2020年11月17日

Wordを使った校正の方法(前編)表記ゆれや送り仮名をチェックする

表記ゆれ

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校正記号を使うほどでは…というときに

出版業界・印刷業界ではお馴染みの校正記号ですが、覚えて使いこなせるようになるのはなかなか大変ですよね。

また、わざわざ校正記号を使うほどでは…という場合もあるでしょう。

そこで活用したいのが、皆さんお馴染みのMicrosoft Wordです。実はWordが非常に優秀な文章校正ツールなのをご存知ですか?

Wordには文章中における日本語の誤りを表示したり、変更・削除などの変更履歴を記録したり、またそれらに対するコメントを追記できたりする便利な機能があります。

私の場合は、納品形式がWordではない場合でも、ベースの原稿はWordで執筆し、校正チェックした上でコピーし原稿を作成することもあります。

そこで今回は、Wordを使った校正方法を表記ゆれや送り仮名のチェックをメインにご紹介します。

表記のゆれとは

校正方法の説明の前に説明しなければならないのが「表記ゆれ」です。

文章における代表的な間違いの一つに「表記ゆれ」というものがあります。

「表記ゆれ」とは文章中の単語の表記が統一されておらず、2通り以上の書き方がされていることを言います。

代表的な例には以下のようなものがあります。

漢字・ひらがな・カタカナによる表記ゆれ

・林檎/りんご/リンゴ

・猫/ねこ/ネコ

・お勧め/おすすめ/オススメ

・皆様/皆さま/みなさま

・様々/さまざま

英数字(アラビア数字・漢数字、全角と半角、大文字と小文字)による表記ゆれ

2丁目/二丁目

・1人/一人

・5,000円/5,000円

・WEB/WEB/Web

※ちなみに一期一会などの四文字熟語など、漢数字を必ず使わなくてはいけないパターンもあります。

英語・外来語による表記ゆれ

・サーバ/サーバー

・Web/WEB/ウェブ

・ホームページ/WEBサイト/ウェブサイト

・コーディネート/コーディネイト

省略形による表記ゆれ

・パソコン/PC

・スマートフォン/スマホ

・コピーアンドペースト/コピペ

送り仮名による表記ゆれ

・受付/受付け/受け付け

・申込/申込み/申し込み

・引越/引越し/引っ越し

文末表現による表記ゆれ

・です/である、

・ます/だ

丁寧語と謙譲語の表記ゆれ

・当社/弊社

※社外向けの文書では弊社にするなどマナーには諸説あります。

口語と文語の表記ゆれ

・御社/貴社

送り仮名について

送り仮名の付け方については、内閣告示の「送り仮名の付け方」があり、7つの通則があります。各通則には基本である「本則」と「例外」、「許容」「注意」が示されています。

ただ、必ず本則にそって書かなくてはならないという厳格な決まりがあるわけでありません。(この話は、後述します。)

校正以前に、このような表記ゆれを防ぐには、前提としてチーム内でルールを制定することが必要となります。

例えば、英数字は半角に統一する、頻出する単語の送り仮名を統一するなどが挙げられます。

それらのルールを表にしておき、文章作成の際には常にチェック、新しい単語が出るたびにアップデートをしておきます。チェックリストは、Excelで作成するのもいいですが、チーム内で共有・編集ができるGoogleスプレッドシートのほうがおすすめです。

Wordを使った校正方法

続いては、Wordを使った校正方法を表記ゆれや送り仮名のチェックをメインに説明します。

1. 校閲メニューを表示

まずWordのメニューから「校閲」をクリックします。

すると、文章校正や変更履歴に関するボタン類が表示されます。

2.簡単な表記の揺れや誤りのチェックには、エディタをクリック

エディターボタンをクリックすると、右側のカラムに修正点が表示されます。

上の図では、助詞の「は」が2つ入ってしまっていることが指摘されています。(文中にも赤い下線で示されています。)

3.文章校正のチェック項目を増やす

現段階では表記ゆれはありませんでしたが、もう少し細かくチェックしたい場合は、文章校正のチェック内容を少し厳しくしてみましょう。

文章校正のチェック内容は、「ファイル」→「オプション」→「文章校正」→「文書のスタイル」→「設定」で詳細を設定できます。

揺らぎの(送り仮名)や揺らぎ(漢字/仮名)など、チェックのついていなかった項目にチェックを入れます。

4.再度チェックする

詳細設定後、再度エディタをクリックすると、表記ゆれの候補が4つ表示されました。

5.表記揺れの詳細を確認する

右カラムのエディター内にある 「表記の揺れ」をクリックすると、一つずつ詳細が表示されます。

(1)ここでは、「ほう」と「方」どちらが正しいのか、修正候補とともに確認が促されています。

(2)こちらでは、「おすすめ」と「お勧め」についてどちらに統一するかが指摘されています。実は文章の冒頭にひらがなの「おすすめ」という単語があったため、「表記ゆれ」として認識されたようです。

このように、文章校正のチェック内容を厳しくすることで、より細かい校正ができるようになります。

6.文中の指摘(送り仮名)をチェックする

文中のところどころに、青の二重線が引かれた単語が見えますが、これは表記ゆれや誤った送り仮名の可能性を指摘するものです。(事前に文章校正の設定で送り仮名にチェックを入れてください)。

例えばここで、青の二重線が引かれた単語「申込み」を選択し、右クリックします。すると以下のような指摘が表示されます。

表記の基準として「送り仮名が本則ではありません。」という指摘と共に、本則の送り仮名である「申し込み」が表示されています。

本則とは先述した「送り仮名の付け方」の通則の中でも、基本として示されている送り仮名のことです。

ちなみに「申込み」は「許容」として示されている送り仮名で、読み間違えるおそれのない場合に使用することができるものです。

しかし、必ず本則を使う必要がなく、どちらを採用するかはあくまでも使う側の判断に委ねられています。

Wordでは、このような指摘を「無視」し、「例外」や「許容」で示されている送り仮名を使用することも可能です。しかし、いずれにせよ送り仮名は統一して表記しなければ表記のゆれはなくなりません。

どうしても表記ゆれは起きてしまう

表記ゆれは、Wordの校正機能でも漏れてしまうことがありますし、なかなか気づくことができないものです。

まずは、ひらがな、カタカナ、漢字どちらでも使える単語、送り仮名のパターンが複数ある単語を見つけて検索してみましょう。

いつもと違う表記を見つけたら、ルールで決めた統一すべき表記へ置換します。

Wordを使った校正の方法(前編)表記ゆれや送り仮名をチェックする まとめ

実は「表記ゆれ」という言葉自身も「表記揺れ」「表記のゆれ」「表記の揺れ」と様々な表記があります。

表記ゆれを防ぐには、変換辞書に登録して特定の単語を優先的に表示する、第三者にチェックしてもらう、など様々な対策がありますが、校正の定番「読み上げ」においては、読み方が同じ(サーバとサーバーやパソコンとPCなどのパターンを除く)パターンもあるため、なかなか発見しづらいという問題があります。

他にも、見る/観るといった、意味合いが近く読み方が同じものもあります。

かくいう私も表記ゆれはよくやってしまうのですが、できれば避けたいミスです。また、表記ゆれは読者にも読みづらい印象を与えます。

少しでもミスを防げるよう、Wordのようなツールの活用、ルールの統一やチェックリストの作成など、できる限りの対策を実施していきましょう。

次回は、変更履歴記録の使い方について説明します。