2025年9月11日

ポイントと級数の違いとは?行送りや字送りについても解説

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文字のサイズには、「ポイント」と「級」という二つの単位があります。WordやExcel、PowerPointなどのソフトでは「ポイント(pt)」という単位が一般的ですが、印刷物やデザインの現場においては「級」という単位がよく使われています。

どちらも文字サイズを表す単位ではありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、「ポイント」と「級」の特徴と違いについてご紹介いたします。

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ポイントとは

「ポイント」は、欧米の活字サイズに基づく単位で、1ポイント=1/72インチ(約0.35mm)に相当します。

1ポイントの文字サイズ

ポイントは、WordやExcel、PowerPointといった多くのソフトで使われているため、普段から目にする機会が多く、比較的馴染みのある単位と言えるでしょう。そのため、ポイントは認知度が高く、顧客とのやりとりでもサイズ感を共有しやすいというメリットがあります。

また、1ポイントごとのサイズの差(ジャンプ率)が大きいため、インパクトを重視するポスターや広告などのデザインに使いやすいのも特徴です。

校正の現場では「pt」や「ポ」と略されることが多く、文字の大きさだけでなく、線の太さなどもポイントで表します。

級とは

「級」は、写植時代に生まれた日本独自の単位で、1級=0.25mmと定められています。0.25mmが1mmの4分の1であることから、「Quarter」の頭文字をとって「Q」と表記されることもあります。文字サイズを大きくする場合は「Q上ゲ」、反対に文字を小さくする場合は「Q下ゲ」といった表現もよく使われます。

1級の文字サイズ

「級」の大きな特徴は、ミリメートル単位への換算が容易なことです。「1級=0.25mm」であるため、例えば、2級=0.5mm、4級=1mm、8級=2mmというように、級数を4で割れば簡単にミリ単位に換算ができます。反対に、ミリメートルで測った文字サイズを4倍にすれば、その文字の級数を調べることも可能です。

さらに、A4やB5といった用紙サイズも「mm」で表記されているため、決まった紙面内に文字を収める際、文字数の計算がしやすい点もメリットと言えるでしょう。

また、1級あたりの大きさはポイントに比べて0.1mm小さいため、細かなサイズ調整がしやすく、文字量の多い誌面制作においては「級」の使用が適しているケースが多いです。

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ポイントと級の大きさの違い

「ポイント」はインチ体系、「級」はメートル法に基づいた単位です。

基準となる単位が異なるため正確には比較できませんが、「1ポイント= 約1/72インチ=約0.35mm」であるのに対し「1級=0.25mm」であるため、 ポイントは級より約1.4倍大きいことになります。

ポイントと級数の大きさの違い

また、紙面上の文字サイズを調べたい場合は、「級数表(文字スケール)」と呼ばれるシートを使うと便利です。級数表には目盛りが書いてあり、文字の上に重ねるだけで、文字の級数やポイント数を簡単に確認できます。

行送り・歯とは

行の一番上から次の行の一番上までの長さを「行送り(歯送り)」と言います。行送りは「歯(は)」という単位で表され、「1歯」や「1H」と表記します。 この「歯」という単位の名称は、写植機の歯車に由来しています。

1歯の大きさは「1歯=0.25mm」で、文字サイズを表す「級」と同じです。そのため、「級」と「歯」は一緒に使われることも多くあります。

似た言葉に「行間」がありますが、「行間」は二つの行の間の空白部分だけを指し、文字サイズは含みません。一方「行送り」は1行目の文字の上端から次の行の上端までの長さのことを指しています。

つまり、
・行送り=文字サイズ+行間
・行間=行送り-文字サイズ
という関係になります。

行送りと行間の違い

字送りとは

字送りとは、ある文字の中心から次の文字の中心までの長さのことを指し、単位には行送りと同じく「歯」が用いられます。

こちらも「字間」と混同しやすいですが、字間は文字と文字の間の空白部分を指し、文字サイズは含まれません。

つまり、
・字送り=文字サイズ+字間
・字間=字送り-文字サイズ
という関係です。

字送りと字間の違い

校正の場面では、字間を調整する際に「全角アキ」「二分アキ」「四分アキ」といった表現が使われます。また、文字と文字の間に空きを設けないことは「ベタ」「ベタ組」と呼ばれます。

また、字送りの起点を文字の中心からではなく、文字の頭からとするケースもありますが、これは起点が違うだけで長さ自体は変わりません。

字送り

まとめ

今回は「ポイント」と「級」の違いを中心に、行送りや字送りといった関連用語についてもご紹介しました。

日常的に使うソフトでは「ポイント」が一般的ですが、印刷物やデザインなどの制作現場では「級」が使われることが多いです。

ポイントと級はサイズが異なるため、どちらの単位も扱う場合は、ポイントと級数の対応が一目でわかる換算表を参考にすると便利でしょう。

ポイントと級、行送りと行間、字送りと字間など、混同しやすい用語の違いを正しく理解しておくことで、制作会社とのコミュニケーションもよりスムーズになります。ぜひ参考にしてみてください。

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