2015年7月24日

用紙サイズ、厚さ、種類…用途に適した印刷でコスパを上げる

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用紙サイズや厚さには規定がある

用紙にはサイズや厚さの規定があり、◯◯紙などの種類があります。そして、そのサイズ、厚さ、種類によって、用紙自体の値段や印刷コストが変わります。

もちろん、用紙サイズや厚さ、種類によって、印刷物の用途も変わってきます。

そのため、単純に安いからという理由で用紙を選んでしまうと違和感を感じたり、顧客の反応が悪かったり、そもそも思い描いていた用途に使うことができなかったりします。

このような失敗を避けるために、あらかじめ用紙サイズ、厚さ、種類をある程度把握しておき、それぞれがどのような印刷用途に使えるかを押さえておかなければいけません。

今回は、印刷用紙のサイズの基準、用紙の厚さの基準、用紙の種類にどのようなものがあるかをお伝えしたいと思います。

用紙のサイズ:A版、B版とは?

A4、B5、A3あたりが、馴染みのある用紙サイズだと思います。そして一般的なA4サイズであれば、多くの方が「これはA4サイズ」とわかるのではないでしょうか。

また、A4とA3では、A3の方が大きいことはわかると思います。では、A3とB3はどちらが大きいでしょう。そもそも、なぜAとBがあるのでしょうか。

紙のサイズはA版、B版という2つの基準に分かれています。それぞれ規格が違い、A版はドイツで作られた世界基準の規格、B版は日本で作られた国内基準の規格です。

残念ながら日本ではA版、B版どちらもそれぞれ用途が浸透しているため、どちらかの規格に統一することは難しいでしょう。どちらも基本は覚えておかなければいけません。

A版用紙のサイズ

A全

A0:841mm×1189mm
A1:594mm×841mm
A2:420mm×594mm
A3:297mm×420mm
A4:210mm×297mm
A5:148mm×210mm
A6:105mm×148mm
A7:74mm×105mm
A8:52mm×74mm
A9:37mm×52mm
A10:26mm×37mm

B版用紙のサイズ

B全

B0:1030mm×1456mm
B1:728mm×1030mm
B2:515mm×728mm
B3:364mm×515mm
B4:257mm×364mm
B5:182mm×257mm
B6:128mm×182mm
B7:91mm×128mm
B8:64mm×91mm
B9:45mm×64mm
B10:32mm×45mm

※A1サイズをA全と呼んだり、A0サイズをA倍と呼ぶ場合があります。同じく、B1サイズはB全、B0サイズはB倍となります。

A判、B判の数字(A4、B5など)はA0、B0から半分に折った回数を表示しています。従って、A3とA4はサイズが2培違い、B3とB5はサイズが4倍違うということです。

おなじみの、A4(210mm×297mm)、B5(182mm×257mm)のサイズを覚えておくと、「A3なら297mm×420mmだな」とすぐにわかるようになります。

短い一辺を倍にするだけです。

用紙の厚さ:kgとは?

次に用紙の厚さですが、印刷に使われる用紙の厚さは「mm」ではなく、「kg」という単位が一般的です。kgなので、重さですね。

人差し指と中指で摘んで、軽く擦った感覚で厚さを測ったりします。企業で使われる一般的なコピー用紙の厚さは、70kg、73kg(0.08~0.10mm)です。90kg(0.10~0.13mm)を使っている企業もそこそこあります。

なぜ「kg」という重さの単位を使うかというと、紙の取引価格が「kg」で行われることが多いためです。

73kgや90kgなどの重さは、印刷用紙を全判(A0、B0など)で1,000枚積んだときの重さです。この1,000枚の単位を1連と言い、1連の重さのことを連量と言います。

つまり、連量が重くなるほど用紙も厚くなるということです。

ところがちょっと面倒なことに、全判サイズにはいくつか基準があります。

主なものは、A判(625×880mm)、菊判(636mmx939mm)、B判(788mmx1091xmm)、四六判(788mm×1091mm)の4つの基準です。

このように用紙サイズが異なるため、同じ90kgでも、厚さが微妙に変わってしまうのです。

用紙サイズの基準がA版とB版だから、そのどちらかじゃないの?と思うかもしれませんが、印刷には断裁処理があります。そのため、紙も一回り大きなものを使うことが普通なのです。

印刷後に断裁をすることで印刷物が完成するのですが、その際、断裁基準になるのは、印刷データ作成時に作るトンボです。

A4サイズの印刷物を作るとして、そのサイズギリギリで作成してしまうと、仮に断裁位置がトンボから少しずれると大変です。

塗り足し

参考:デザイナーが印刷データ入稿時に見落とす9の基本ポイント

印刷会社によって使う用紙が違うため確認が必要ですが、恐らく菊判、四六判が多いはずです。

B判と四六判の主な厚さの対応状況

A判では46.5kgの紙が、菊判では50.5kg、B判では70.5kg、四六版では73.0kgと同程度の厚さということになります。

A判 : 菊判 : B判 : 四六判
28.5 : 31.0 : 43.5 : 45.0
35.0 : 38.0 : 53.0 : 55.0
40.5 : 43.5 : 61.0 : 63.0
43.5 : 47.0 : 65.5 : 68.0
44.5 : 48.5 : 67.5 : 70.0
46.5 : 50.5 : 70.5 : 73.0
57.5 : 62.5 : 87.0 : 90.0
70.5 : 76.5 : 106.0 : 110.0
86.5 : 93.5 : 130.5 : 135.0
115.0 : 125.0 : 173.5 : 180.0

※コート紙、マットコート紙などの紙の種類によっても厚さは多少異なります。

用紙の種類:上質、コート、マットコートとは?

用紙の種類は印刷物の仕上がりに大きな影響を与えます。用紙の種類は非常にたくさんありますが、主に使われる用紙は、上質紙、コート紙、マットコート紙の3種類です。

元々の用紙の種類が違うため、同じデータを印刷しても見た目が全く異なります。

上質紙とは?

上質紙なので高級そうなイメージをするかもしれませんが、極めて普通の用紙のことです。私たちがイメージするコピー用紙というと、この上質紙を使うことになります。

会社にあるプリンターでカラープリントをすると、モニターで見る色よりも色が暗くなります。これは上質紙の特徴で、インクが用紙に沈んでしまうためです。

上質紙はノーマルな紙であるため、好みによりますがどんな用途でも遜色はありません。ただし、印刷会社に発注したときの印刷物独特の高級感を出すことはできません。

コート紙とは?

コート紙は名前の通りコートされている紙であるため、見た目がテカテカ、つるつるとして光の反射が感じられる用紙です。

非常に発色が良い紙なのですが、その分、用紙に傷がつくと反射で目立ちます。また、手で触ると指紋が残ります。

チラシ、ポスター、本の表紙、名刺など、どの用途でもつるつるした紙がしっかりとイメージできるでしょう。

マットコート紙とは?

マットコート紙は、上質紙とコート紙の中間の用紙というとイメージしやすいと思います。インクが乗りやすく発色は良いのですが、コート紙に比べてテカテカが抑えられています。

テカリが少ない分、傷や指紋などは目立ちません。

用紙のサイズ、厚さ、種類のまとめ

用紙のサイズ、紙の厚さ、紙の種類はいろいろあって一見わかりにくく感じるかもしれませんが、基本のサイズを覚えてしまえばそこまで問題はないでしょう。

ちなみに、用紙のサイズは完成された印刷物に対して、それぞれ独自の名前と規格が設けられています。必要ない方が多いとは思いますが、一応押さえておくと以下の通りです。

ハガキ:100mm×148mm
AB判(ワイド判):210mm×257mmなど
タブロイド判:273mm×406mm(夕刊フジ、日刊ゲンダイ、馬三郎など)
書籍用菊判:218mm×152mm
書籍用四六判:188 mm×127mm(書籍)
レターサイズ:216mm×279.5mm
新書判:106mm×173mm
文庫判:105mm×148mm

折込チラシやリーフレット、フライヤーなど、一般的に使う用途が明確であれば印刷会社に最適なサイズを聞くと教えてくれるはずです。

後は、費用対効果の話になります。業種によってチラシの一般的な厚さが変わることはありますし、紙の種類もどう見せたいかによって変わることがあります。

その際に今回ご紹介した特徴を踏まえた話ができると、印刷会社との話もスムーズに進むのではないでしょうか。