2024年7月11日

【初心者向け】物撮りの基本と用意したい3つのアイテムとは

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物撮りとは?

物撮り(ぶつどり)とは、商品や小物、食品などを撮影することです。ECサイトやフリマアプリにおける宣伝用の商品の撮影、またはマニュアルや取扱説明書における説明用の商品の撮影など、さまざまな用途があります。

プロのカメラマンに依頼することもありますが、撮影枚数が少なかったり、予算に制限がある場合など、自分で撮影するケースも多いのではないでしょうか?

物撮りは人物や風景の撮影とは異なり、その写真の見え方が直接売上やユーザー体験に影響するため、クオリティが非常に重要になってきます。

そこで今回は、物撮り初心者がまず用意したいアイテムと、気を付けるべきポイントをご紹介いたします。

物撮りでまず用意したいアイテム

カメラ

スマートフォン、コンパクトデジタルカメラ、一眼レフカメラなど、撮影したい商品の特徴や目的に応じてカメラを選びましょう。

商品によってはスマートフォンで十分なケースもありますが、小さな商品やズーム、近距離での撮影が必要な場合には、スマートフォンのカメラだとどうしても画質が粗くなってしまいます。

特に、商品のサイズが小さい場合やディテール、色を正確に再現したい場合、撮影する商品の種類が多い場合には、一眼レフカメラがおすすめです。

一眼レフカメラには初心者向けのセットもあり、価格は5万円程度から購入できます。物撮りではピントをしっかり合わせることが重要なので、「シャッタースピード」や「F値(絞り)」が設定しやすいものを選びましょう(シャッタースピードやF値については後述します)。

「カメラの使用頻度が低い」「まずは一眼レフカメラを試してみたい」という場合は、レンタルを検討してもよいかもしれません。

ストロボ(フラッシュ)

自然光で撮影することも可能ですが、自然光は時間や天候に大きく左右され、撮影時間が制限されることがあります。そのため、ストロボを用意しておくとよいでしょう。

「カメラに内蔵されているフラッシュじゃダメなの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、内蔵フラッシュは正面から強い光を当てるため、商品が真っ白になったり、影が不自然に映ったりすることがあります。                                                                                     

外付けのストロボを用意する際は、首が動いて角度を調整できるものを選ぶと、光の当たり方を自在に調整できるので便利です。

背景紙

背景に余計なものが写り込むと、商品の特徴が伝わりにくくなってしまいます。商品の色やイメージに合わせた背景を用意しましょう。 特にこだわりがなく、商品が白色でなければ、白の背景を選択するのが無難です。

背景紙としては、画用紙や模造紙、シーツ、ボードなどが使われることが多いですが、このときに気を付けたいのが背景紙のサイズです。小さすぎると背景のスペースが足りず、商品を大きく映さなければならなかったりトリミングが必要になったりと撮影しづらくなります。背景紙は少し大きめのものを用意しておくとよいでしょう。

白以外にも、商品の色や与えたい印象に合わせた背景紙や、使用シーンをイメージしやすい背景を用意するのもよい方法です。

あると便利なアイテム

三脚

カメラを手に持って撮影すると、どうしても手ブレが発生します。構図やライティングを変えるたびにカメラの位置がずれてしまうことを防ぐためにも、カメラをしっかりと支えられる三脚があると便利です。

カットごとに商品との距離やカメラの位置を修正する手間が省け、効率的に撮影を進めることができます。

ディフューザー

ディフューザーは、光の強さを調整するためのアイテムです。ストロボを覆うことで、強すぎる光を和らげ、柔らかな光に変える役割があります。

ボックス型、バウンス型、カップ型などさまざまな種類がありますが、トレーシングペーパーや透ける素材のカーテンなどでも代用することができます。

初めてで多く機材をそろえるのはハードルが高いという方は、まずは身近にあるもので代用してみるのもよいかもしれません。

レフ板

レフ板とは、光を反射する板のことです。光の向きや明るさを調整して、商品全体を明るく映すことができ、影の濃さなどの調整も可能です。

こちらも、白い紙やノートで代用したり、段ボールに紙やアルミホイルを貼って自作することもできます。

撮影ボックス

撮影ボックスは、上部にLEDライトがついた簡易的なスタジオのような箱です。撮影ボックスの中に商品を置いて撮影するだけで、本格的な物撮りが可能になります。

サイズは40cm程度のものから、100cm近いものまでさまざまですが、迷ったときは少し余裕のあるサイズを選ぶと、角度を変えたり別の商品を撮影する際にも使いやすいです。

また、こちらも百円ショップなどで売っているラックやボードを使って自作することもできます。予算や用途を考慮して、自分に合ったものを選びましょう。

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物撮りで気を付けたいポイント

商品がきれいに見えるライティングを見つける

物撮りに限らず写真撮影において最も重要なのがライティングです。光の種類、強さ、角度、距離など、一つとっても写真の印象が大きく変わります。暗かったり不自然な光では、商品の魅力や特徴が伝わりません。商品の特性やイメージに合ったライティングを見つけましょう。

ここでは、光の種類と角度について簡単にご説明します。

自然光

自然光は、柔らかく優しい印象の写真が撮れるのが特徴です。

特別な機材や設定が不要なため、初心者でも取り組みやすいですが、時間帯や天候、場所など周りの条件に左右されやすく、撮影時間が限られるため注意が必要です。

室内で自然光を使う場合は、部屋の照明を消し、窓際で撮影しましょう。窓の向きにもよりますが、晴れた日の午前中が最適です。

人工光

室内照明やストロボなどの人工光を使用すると、商品全体に光が均等に当たり、自然光よりも細部までくっきりと表現されます。

ただし、照明の色によっては実際の商品の色とズレが生じてしまったり、光が強すぎると白飛びや濃い影ができてしまうこともあります。

失敗を防ぐためには、商品の大きさに応じて照明までの距離や明るさ、照明範囲を調整することが重要です。まずは色々な位置や角度、明るさで試し、最適なライティングを見つけましょう。ディフューザーやレフ板を活用すると、簡単にクオリティの高い物撮りが可能になります。

また、光には大きく分けて3種類の向きがあり、それぞれで写真の見え方が異なります。

順光

光の向き_順光

順光は、商品の正面から光が当たる状態です。
全体が明るくなり、均一に光が当たるため、人物撮影や風景撮影においてよく使われますが、平面的な写真になりやすく立体感が出ないため、物撮りにはあまり適していません。

斜光

光の向き_斜光

斜光はサイド光とも呼ばれ、商品の斜めから光が当たる状態です。光が当たっている部分と当たっていない部分の陰影がはっきりするため、商品の質感や立体感を表現しやすく、細部まで詳細に見せたい場合に適しています。

逆光

光の向き_逆光

逆光は、商品の後ろから光が当たる状態です。商品の手前に影ができるため、全体が暗くなることもありますが、輪郭が際立ち、柔らかく幻想的な雰囲気の写真が撮れます。撮影する商品のイメージや見せ方に応じて活用しましょう。

ピントを合わせる

物撮りでは商品の詳細を正確に伝えるために、ピントをしっかり合わせることが不可欠です。商品がぼやけていると、正確な情報が伝わらないだけではなく、商品の魅力も半減してしまいます。

カメラの撮影モードをマニュアルに切り替えて、F値(絞り)、シャッタースピード、ISO感度を調整することで、商品に合わせた正確なピントを設定することができます。

F値(絞り)

F値とは、カメラに取り込む光の量のことです。
F値が低いと明るくてぼけやすく、F値が高いと暗くてシャープになります。ピントが合いやすいからと言ってF値を上げすぎると暗くなってしまうため、 商品の特性や光の状況に合わせて、F値は8~11程度に設定するとよいでしょう。

シャッタースピード

F値が光の量を調整するのに対して、シャッタースピードはその名の通り、シャッターを切る速度を表しています。

シャッターを切っている間はカメラに光が取り込まれ続けれるため、シャッタースピードが速いとそれだけ光を取り込む時間が短く、暗い写真になり、反対にシャッタースピードが遅いと光を取り込める時間が長くなるため、明るい写真になります。

三脚を使って撮影する際には、シャッタースピードを1秒前後のスローシャッターにしておくとよいでしょう。シャッタースピードを遅くするとその分ブレの原因になるので、カメラを手に持って撮影する際には注意が必要です。

ISO感度

ISO感度とは、カメラが取り込んだ光をどれだけ増幅するかを示した値です。
ISO感度が高いほど、少ない光でも明るく撮影できますが、ざらつき(ノイズ)が発生しやすくなるため注意が必要です。

三脚を使用する場合は、ISO100前後からスタートして、明るさを見ながら適宜調整し、800~1,000くらいまでを上限の目安にしてみてください。

まとめ

今回は、初心者向けの物撮りに必要なアイテムと気を付けたいポイントをご紹介しました。

必要なアイテムや機材はさまざまですが、まずは「カメラ」「ストロボ」「背景紙」を用意するだけでも、簡単に物撮りを始めることができます。

専門的な知識やスキルがないと難しく感じてしまうかもしれませんが、まずは角度や距離を変えて多くの写真を撮ってみることが大切です。試行錯誤しながら、ぴったりな写真を探してみてください。

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