2015年7月14日

売上にも影響?RGBとCMYKの違いと注意点

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パソコンで見る色(RGB)と印刷物の色(CMYK)の違い

皆さんは普段パソコンやスマホで見ている画面の色と、実際に手に取って見ている印刷物の色が違うということをご存じですか?

最近よくあるのが、社内または別の会社で印刷物のデザインを作り、印刷のみを印刷業者に発注するケースです。

ネットと紙の情報がシームレス化して、両方向で事業展開、広告展開をすることが増えてきている昨今、これらを請け負う業務に関してもシームレス化が進んでいます。

具体的には、これまでホームページを作っていたWEBデザイン会社が、印刷物のデザインまで請け負うことが増えているということです。もちろん逆もあります。

ところがごくたまに、印刷の知識を持たない方が印刷物のデザインをする場合に、モニターで見る色(RGB)と紙の印刷で見る色(CMYK)の違いを考慮していないことがあります。

印刷業者は色の違いや紙の違いを知ることが業務の最初の基本知識ですが、WEBデザイン会社はグラフィックを作るためのソフトウェアの操作から入ります。

そのため、RGBとCMYKの違いがわからないということは、独学で学んだ方に多い傾向だと思います。

では、パソコンなどのモニターで見るRGBと、印刷物に使われるCMYKの違いとはどのようなものでしょう。また、RGBとCMYKの違いによって、どのような問題が生じるのでしょうか。

RGBとCMYKの違いとは

まずは基本的なRGBとCMYKの違いについて説明していきます。

RGBとは

RGB

RGBとは、テレビやパソコンやスマホのディスプレイ、デジカメのデータ表示などに利用されている発色方式のことです。ディスプレイでのカラー表現なので、光を使って色を作ります。

赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)の光の三原色を利用しているため、各色(RGB)の色が強くなるほど、白に近づいていきます。逆に、RGBの色が弱くなるほど、黒に近づいていきます。これを加法混色と呼びます。

ちなみに黒の場合、R=0、G=0、B=0と表現し、白の場合、R=255、G=255、B=255と表現します。

CMYKとは

CMY

CMYKとは、印刷に使われる発色方式のことです。紙などの印刷物に対するカラー表現なので、インクを使って色を作ります。

シアン(CYAN=水色に近い青緑)、マゼンタ(MAGENTA=ピンクに近い紫)、イエロー(YELLOW=黄色)の色料の三原色は、各色(CMY)の色が強くなるほど黒に近づいていきます。逆に、CMYの色が弱くなるほど白に近づいていきます。これを減法混色と呼びます。

前述の通り、もともとCMYの3つの色で「おおよその黒」を作ることは可能ですが、印刷の場合は純粋なK(Key Plate=黒)を入れないときれいに仕上がらないという理由からCMYKの4色で表現しています。

ちなみに、黒の場合、C=0、M=0、Y=0、K=100と表現し、白の場合、C=0、M=0、Y=0、K=0と表現します。

パソコンと印刷物では同じ赤でも見え方が違う

RGBは光の三原色、CMY(K)は色料の三原色です。この2つは全く同じ色を表現できるかというと、そうではありません。

色の発光を感じる場合と、着色した物体の反射光を感じる場合に、私たちの色覚の違いがあり、色の発光を感じる場合の方が表現が多様になります。

CMYKは印刷物であるため、その印刷物を見る人達は同じ色を見ていることになりますが、仮にそれぞれの色彩感覚が違っていたとしても、印刷物の色そのものが変わることはありません。

ところが、RGBはデータをパソコンなどを通して見ています。モニターの発色具合や調整具合によって見ている色が変わってしまいます。環境に大きく影響を受けるということです。

そのため、その感覚のままパソコンの画面上でデータ制作をすると実際に印刷をかけた時の色味と違うため、あれ?となってしまうんです。

印刷したらなにか違う?モニター上の色と印刷時の色の違

RGBとCMYKの違いは何となくわかってもらえたと思います。

簡単にいえば、光で作る色とインクで作る色は、色の再現領域が違うため色に違いが出るということです。

パソコンで作ったデータ上の色は印刷で厳密に再現するのは難しいため、RGBカラーで作成されたデータはCMYKカラーで最も近い色に置き換えられてしまいます。

「でも赤はどっちも赤でしょ?そんな些細な事は気にしないよ」という方は、もしそれが食べ物だったらどうなるかを考えてください。

飲食店のメニューを手に取った顧客が、フレッシュな野菜やフルーツの色に何となく違和感を感じて「あれ?この店あんまり美味しそうじゃないな」と思ってしまうかもしれません。

商売は積み重ねが非常に重要です。ちょっとした色の違和感が心理的な影響を与え、年単位だと10人、100人の顧客に「美味しそうじゃない」という感覚を与えてしまうかもしれません。

このような色の違いによる影響を少なくするためにも、特に印刷物の色の確認(色校正)は行わなければいけません。

作成したデータと仕上がった印刷物の最終的な色味をチェックして、認識ズレをなくす校正のことを色校正と言います。

色校正は、印刷のプリプレス工程の最終段階に当たります。文字校正をしたのち、製版用データを元に、実際と同様に印刷して、色味などのチェックを行います。

参考:
広告物の売れ行きにも影響?印刷会社が必ず色校正を行う3つの理由

広告や商品パッケージなど、商品画像がメインとなる印刷物においては特に気をつけなければならないポイントです。

RGBとCMYKの違いまとめ

これらRGBとCMYKの違いによって、影響を与えてしまいかねない問題を解決するためには、

1.パソコンで作業をする場合もCMYKカラーで作業を行う
2.CMYKカラーを正確に表現できる高精細モニターを使用する

ということになります。DTPデザイナー(印刷物などのデザイナー)は、このあたりの知識を持っていて当たり前です。反対に、WEBデザイナーは、印刷に関わらない限り必要がない知識です(極論ですが)。

パンフレットデザインをお願いしている印刷業者に、商品パッケージデザインの依頼や、WEBサイトデザインを依頼することが可能になってきました。

これを当たり前だと思っている方もいますが、パンフレットデザイン、商品パッケージデザイン、WEBサイトデザインは別物です。本来、1人のデザイナーが全てを行うことは、あまりないことです。

この3つを業務にわけると、DTPデザイン、グラフィックデザイン、WEBデザインとわかれます。

参考:
スキル・業務内容で解説するDTP・グラフィック・WEBデザイナーの違い

そのため、デザイン業務のシームレス化によって、WEBデザインでお世話になっている人に印刷デザイン依頼をして、いざ刷り上がった印刷物を見ると「あれ?」となってしまうことがあるのです。

オンラインとオフラインの両方向で事業展開、広告展開をする場合は、必ず何らかのデザインと印刷が関わってきます。

その際に、取り扱うものによってはそのクオリティが業務に大きな影響を与えるはずです。もしどこかに印刷デザインを依頼する場合は、この色の基本知識をしっかり押さえているデザイナーに発注するようにしましょう。