2023年6月9日

ピクトグラムとは?歴史や作り方、無料素材サイトをご紹介

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ピクトグラムとは

ピクトグラムとは、特定の言語がわからなくても情報が伝わるよう、文字を使わずに絵や図などで表された記号のことです。公共施設で多く用いられており、代表的なピクトグラムとしては非常口のマークやトイレのマークなどが挙げられます。これらは、文字を使わなくてもピクトグラムを見ただけで何を表しているか認識できるよう作成されており、視認しやすい2色を使って構成されています。

ピクトグラムと似ているものに「アイコン」がありますが、ピクトグラムが基本的に2色で構成されているのに対し、アイコンは2色以上を使ったカラフルなものが多いです。また、ピクトグラムは交通機関や公共施設などで使用されることが多く、アイコンはWebサイトやロゴなどで使われることが多いという使用場面の違いもあります。

ピクトグラムの歴史

ピクトグラムは、オーストリアの哲学者、社会・経済学者であるオットー・ノイラートが1920年代に開発した「アイソタイプ」という記号が始まりであると言われています。

アイソタイプは、教育を受けていない大衆に向けた「社会経済博物館」で展示を行う際、読み書きできない人でも社会の変化や経済動向がわかるように統計資料を図式化して表したもので、言葉を使わなくても直観的に理解できるよう作成されています。

アイソタイプ(ISOTYPE)は「International System Of TYpographic Picture Education」の略で、ノイラートは図による教育は国際的なつながりを作るとして、図を使った教育システムの重要性を提唱していました。

ピクトグラムとオリンピック

2021年の東京オリンピック開会式でピクトグラムのパフォーマンスが行われたことも記憶に新しいですが、現在のようなピクトグラムは1964年に行われた東京オリンピックが発祥とされています。

当時の日本は、標識や案内の多くが外国語に対応していませんでした。オリンピックで来日する外国人に情報を正しく伝えるため、美術評論家の勝見氏を中心に、競技を表す20種類のピクトグラムと、施設を表す39種類のピクトグラムが考案されました。その後、世界的に普及されることを目指して著作権が放棄され、世界中に広まっていったと言われています。

57年の時を経て、2021年の東京オリンピックでは33種目50種類のピクトグラムが作成されました。

参考:オリンピック競技リスト – 夏季・冬季オリンピック

ピクトグラムのメリット

視認性が高く、情報が一目で伝わる

ピクトグラムは文字だけで表現するよりも素早く情報を伝えやすいというメリットがあります。シンプルで視認性が高く、遠くからでも何を表しているのか一目でわかるため、道路標識や非常口などの表示としても効果的です。色を使えば赤は警告、緑は安全というように、より直観的に情報を伝えることができます。

また、ピクトグラムは文字がなくても情報を伝えられるため、限られたスペース内で情報を伝えたいときにも活用できます。文字を入れると見えづらくなってしまったり、文字がつぶれてしまったりする場合でも、ピクトグラムを活用すれば端的に情報を伝えることができるでしょう。

幅広い人にとって情報を伝えやすい

ピクトグラムは文字を使わず視覚的に情報を伝えることができるため、言語や国籍、年齢などを問わず幅広い人にとって理解しやすいというメリットもあります。

ただし、国や文化によって意味が違ったり異なった解釈をされる場合もあるため注意が必要です。外国人向けのピクトグラムの場合は、ISO規格のピクトグラムを使用することをおすすめします。

ISOとは、スイスのジュネーブに本部のある、非政府組織「International Organization for Standardization」の略称です。日本語に訳すと「国際標準化機構」であり、国際的な基準となる規格を制定することを役割としています。例えば、一つの製品に対する安全基準が国によって異なっていると、輸入や輸出などの取引の際に影響が出たり、ユーザーの安全性を脅かす可能性が出てしまいます。

そこで、世界共通で統一された基準を定めるために「ISO規格」という国際的な規格が制定されているのです。

引用: 実は世界共通!マニュアルや取説で使われる「禁止・警告・指示」マークの意味
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ピクトグラムの作成方法

ピクトグラムの作り方としては、自分で作成する方法と素材サイトからダウンロードする方法があります。自分でピクトグラムを作成する場合には、まずはピクトグラムにしたい情報を決めて記号化・視覚化した後、不要な情報を削って盛り込む要素を減らします。「丸」「角丸四角」「線」をうまく組み合わせて、できるだけシンプルなデザインにしていきましょう。

ピクトグラムは主に以下のようなソフトを使って作成することができます。

Adobe illustrator
Microsoft PowerPoint
PICTOGRAMMING

ピクトグラムを作成する際には、誰が見ても何を表しているのかが伝わるようにすることが重要です。視認性の高い色を使用したり、できるだけ単純化することを心がけます。複数のピクトグラムを作成する場合には、サイズやテイスト、色などの統一感を持たせることも大切です。

無料で使えるピクトグラム素材サイト

ここからは無料でダウンロードできるピクトグラム素材サイトを4つご紹介します。素材サイトからダウンロードして使用する場合には、商用利用やクレジット表記などの利用規約を必ず確認するようにしましょう。

ヒューマンピクトグラム2.0

ヒューマンピクトグラム2.0_キャプチャ

URL:https://pictogram2.com/

ヒューマンピクトグラム2.0は、バリエーション豊富なピクトグラム素材が多数用意されているサイトです。一般的なピクトグラムに比べて、こちらのサイトではユニークでカジュアルなものが数多く提供されています。

ダウンロード形式としてはai、png、jpgに対応しています。会員登録不要でダウンロードでき、商用利用も可能です。

ピクトアーツ

ピクトアーツ_キャプチャ

URL:https://pictarts.com/

ピクトアーツは、モノクロのピクトグラムが無料でダウンロードできるサイトです。コミカルなものから汎用性の高いものまで、ラインナップが豊富に揃っています。ダウンロードできるのはpngだけですが、会員登録やクレジット表記不要で商用利用することができます。

このサイトでは、ピクトグラムのほかにも、3Dイラストやビジネスアイコン、動物イラストなどさまざまな種類の素材が配布されています。

SILHOUETTE ILLUST

シルエットイラスト_キャプチャ

URL:https://www.silhouette-illust.com/

シルエットイラストは、10,000点以上のモノクロのピクトグラムが無料でダウンロードできるサイトです。会員登録不要なため、ワンクリックでai、png、jpgがまとまった一つのZIPファイルをダウンロードすることができます。

商用利用可能でクレジット表記も不要となっています。

ピクトグラムBOX.com

ピクトグラムBOX.com_キャプチャ

URL:https://pictogrambox.com/

ピクトグラムBOX.comは、ピクトグラムをはじめ、警告マークや禁止マークなどの素材がダウンロードできるサイトです。バリエーションが豊富なため、さまざまなシチュエーションで活用することができます。

ダウンロードできるのはPDF形式だけですが、会員登録不要でダウンロードできます。

まとめ

今回はピクトグラムについて、歴史や作成方法、使用のメリットなどを中心にご紹介しました。

ピクトグラムを使うことで、文字だけの場合よりも直観的・視覚的に情報を伝えることができます。伝えたい相手や状況に合わせてうまく活用することが大切です。

さまざまなシーンに活用することができますので、ぜひ参考にしてみてください。

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