用語や略語は、翻訳会社にとって意味を把握しにくく、誤訳やニュアンスのズレを招く原因になりやすい要素です。

自社の業界に精通した翻訳会社を選ぶことも一つの方法ですが、それに加えて専門用語の意味や正式名称などをまとめた用語集や対訳表を用意しておくと、より確実です。

また、表記統一のルールがある場合は、それらもあらかじめ文書化して共有しておくと、仕上がりの品質が上がります。

4.完成イメージや参考資料を共有する

過去に作成した翻訳済みのマニュアルや、類似製品の外国語版資料などがある場合は、それらを翻訳会社に共有しておきましょう。

文体や用語の使い方など、完成イメージを具体的に伝えることで、翻訳の方向性が明確になり、精度の高い仕上がりが期待できます。

さらに、マニュアルの対象となる国・地域、読者層(技術者向け、一般ユーザー向けなど)、使用目的なども共有しておくと、翻訳会社がより適切な表現を選びやすくなります。

まとめ

今回は、マニュアルの翻訳を依頼する際に、あらかじめ準備しておきたい4つのポイントをご紹介しました。

翻訳会社には、それぞれ得意分野や対応可能な言語があります。依頼先を選定する前にしっかりと情報収集を行い、自社に最適なパートナーを見つけましょう。

事前の準備を丁寧に行うことで、翻訳の精度が高まり、無駄なコストや手戻りのリスクを減らすことができます。マニュアルの多言語化を成功させるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

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