2026年7月24日
失敗しないアンケートの作り方|回答率を高めるコツと質問例を解説
この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。
「アンケートを作りたいけれど、どんな質問をすればよいかわからない」
「思ったより回答が集まらず、十分なデータを得られなかった」
このようなお悩みはありませんか?
アンケートは、顧客満足度の把握や市場調査、商品・サービスの改善などに役立つ重要な調査方法です。しかし、目的に合わない質問や回答しづらい設計では、十分な回答が集まらなかったり、分析に活用できるデータが得られなかったりすることもあります。
成果につながるアンケートを作成するためには、質問内容だけでなく、調査の目的や対象者、回答形式などを事前にしっかり設計することが重要です。
本記事では、アンケート作成前に決めておきたいポイントから、回答率を高めるコツまで、アンケート作成の基本をわかりやすく解説します。

アンケート作成前に決めるべき3つのこと
アンケートを成功させるためには、いきなり質問を考え始めるのではなく、まずは調査の方向性を整理することが大切です。
特に次の3つを事前に決めておくことで、設問の内容や回答方法をスムーズに設計できます。
1.アンケートの目的を明確にする
まずは、「なぜアンケートを実施するのか」を明確にしましょう。
例えば、アンケートの目的には次のようなものがあります。
・商品・サービスの満足度を調査したい
・顧客のニーズや課題を把握したい
・新商品の企画・開発に役立てたい
・セミナーやイベントの改善点を知りたい
・企業やブランドのイメージを調査したい
・仮説や施策の効果を検証したい
目的が曖昧なままでは、「どのような質問をするべきか」が定まらず、必要なデータを集められません。
目的を明確にすることで、誰にどんな質問をするべきかが自然と見えてくるため、この後の設計もスムーズに進めやすくなります。「アンケートを実施したあと、どのような意思決定につなげたいのか」までイメージしておくことが重要です。
2.対象者(ターゲット)を決める
目的が決まったら、「誰に回答してもらうのか」を明確にします。
同じ商品に関するアンケートでも、新規顧客と既存顧客では知りたい内容が異なります。また、年齢や職業、利用状況によっても適切な質問は変わってきます。
対象者を設定する際は、例えば次のような条件で絞り込むとよいでしょう。
・年齢
・性別
・居住地
・職業
・購入・利用履歴
・会員ランク
・利用頻度
対象者が明確になるほど、回答しやすく、分析しやすいアンケートを作成できます。
3.達成したい目標を設定する
アンケートでは、「何件の回答が必要か」といった数値目標もあらかじめ決めておきましょう。
例えば、目標として設定されることが多い指標には、次のようなものがあります。
・回収率
・有効回答率
・回答件数
・自由記述の回答数
回収率とは?
回収率とは、アンケートを配布した人数に対して、実際に回答を得られた割合のことです。例えば100人に配布し、70人から回答が得られた場合、回収率は70%となります。
有効回答率とは?
一方、有効回答率とは、記入漏れや不正回答などを除いた「分析に利用できる回答」の割合を表します。
例えば100人に配布し、70件の回答があったものの、そのうち10件が未回答や入力ミスで無効だった場合、有効回答率は60%となります。
有効回答率は、得られた回答数から無効な回答を除いた有効回答数を、配信数で割ることで算出されます。回収率や有効回答率を目標として設定することで、アンケートの適切な配信数を逆算することも可能になります。

また、アンケートは大きく「定量調査」と「定性調査」に分けられます。
| 調査方法 | 特徴 |
| 定量調査 | 回答を数値化し、全体の傾向や割合を分析する調査 |
| 定性調査 | 自由回答などをもとに、意見や感情、理由を深掘りする調査 |
「定量調査」か「定性調査」かによって、必要な回答数や設問の作り方は大きく異なります。目的に合った調査方法を選ぶことも、アンケート設計では重要なポイントです。

アンケート作成の8ステップ
事前準備ができたら、実際にアンケートを作成していきます。
ここでは、回答しやすく、必要な情報を集められるアンケートを作るための8つのステップをご紹介します。
Step1.実施方法とスケジュールを決める
まずは、どのような方法でアンケートを実施するかを決めます。実施方法によって回答率や集められる情報、集計のしやすさが異なるため、目的や対象者に合わせて選ぶことが大切です。
代表的な実施方法は、次の3つです。
Webアンケート
Googleフォームやアンケート作成ツールなどを利用し、Web上で回答してもらう方法です。配信から回答、集計までをオンラインで完結できるため、最も利用されている方法の一つです。
【メリット】
・配信・回収・集計を効率化できる
・短期間で多くの回答を集めやすい
・集計結果をデータとして活用しやすい
【デメリット】
・インターネット環境が必要
・高齢者など対象者によっては回答しづらい場合がある
▼Googleフォームを使ったアンケートの作成方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
紙のアンケート
会場や店舗で配布したり、郵送したりする方法です。高齢者向けの調査やイベント会場でのアンケートなどでは、紙のほうが回答率が高くなるケースもあります。
【メリット】
・インターネットを利用しない人にも配布できる
・イベントや店舗でその場で回答してもらいやすい
【デメリット】
・印刷・配布・回収・集計に手間がかかる
・郵送の場合は費用も発生する
対面アンケート(インタビュー)
調査担当者が直接質問しながら回答を集める方法です。 回答内容を深掘りできるため、「なぜそう思ったのか」といった理由まで把握したい場合に向いています。
【メリット】
・回答者の本音や背景を詳しく聞ける
・自由回答を深掘りしやすい
【デメリット】
・実施・集計に時間がかかる
・一度に多くの回答を集めるのは難しい
さらに、アンケートの実施方法に合わせて、実施スケジュールも設定しましょう。アンケートは、実施日だけでなく、設計・配布・集計・分析まで含めたスケジュールを立てておくことも重要です。
例えば、セミナー終了後にアンケートを実施する場合は、開催日から逆算して準備を進める必要があります。また、商品の発売時期やキャンペーン期間など、調査の目的に応じて実施時期を調整することも大切です。
回答期限は、設問数や実施方法にもよりますが、1〜2週間程度が一般的です。長すぎると回答が後回しになりやすく、短すぎると十分な回答数を集められない可能性があります。
Step2.設問を決める
続いて、アンケートでどのような質問をするかを考えます。設問を作成する際は、「知りたいこと」と「質問内容」が一致しているかを意識しましょう。
例えば、サービスの満足度を調査したい場合は、次のような設問が考えられます。
・サービスを利用したきっかけを教えてください。
・サービス全体の満足度を教えてください。
・特に満足した点は何ですか?
・改善してほしい点はありますか?
・今後も利用したいと思いますか?
このように、一つひとつの設問が調査目的につながる内容になっていることが重要です。
なお、設問を作成する際は、質問数が多くなりすぎないよう注意が必要です。「あれも聞きたい」「これも聞きたい」と設問を増やしてしまうと、回答者の負担が大きくなり、途中離脱や回答率の低下につながります。
まずは質問をすべて洗い出し、その中から目的に直接関係するものだけを残しましょう。目安としては、5~10分程度で回答できるボリュームがおすすめです。
Step3.回答形式を決める
設問が決まったら、それぞれの質問にどのような形式で回答してもらうかを決めていきます。
回答形式は、大きく分けて「選択式」と「記述式」の2種類があります。

選択式
あらかじめ用意した選択肢の中から回答してもらう方法です。代表的な回答形式には、次のようなものがあります。
| 回答形式 | 特徴 |
| 単一回答(シングルアンサー) | 選択肢の中から一つだけ選ぶ |
| 複数回答(マルチアンサー) | 当てはまるものを複数選ぶ |
| 段階評価 | 段階的に評価する |
| 順位回答 | 複数の選択肢に対して、順位をつける |
選択式は回答しやすく、集計もしやすいため、多くのアンケートで採用されています。
▼アンケートの集計方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
記述式
自由に文章で回答してもらう形式です。回答者ならではの意見や改善案など、選択肢では得られない情報を収集できる点がメリットです。
一方で、入力に時間がかかるため、設問数が多いと回答率の低下につながることがあります。そのため、基本は選択式を中心にし、自由記述は最後に1〜2問程度設けるのがおすすめです。
例えば、
・満足度を知りたい → 5段階評価
・利用した理由を知りたい → 複数回答
・改善点を知りたい → 自由記述
というように、知りたい情報に応じて回答形式を使い分けることで、回答者の負担を減らしながら、分析しやすいデータを集めることができます。
Step4.質問文を作成する
設問と回答形式が決まったら、実際に質問文を作成します。
同じ内容を質問する場合でも、質問の書き方によって回答率や回答の精度は大きく変わります。回答者が迷わず答えられるよう、わかりやすく中立的な表現を心がけましょう。
質問文は簡潔な文章で
質問文が長いと、回答者は内容を理解するまでに時間がかかり、途中で離脱してしまう可能性があります。できるだけ1~2文程度にまとめ、ひと目で内容が理解できる文章を意識しましょう。
【例】
× 当社が現在提供しているサービスについて、総合的にご利用いただいた結果を踏まえ、全体的な満足度についてお聞かせください。
→ ○ 当社のサービス全体の満足度を教えてください。
曖昧な表現を避ける
「よく」「最近」「たまに」など、人によって解釈が異なる表現は避けましょう。具体的な期間や回数を示すことで、回答のばらつきを減らすことができます。
【例】
× 最近この商品を利用しましたか? → ○ 過去1か月以内にこの商品を利用しましたか?
× この施設をよく利用しますか? → ○ この施設を月に3回以上利用しますか?
一つの設問につき、質問は一つ
一つの設問で複数の内容を聞くと、回答者はどちらについて答えればよいのか迷ってしまいます。
このような質問は「ダブルバーレル質問」と呼ばれ、適切なデータが得られにくくなるためアンケートでは避けるべきとされています。二つ以上のことを聞きたい場合は設問を分けるようにしましょう。
【例】
× あなたは犬・猫を飼っていますか?
→ ○ あなたは犬を飼っていますか?
○ あなたは猫を飼っていますか?
専門用語や難しい表現は避ける
社内や業界内では当たり前の言葉でも、回答者には伝わらない場合があります。業界用語や略語は避け、誰でも理解できる表現を使いましょう。
回答を誘導する聞き方をしない
「こういう回答がほしい」という意図があると、無意識のうちに回答を誘導する聞き方をしてしまいがちです。回答者に特定の回答を促すような質問は、正しい調査結果を得られなくなる原因になります。
できるだけ中立的な表現を使うことで、より客観的な回答を得やすくなるでしょう。
【例】
× 当社の商品は便利だと思いますか?
→ ○ 当社の商品について、どのように感じましたか?
設問の順番を意識する
質問文を作成する際には、設問の順番も意識しましょう。自然な流れで回答できるか、関連する質問がまとまっているか、あらためてアンケート全体を通して確認します。
また、アンケートは後半へ進むにつれて、どうしても回答率や精度が落ちやすいため、優先順位の高い質問はできるだけ前半に配置するのが効果的です。
さらに、最初は簡単に答えられる質問から始めることで、回答者の心理的ハードルを下げ、スムーズに回答へ誘導することができます。
Step5.選択肢を作成する
選択式の設問では、質問文だけでなく選択肢の作り方も重要です。回答者が迷わず選べるよう、わかりやすい選択肢を用意しましょう。
選択肢は漏れなく、重複なく
例えば、年代を聞く場合、
・20代
・30代
・40代
だけでは、10代や50代以上の人は回答できません。
また、
・20~30歳
・30~40歳
のように区切ると、「30歳」が両方に含まれてしまいます。回答者が迷わないよう、範囲や区切りは明確にしましょう。
「その他」を用意する
どの選択肢にも当てはまらない可能性を考慮し、「その他」を設けておくとよいでしょう。必要に応じて、「その他」を選択した場合のみ、自由記述欄を表示する設定にすると、回答しやすくなります。
選択肢は多すぎないようにする
選択肢が多いほど、該当する選択肢を見つけにくくなり、回答者の負担になってしまいます。目安としては、多くても5~7個程度にまとめると選びやすくなるでしょう。
また、どうしても選択肢が多くなってしまう場合は、自由記述に変更したり、設問を分けたりするのも一つの方法です。
Step6.導入文を作成する
アンケートの冒頭には、回答者が安心して回答できるよう、導入文を記載します。
導入文には、以下のような内容を盛り込むとよいでしょう。
・アンケートへの協力のお礼
・実施目的
・所要時間
・回答期限
・個人情報の取り扱い
特に、回答にかかる時間を記載しておくと、回答者も安心して回答を始められます。
Step7.回答特典を検討する
必要に応じて、アンケート回答者へ特典を用意するのも効果的です。
例えば、以下のようなものが特典としてよく利用されています。
・ギフトカード
・ポイント
・クーポン
・ノベルティ
・セミナー資料
・無料相談
特典を設けることで回答率の向上が期待できますが、一方で「特典だけが目的」の回答が増える可能性もあります。アンケートの目的や予算を踏まえ、適切な特典を検討しましょう。
Step8.テスト回答で最終確認する
アンケートが完成したら、一度全体を見直し、実施前に必ずテスト回答を行いましょう。
確認したいポイントは、主に以下のとおりです。
・誤字脱字はないか
・設問の順番は自然か
・聞きたい内容が聞けているか
・設問がわかりにくくないか
・選択肢に漏れや重複はないか
・回答時間は長すぎないか
・回答データが正しく保存されるか
特にWebアンケートでは、スマートフォンでも表示や操作に問題がないか確認しておくと安心です。
まとめ
今回は、アンケート作成の基本的な流れや、設問を作る際のポイントについてご紹介しました。
アンケートは、ただ質問を並べるだけでは十分な成果は得られません。調査の目的を明確にし、対象者に合わせた設問や回答形式を設計することで、回答率の向上だけでなく、分析や改善に役立つ質の高いデータを集めることができます。
回答者の立場に立って設計することで、回答しやすいアンケートとなり、より信頼性の高い結果につながります。 ぜひ参考にしてみてください。





