2024年11月27日
初心者でも安心!物撮りの基本と揃えたい必須アイテム3選
目次 ▼
この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
物撮りとは?
物撮り(ぶつどり)とは、商品や小物、食品などを撮影することです。ECサイトやフリマアプリにおける宣伝用の商品の撮影、またはマニュアルや取扱説明書における説明用の商品の撮影など、さまざまな用途があります。
プロのカメラマンに依頼することもありますが、撮影点数が少なかったり、予算に限りがある場合など、自分で撮影することも少なくないのではないでしょうか?
人物や風景を撮影する場合とは異なり、物撮りでは撮影した写真のクオリティが直接売上やユーザー体験に影響するため、仕上がりの精度が非常に重要になってきます。
そこで今回は、物撮り初心者が揃えておきたい基本アイテムと、撮影時に気を付けたいポイントについてご紹介いたします。
物撮りでまず用意したいアイテム
1.カメラ
撮影するものの特徴や目的に応じて、スマートフォン、コンパクトデジタルカメラ、一眼レフカメラなど、適切なカメラを選びましょう。
スマートフォンで十分なケースもありますが、被写体のサイズやディテールを正確に捉えたい場合やズームが必要な場合には、一眼レフカメラがおすすめです。
一眼レフには初心者向けのセットもあり、価格帯は5万円程度から購入できます。ピントを正確に合わせられるよう、「シャッタースピード」や「F値(絞り)」が調整しやすいものを選ぶとよいでしょう(シャッタースピードやF値については後述)。
「カメラの使用頻度が低い」「まずは一眼レフカメラを試してみたい」という場合は、レンタルサービスを利用するのも一つの方法です。
2.ストロボ(フラッシュ)
自然光で撮影することも可能ですが、自然光は天候や時間帯に左右されるため、安定して撮影するためには外付けストロボを用意しておくとよいでしょう。
「カメラに内蔵されているフラッシュじゃダメなの?」と思われるかもしれませんが、カメラ内蔵のフラッシュは正面から強い光を当てるため、被写体が真っ白になったり、影が不自然に映ったりすることがあります。
外付けのストロボを用意する際は、首の角度を調整できるものを選ぶと、光の当たり方を自在に調整できて便利です。
3.背景紙
背景に余計なものが写り込むと、被写体の特徴が伝わりにくくなってしまいます。被写体の色やイメージに合わせた背景を用意しましょう。 基本的には被写体が白色でない限り、白の背景が無難です。
画用紙や模造紙、シーツ、ボードなどが背景紙として利用できますが、このとき注意したいのが背景紙のサイズです。小さすぎると背景のスペースが足りず、大きく映さなければならなかったりトリミングが必要になったりと撮影しづらくなります。背景紙は少し大きめのものを用意しておくのがおすすめです。
白以外にも、被写体の色や与えたい印象に合わせた背景紙や、使用シーンをイメージしやすい背景を用意するのもよいでしょう。
あると便利なアイテム
1.三脚
カメラを手に持って撮影すると、どうしても手ブレが発生してしまいます。構図やライティングを変えるたびにカメラの位置がずれてしまうことを防ぐためにも、カメラをしっかりと支えられる三脚があると便利です。
カットごとにカメラの位置を修正する手間が省け、効率的に撮影を進めることができます。
2.ディフューザー
ディフューザーは、光の強さを調整するためのアイテムです。ディフューザーでストロボを覆うことで、強い光を和らげ、柔らかな光に変える役割があります。
ボックス型、バウンス型、カップ型などさまざまな種類がありますが、市販のもの以外にもトレーシングペーパーや透ける素材のカーテンなどでも代用することができます。まずは身近にあるもので代用してみるのもよいかもしれません。
3.レフ板
レフ板とは、光を反射させて、光の向きや明るさ、影の濃さを調整するためのものです。
こちらも市販のものだけでなく、白い紙やノートで代用したり、段ボールにアルミホイルを貼って自作することも可能です。
4.撮影ボックス
撮影ボックスは、上部にLEDライトがついた簡易的なスタジオのようなアイテムです。撮影ボックスの中に被写体を置いて撮影するだけで、本格的な物撮りが可能になります。
サイズは40cm程度のものから、100cm近いものまでさまざまですが、迷ったときは少し余裕のあるサイズを選ぶと、角度を変えたり被写体が複数ある場合にも使いやすいでしょう。
また、こちらも百円ショップなどで売っているラックやボードを使って自作することもできます。予算や用途を考慮して、自分に合ったものを選びましょう。
物撮りで気を付けたいポイント
1.適切なライティングを使用する
物撮りに限らず写真撮影において最も重要なのがライティングです。光の種類、強さ、角度、距離など、一つとっても写真の印象が大きく変わります。被写体の特性やイメージに合ったライティングを見つけましょう。
ここからは、光の種類と角度について簡単にご説明します。
自然光
自然光は、柔らかく優しい印象の写真を撮影できるのが特徴です。
特別な機材や設定が不要なため、初心者でも取り組みやすいですが、自然光は時間帯や天候、場所など周りの条件に左右されやすく、撮影可能な時間が限られる点に注意が必要です。
室内で自然光を使う場合は、部屋の照明を消し、窓際で撮影するのがおすすめです。特に、晴れた日の午前中は光が安定しており、きれいな仕上がりが期待できます。窓の向きや光の入り方によっても影響を受けるため、何度か試して最適な条件を見つけましょう。
人工光
室内照明やストロボ、LEDライトなどの人工光を使用すると、被写体全体に均等に光を当てることができ、自然光に比べて細部をよりくっきりと表現できます。
ただし、照明の色によっては実物の色とズレが生じてしまったり、光が強すぎると白飛びや濃い影ができてしまうこともあります。
失敗を防ぐためには、被写体の大きさに応じて照明までの距離や明るさ、照明範囲を調整することが重要です。ディフューザーやレフ板を使用することで、強すぎる光を和らげ、柔らかい仕上がりになります。
2.光の向きを意識する
ライティングの種類だけでなく、光の向きも写真の見え方に大きく影響します。光の向きは大きく「順光」「逆光」「斜光」の3種類に分けられ、それぞれ異なる特徴を持っています。
順光
順光とは、被写体の正面から光が当たる状態を指します。順光では、全体が明るくなり、均一に光が当たるため、人物撮影や風景撮影においてよく使われます。
一方、順光で撮影すると写真が平面的になりやすく、立体感が出ないため、物撮りにはあまり適していない場合があります。
斜光
斜光はサイド光とも呼ばれ、被写体の斜め方向から光が当たる状態を指します。
斜光では、光が当たっている部分と当たっていない部分の陰影がはっきりするため、被写体の質感や立体感を強調することができます。素材感を伝えたい場合やディテールを表現したい場合に最適です。
逆光
逆光とは、被写体の後ろから光が当たる状態を指します。逆光では、被写体の手前に影ができるため、全体が暗くなりやすいです。
一方、輪郭が際立ち、柔らかく幻想的な雰囲気の写真に仕上がるため、撮影したいイメージや見せ方に応じて活用することができるでしょう。
3.ピントを正確に合わせる
物撮りでは被写体の詳細を正確に伝えるため、ピントをしっかり合わせることが不可欠です。
カメラの撮影モードをマニュアルに切り替え、「F値(絞り)」「シャッタースピード」「ISO感度」を調整して、被写体に合わせた正確なピントを設定しましょう。
F値(絞り)
F値とは、カメラに取り込む光の量のことです。
F値が低いほど多く光が入るため、明るく撮影することができますが、その分ピントが合わせにくく、ぼけやすくなります。
一方、F値が高いほど取り込む光の量が少なくなるため、全体が暗くなりやすいですが、ピントは合わせやすくなります。
被写体の特性や光の状況に合わせて、F値は8~11程度に設定するとよいでしょう。
シャッタースピード
シャッタースピードは、その名のとおりシャッターを切る速さを表しています。
シャッターを切っている間はカメラに光が取り込まれ続けれるため、シャッタースピードが速いとそれだけ光を取り込む時間が短く、暗い写真になります。
一方、シャッタースピードが遅いと光を取り込める時間が長くなるため、明るい写真になりますが、その分ブレの原因になります。
三脚を使用する場合は、シャッタースピードを1秒前後のスローシャッターにしておくと適切な明るさを確保できます。一方、手持ちで撮影する場合は、ブレを防ぐために1/125秒程度の速めのシャッタースピードに設定しておくとよいでしょう。
ISO感度
ISO感度とは、カメラが取り込んだ光をどれだけ増幅するかを示した値です。
ISO感度が高いほど、光が少ない暗い場所でも明るく撮影することができますが、写真の粒度が粗くなり、ざらつき(ノイズ)が発生しやすくなります。
三脚を使用する場合は、ISO100前後からスタートして、ISO400~800程度を目安に、明るさを見ながら適宜調整しましょう。ノイズを抑えつつ明るさを確保するため、ISO800~1,000程度を上限にしてみてください。
まとめ
今回は、初心者向けに物撮りに必要なアイテムと撮影時に気を付けたいポイントをご紹介しました。
物撮りはさまざまな機材がないと難しいと感じてしまうかもしれませんが、まずは「カメラ」「ストロボ」「背景紙」を用意するだけで、基本的な物撮りを始めることができます。
最初は思いどおりの写真が撮れないこともあるかもしれませんが、角度や距離、設定を変えて多くの写真を撮ってみることが大切です。繰り返し撮影を重ねながら、最適な写真を目指してみてください。