2015年10月29日

日本の広告費50%を占めるプロモーションメディアとは?

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

広告費シェア1位のプロモーションメディア広告?

日本の広告費は4マスが徐々に減って、インターネット広告費が増えている。

これは、広告業界に強くない方でも、何となくわかる広告市場の流れではないかと思います。

以前、4マス広告のメリットデメリットをお話したときに、以下の広告費内訳のグラフをご紹介しました。

媒体別広告費(積み上げグラフ、億円)

参考:
30年あまりにわたる広告費推移をグラフ化してみる(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(最新) – ガベージニュース

参考:
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4マス広告のメリットとは

「うんうん、確かに4マスは減少傾向で、インターネット広告が増えてきてるね……って、それよりも大部分を占めているプロモーションメディア広告って何よ!?」

4マス広告とインターネット広告の関連性を調べても、このプロモーションメディア広告をスルーしてる方は、意外と多いと思います。

ところが、リーマンショック時に大きく全体広告費が減少しても、プロモーションメディア広告が広告費に占める割合はほぼ変わりがありません。

プロモーションメディア広告費が広告費全体に占める割合
2009年:53.56%
2010年:53.54%
2011年:54.11%
2012年:54.71%
2013年:55.42%
2014年:55.12%
2015年:56.23%
2016年:55.89%
2017年:54.85%
2018年:54.67%

つまり、プロモーションメディア広告は、現在の広告市場において、どのような市場環境でも等しく需要がある広告費だと言えるのです。

では、このプロモーションメディア広告とは一体何なのでしょうか。細かく分解して見ていきましょう。

プロモーションメディア広告とは?

いきなり答えを言ってしまうと、プロモーションメディア広告とは、セールスプロモーション広告のことを言います。つまり、以下の販促活動に発生する広告費(販促費)のことです。

・屋外広告
・交通広告
・折込チラシ
・DM
・フリーペーパー
・POP
・電話帳広告
・展示・映像・他

媒体構成比

参考:2018年 日本の広告費|プロモーションメディア – 電通

プロモーションの意味は、以下でご紹介している通り。

販促は、販売促進の略で、商品のニーズを引き出し、購入意欲を高めて、販売を促すことを目的としています。

手法は何でも良く、商品を販売に繋げられれば、販売促進と言えます。

一般的によく知られるものは、チラシ、パンフレットなどのSP(Sales Promotion)媒体、そして先程の交通広告とWEB広告が、販売促進に該当します。

外向きの販促活動だけでなく、POPなど、店内の装飾も販促の範疇に入ります。また、クーポンを配ったり、プレゼントを用意する行為も販促に入ります。

参考:販促、広告、広報の違いとは?予算・経費計上の考え方を比較

通常、広告費は、4マス広告とそれ以外と分けるのですが、インターネット広告に関しては、今後圧倒的に伸びると予測されているため、敢えてわけて考えることもあります。

さて、上記円グラフを見てお分かりの通り、折込チラシやDM(ダイレクトメール)は、非常に効果的な販促手法であるため、広告市場全体の14.4%を占めています。

折込チラシ、DM単体でも、雑誌広告、ラジオCMより広告費は多く、合計では新聞広告も上回ります。

2009年から見ると、多少減少傾向ではあるものの、依然高い割合を保っていることがわかります。

折込チラシとDMが広告費全体に占める割合
2009年:折込チラシ(9.2%)|DM(7.1%)
2010年:折込チラシ(9.0%)|DM(7.0%)
2011年:折込チラシ(8.9%)|DM(6.8%)
2012年:折込チラシ(8.8%)|DM(6.7%)
2013年:折込チラシ(8.5%)|DM(6.5%)
2014年:折込チラシ(8.0%)|DM(6.4%)
2015年:折込チラシ(7.9%)|DM(6.4%)
2016年:折込チラシ(7.3%)|DM(6.2%)
2017年:折込チラシ(6.9%)|DM(6.1%)
2018年:折込チラシ(6.5%)|DM(6.1%)

私の業務に関係が深いことから、折込チラシとDMをピックアップしてみましたが、その他のプロモーションメディア広告も大きな減少はなく、高い割合で推移しています。

では、なぜプロモーションメディア広告は、市場全体の広告費に対して、その割合が大きく変わらずに推移しているのでしょうか。

プロモーションメディア広告が減らない理由1.時代に合わせて変化しているため

プロモーションメディア広告は、時代に合わせて形を変えています。

たとえば、屋外広告や交通広告は、SNSと連携したイベント展開やデジタルサイネージでの看板が増えています。

DMは、タウンプラスなどのGIS(地理情報システム)データを用いた無宛名メール便もエリアマーケティングの手法として定着し、フリーペーパーとWEBの連動は当たり前になりました。

通常、ダイレクトメールサービスというと、顧客リストやDMリストを持っていないと送ることができません。

ところがタウンプラスは、リストがなくても、日本郵便が持つ住所データやGISデータを用いて、性別、年齢、家族構成、世帯別年収データなどをもとに広告を配達できます。

つまりタウンプラスを使えば、新しい地域の出店であっても、簡単に新規顧客を開拓するためのリストマーケティングを行うことができるのです。

参考:新規出店でDMリストがない…郵便局のタウンプラスを使おう!

つまり、どのプロモーションメディア広告も、なんらかの形でWEBやITとの連携が取られるなど、時代に合わせた変化をし続けているのです。

プロモーションメディア広告が減らない理由2.クロスメディア戦略に活用されるため

プロモーションメディア広告は、4マス広告とは違い、中小企業でも活用できるほどに局所化されます。

そのため、地域に根差した店舗であっても、フリーペーパーにWEB誘導の広告を載せて、WEBから資料請求や購買に誘導したり、スマホサイトでクーポン発行して、店頭で使用させることが可能です。

つまり、工夫次第で、必要最低限のコスト投下によるクロスメディア戦略が行えるという利点があります。

クロスメディア戦略の媒体組み合わせ事例は、以下を参照してください。

媒体組み合わせ例1.WEBサイト+SEO対策→資料・カタログ請求
媒体組み合わせ例2.WEBサイト+リスティング広告→資料・カタログ請求
媒体組み合わせ例3.チラシ・DM→WEBサイト→資料・カタログ請求・来店促進
媒体組み合わせ例4.チラシ・DM→ECサイト
媒体組み合わせ例5.テレビCM→WEBサイト→資料・カタログ請求

参考:実はシンプル!クロスメディア戦略のメリットと媒体組合せ事例

プロモーションメディア広告が減らない理由3.費用対効果がわかりやすく、PDCAを回せるため

プロモーションメディア広告は、ITとの連携が進み、さらにクロスメディア戦略で、媒体ごとの役割が明確になりつつあります。

そのため、費用対効果がわかりやすく、状況に合わせたPDCAを回しやすくなっています。

中でも、最終的に個人情報を取得して、ある程度顧客を囲い込んだ上で行うコンテンツマーケティングは注目されており、DMやメルマガを使った教育+顧客化に繋げることで、結果を出す企業が増えています。

ここで重要なことは、顧客獲得単価とライフタイムバリューの考え方であり、CRM(Customer Relationship Management)の重要性が再び高まっていることです。

もちろん、これらのダイレクトマーケティング手法は、通常2ステップマーケティングで行われることが多いため、フロントエンド設計と媒体選びが重要になります。

2ステップマーケティングのメリット、デメリットを理解したら、次は、実際にマーケティング内容の設計に移ります。

設計と言ってもそんなに難しく考えないでください。

2ステップマーケティング設計の鍵は、フロントエンドの設計と媒体選びです。ここで8割方決まると言っても過言ではありません。

参考:2ステップマーケティング成功の鍵はフロントエンド設計と媒体選び

コンテンツマーケティングとダイレクトマーケティングの詳細について知りたい方は、以下の記事を参照してください。

参考:
海外需要ではなく販促手法のインバウンドマーケティングとは
販促担当者が学ぶべきダイレクトマーケティングとは?

プロモーションメディア広告まとめ

広告活動、販促活動でもっとも重要なことは、このプロモーションメディア広告をどう活用するかです。

日本にある400万以上の法人のうち、4マス広告を使って効果を実感できるのは、確実に1%以下なので、いかに自社商品にあった販促手法を用いて、費用対効果を最大化するかを考えなければいけません。

順を追っていくとわかりやすくなるので、まずは、チラシとDMの活用法を押さえてみると良いでしょう。

「うちは、チラシじゃ売れないんだよ」
「DM出すって言っても、出し先がないからなぁ」

と言わずに、どうすればチラシを使って売り上げがあがるのか、DMのリストを取得するためにはどうすれば良いのか、を考えてみてください。

以下を読めば、費用対効果が高い販促を行うために、きっと参考になるはずです。

売れるチラシ、来店促進するチラシを作る10の要素とは

DM(ダイレクトメール)で成果が出る!費用対効果が高い7つの商材の特徴