2015年9月28日
需要増大!マニュアルのローカライズ翻訳の流れと注意点

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需要の増えるマニュアルのローカライズ翻訳
国際化の進む今日では、海外資本の日本法人、外資系企業の日本支社などは珍しくありません。
また、海外企業との交流も増えたため、商品を日本に輸入して販売したり、日本にはない業務効率化システムを社内に適用するということも増えているでしょう。
このように、海外の商品やサービスを日本市場向けに作り替える作業をローカライズと言います。それに伴なって、マニュアルも日本語版マニュアルを作る「ローカライズ翻訳」が増えてきています。
しかし、海外資本の日本法人、外資系企業の日本支社などの場合、本国から運営マニュアル、教育マニュアルをポンと渡されて「あとは任せた」が多く、ローカライズに苦労した経験を持つ方もいるのではないでしょうか。
ローカライズ翻訳は、単純な翻訳作業ではないため、仕入れた商品や使いたいシステムを使い始めるまでの壁が高くなってしまいます。
たとえ、面倒なローカライズ作業を外注に出すとしても、
・原稿データに不備が多いため確認が必要
・取り寄せできないデータはスキャン加工するなど、ルールが必要
・その業界特有の専門英語が使われている場合の翻訳
これらのことが考えられますし、他にもイレギュラー対応があると考えると、思っている以上にコストが嵩みます。
せめて外注に出す前に内部で整理をしておけば、無駄なコストを支払わなくて済みますし、今後海外商品、サービスを利用する場合のテンプレートも作っておけます。
そこで今回は、マニュアルのローカライズ翻訳の流れと翻訳の際に気をつけるべきポイントをお伝えします。
ローカライズ翻訳の流れと注意点
翻訳作業に取りかかる前に、まず全体像を把握する必要があります。まずは、時間をかけてでも全体の構成や注意点を把握しておきましょう。
日本語マニュアルを作る軽いイメージで作業をすると、失敗してしまうかもしれません(日本語のマニュアル作りも決して簡単ではありませんが)。
マニュアル翻訳の流れ1.海外で使われているマニュアル、資料を取り寄せる
まずは、海外で使われているマニュアルの現物資料がないとお話になりません。実際に使われているマニュアルならば、データだけではなく、実マニュアルを取り寄せましょう。
実際のマニュアルを見ることで、フォントサイズやレイアウトなどがわかりますし、何度も目を通すことで、完成形をイメージすることができます。
もちろん、商材や商品の実物チェックも忘れずに。
マニュアル翻訳の流れ2.使える素材をチェックする
挿絵に使われている画像や写真が使えるのかを最初にチェックします。チェックとは、「あるかないか+使えるかどうか」のチェックです。
1.素材データに不足がないか、元データのサイズや解像度確認も必要
2.会社同士での素材の権利、そもそもの著作権も確認
マニュアル翻訳の流れ3.どこまで専門性があるか確認する
専門性が高い商品やサービスの場合、その分野の方でなければわからない言い回しや単語を使っていることがあります。
専門用語の翻訳は向き不向きがあるため、複数の翻訳会社に対して、分野における翻訳が可能かどうか聞いておきましょう。
言語、業界、誰に対するどんな商品・サービスなのか、いつ頃の商品・サービスなのかを理解し、翻訳会社にチェックしてもらっても良いでしょう。
マニュアル翻訳の流れ4.挿絵の意味を理解する
画像や写真が多く使われているマニュアルは、内容全体像をつかむ大きなヒントになります。全体像を掴むためには、ある程度画像や写真の使われ方から意味がわかるようにイメージしましょう。
文化が違うため、画像も日本版に合わせてローカライズする必要性があります。もちろんその場合は、海外現地の許可を取らなければいけないため、しっかりと意味を理解しておきましょう。
マニュアル翻訳の流れ5.翻訳の依頼をする
ローカライズ翻訳を社外に依頼する場合は、前述した通り複数の翻訳会社に依頼しましょう。
大筋は1社に任せて専門用語のチェックをしてもらいます。また専門用語周辺の文章は別会社に依頼して、二重チェックをすると誤訳は少なくなります。
マニュアル翻訳の流れ6.翻訳内容を現地チェックしてもらう
意味がわからないものやあいまいな表現は、挿絵+言語説明を入れて、海外現地にチェックをしてもらいましょう。
翻訳会社に説明文章の依頼をした上で、解釈が間違っていないかをチェックします。画像や写真も同様に、簡単な説明を書いて送ったうえで、意思疎通を測りましょう。
マニュアル翻訳の流れ7.翻訳確認後は通常マニュアル作成
翻訳に間違いがなければ、マニュアル作成に移ります。あとは、通常のマニュアル作成作業と同じです。目的や対象を意識してマニュアルを作成しましょう。
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マニュアルのローカライズ翻訳の流れと注意点まとめ
以前に比べて、海外製品を目にする機会が増えてきています。
もしかすると、海外の情報をいち早く取り入れ、事業に活かしていく行為は、今後企業にとってマストになっていくかもしれません。
そこで重要になるのが、海外情報を入手し、日本市場に向けて企画し直すローカライズと、実際の商品を入手し、日本市場に向けて販売できるように整備するローカライズです。
製品やサービスを使うことになってからローカライズ翻訳をしていては動きが遅くなってしまうため、マニュアルのローカライズ翻訳も当たりをつける作業が必要なのです。
需要が増え続けるローカライズ翻訳を失敗しないためにも、今回ご紹介したチェックポイントはぜひ押さえておいてください。