2016年7月1日
実態調査で判明したDMのリアルな開封率、消費者の反応
この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。
DMは本当に効果があるのか
インターネット広告が大きな存在感を見せるなか、いま改めてDM(ダイレクトメール)の効果が見直されています。
実はDMを含むプロモーションメディア広告は、日本の広告費の中でも6.4%と、雑誌やラジオより大きな割合を占めます。
しかし、ネームバリューがあり、経験やノウハウもある大企業ならまだしも、経験もノウハウもない地域密着型の店舗やスモールビジネスを行う立場となれば、その効果に懐疑的な経営者も多いことでしょう。
そこで今回は、一般社団法人ダイレクトメール協会が20代〜50代までの男女200人余りを対象に行った「DMに対する意識調査」を元に、消費者のDMに対するアクション(反響)についてご紹介してみたいと思います。
意外に高い行動喚起率
以下はアンケート対象者に届いた1429通のDMに対し、受け取った後どんなアクションを行ったかの調査結果です。
意外に高い開封率とアクション率の23.5%という数字に驚きます。
問い合わせや来店、購入などの定番アクション以外に目立つのが、従来のDMになかった「ネットで調べた」「ネット上の掲示板等に書き込んだ」などのアクションです。恐らく「会員登録した」のもインターネットサービスの会員登録のことではないでしょうか。
特に「ネットで調べた」は一番割合が高く、消費者にとって「まずはネットで調べる」ことが日常に定着したことが伺えます。
さて、インターネットが普及した現代の購買行動モデルとして、AISAS(アイサス)というマーケティング用語があります。
Attention(注意)
Interest(関心)
Search(検索)
Action(購買)
Share(情報共有)
DMによる一連の消費行動は、まさに「Attention(注意)」と「Interest(関心)」をDMが与えることによって、インターネット上で「Search(検索)」「Action(購買)」「Share(情報共有)」をする、AISASの購買行動そのものです。
このような流れが定着した現在の販促活動においては、DMからネット、そして購入というプロセスをスムーズに繋げていくための仕組みが必要です。
DMにおけるクロスメディア戦略、とくにWebとの連携は、今後必須となるでしょう。
参考:
実は簡単!クロスメディア戦略のメリットと媒体組合せ事例
属性別に見る行動喚起率
続いて、同じくDM閲読後の行動に関する調査をご覧いただきます。
こちらは、本人宛のDM閲読後の行動を属性や世帯年収別に調査したものです。
男性は20代、女性は20~30代の行動率が高いことがわかります。
男性20代の場合、「内容についてインターネットで調べた」が3割強、「家族・友人・知人などと話題にした」も2割と、直接購買には繋がらないものの、ネットでの調査や話題にする(シェアする)など間接的なアクションが多いのが特徴です。
恐らく商品のディテールを調べたり、SNSでの評判やレビューサイトをチェックしたりする人が多いのだと思います。
20〜30代の女性の場合は、「お店に出かけた」「商品・サービスを購入・利用した」など直接的なアクションが多いことがわかります。
20〜30代女性へのオファーは割引クーポンなど購買と関わる内容が適しているかもしれません。
ターゲットによってコンテンツやタイミングを変えることはDM販促において当然の戦略ですが、反響率を高くするためにも、このような属性別のデータは充分に活用できそうです。
また、世帯年収が低いほどDM閲覧後の行動率が高いことから、世帯収入の低い20〜30代がDMのコアターゲットになりうる可能性が伺えます。「割引」「値引き」「SALE」などお得感のあるキーワードはアクションに繋がりやすいでしょう。
実態調査からわかったDMのリアルな行動喚起率 まとめ
DMの効果を上げるには、開封率を上げるため、アクションへ繋げるための施策を行わなければいけません。
アクション(反響)は業態によって内容が変わりますが、今回の調査で、アクションへ繋げるためのターゲットごとの施策とWeb連携の重要さが浮き彫りになりました。
ECサイトを主流とするWebサービスであればWebアクセス、メールマガジンの登録、最近ではLINEアカウントの友達登録などがアクションになります。それらの接触はリード育成の側面もありますが、もちろん最終ゴールは購買です。
リアル店舗であっても、DMからWebへの動線をスムーズにすることで、メールマガジンやWebクーポンなどによって顧客との接触機会を増やすことはできます。
また本日ご紹介したデータから、DMから直接来店や購入に繋げるには20〜30代への女性へのアプローチが有効であることがわかりました。商材にもよりますが、ターゲットごとにオファーやクリエイティブの内容を工夫することで、反響率はより高くなるでしょう。
DMはリストがあるからこそ、属性や施策ごとの細かい分析と改善を重ねていくことが大事です。地道な方法ですが、効果をより確実にするために様々なアプローチを試してみることです。