2021年10月14日
寒色・暖色だけじゃない!色が与えるイメージ、心理的な影響とは
この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。
人の心は色でコントロールされている?
色が人に与える心理的な影響を考えたことがありますか?
食品メーカーのロゴ(CI)は圧倒的に赤が多いです。なぜなら赤は、食欲を増進させる心理的効果があるからです。
印刷物やWebサイト、広告や商材の色使いには色が与える心理的な影響が関わっています。
冒頭でご紹介した赤は食品によく利用されますが、他の色はどうでしょうか?
例えば、青は食品には使用されません。なぜなら青は、食欲を減退させる色と言われているからです。
食欲を抑えるためにあえて青い器を使用するなんていうダイエット法があるくらいです。
また、色の効果といえば暖色と寒色も有名ですね。
暖色とは、色の心理的効果により暖かみを感じる色、逆に寒色は寒さを感じる色のことです。
このような色による心理的影響を「色彩心理学」と呼ぶ人もいます。
そこで今回は、色が人に与える影響を代表的なカラーをメインにご紹介したいと思います。
赤が与える印象
あなたは赤というとどのようなイメージを持ちますか?
火や炎を連想させますし、一般的に「情熱の赤」と言われるくらいですので、全体的に活気のあるイメージです。
勇気、愛情、勝利のようなポジティブなイメージもあれば、危険、緊張、怒りのようなネガティブなイメージもあります。
暖色の一つですが、暖かみというより暑さや辛さのようなイメージが強いのではないでしょうか。
また、冒頭でも触れましたが、食欲増進にも効果があるとされています。
例えば食品のロゴマークを始め外食チェーンのロゴマークや内装、外観ともに赤が多く使われています。
確かに、マクドナルドやケンタッキーなどのファストフード、ガストやジョナサンなどのファミレスなど、赤を使ったロゴは多いですね。
また目を引き関心を集めることから「SALE」「大特価」など、引きの強い文字にも使われます。
青が与える印象
青が与える影響とはどんなものでしょうか?
青というと、空や海、水といった清涼感あふれるイメージがあります。
しかし一方では、クールで冷たいイメージもあります。
先ほども触れましたが、青には食欲を減退させる効果があるといいます。
なぜなら自然界にはあまり青い食べ物がないため、気味が悪いと感じて食欲が減ると言われているからです。
また青には気持ちを沈静化させ、集中力が増すといった効果もあります。そのため、青はクールで冷静沈着なイメージにも使える色なのです。
IT企業は一般的に青が多いと言われています。青は信頼や誠実さを表す色である一方、クールな印象を与えます。
黒が与える印象
黒は白やグレーと同じ彩度のない色です。そのため無彩色ともいいます。
無彩色とは白やグレー、黒などの色みのない色をいいます。無彩色には色相と彩度がなく、明度のみで表される色です。
また黒は光の三原色で言えば、光が全くない色です。
落着きや暗さをイメージしたい時に使ったり、全体を引き締めたい場合に使ったりします。
収縮色とは、寒色や黒などの実際より小さく、細く見える色です。後退色も収縮色です。
また、黒は高級感やスタイリッシュな印象を持たせたいときに使用されています。
さらには「白黒つける」という言葉からも、黒には負のイメージが一般的です。
白が与える印象
白は黒と同じ無彩色ですが、明度が高く光を反射する色なので、明るいイメージで使われることが多い色です。
光の三原色の赤・緑・青全てを合わせると白になります。
汚れのない清潔感・純粋さ、静けさをイメージする色です。
また病院や飲食店など、衛生さをアピールしなくてはいけない場所では白い制服が使われていることが多いです。
そのため医療業界のパンフレットには定番の色といえます。
医療業界の場合、基本は白でパステルカラーがよく使われます。
参考:
ITは青、食品は赤…業界別に見るイメージカラーやデザインとは
空間を広く見せる色でもあるので、開放感のあるイメージにも使えるでしょう。
膨張色とは、暖色や白など実際より広がって大きく見える色です。進出色も膨張色です。
緑が与える印象
緑は、木や森などの自然を表す色であり、安らぎを表す色ですね。健康というキーワードにもよく当てはまります。
DMに限らずですが、健康というキーワードが持つイメージや、野菜や植物由来の食品が多いせいか、健康食品には緑が使われるイメージが強いです。
分かりやすい例でいうと、グリーンスムージーや青汁でしょうか。
健康食品の他にもオーガニック製品、ナチュラルなイメージのある商材の定番色といえます。
また緑には気持ちを穏やかにし、心身ともにリラックスさせてくれる効果があります。
ちなみに、ウェブサイトにおける問い合わせボタンは緑で作られることが多いと言われます。それは、見ている人に安心感を与え、クリックに対する気持ちのハードルを下げるのに有効だからだそうです。
黄が与える印象
黄色はレモンやひまわり、太陽を連想させ、フレッシュさと輝きを表す色です。
実は有彩色の中で一番明るい色ということもあり活動的で元気なイメージがあります。
膨張色、進出色でもあるので、軽さや開放感もある色です。
暖色や明るい色は近くに感じるため、進出色と言われています。
明るさを表す一方、黄色には無邪気さやお調子者といった少しネガティブなイメージもあります。戦隊モノの黄色メンバーにお調子者キャラが多いのはそのせいなのかもしれませんね(笑)。
また、黄色は昼夜問わず認識しやすく、特に黄色と黒の組み合わせはコントラストが非常に目立つことから、「警戒色(警告色)」として交通標識や踏切工事現場などによく使われます。
反対に、黄色と白の組み合わせはコントラストが弱く、文字が読みにくくなってしまうためデザイン制作の場合には注意が必要です。
他にも「黄色い声援」という言葉がありますが、音を表す言葉として「甲高い音」の例えで使われることもある色です。
意外なことに、海外ではイエス・キリストを裏切ったユダの衣の色が黄色であったことから、「裏切り」「嫉妬」のようなネガティブなイメージもあります。もし外国人向けにデザインをする場合は、日本でのイメージの違いも考慮する必要があります。
橙(オレンジ)が与える印象
橙(オレンジ)は解放感があり楽しい気分にさせる色です。
黄と赤の中間色であることから、黄のように明るさを表す一方、赤と同じように食欲を促進させる色でもあります。
参考:
色相 – デザインするなら押さえたい「彩度・色相・明度」と視覚効果
赤に比べると、マイルドな印象ですので、情熱的より一歩引いた親しみのある色みです。
ただ明るいだけでない夕日のようなロマンチックさ、オレンジをはじめ柑橘系のようなフレッシュさを表すときにも使われる色です。
金が与える印象
金色は派手で目立つ色、また高価の象徴であることから、特別なものや高級感といった印象を与える色です。
お金や富を連想させ、豊かさを感じさせてくれます。歴史的に見ても、富や豪華さを誇示するために建築や宝飾品では金が多く使われています。
ただし金は使いすぎると高級なイメージから低俗なイメージ(物欲)、下品なイメージに変わってしまうので注意が必要です。
色が与える心理的な影響 まとめ
色が人の感情や視覚に与える影響はとても大きいです。
本文でも触れましたが、色には暖色と寒色というカテゴリがあり、見ただけで寒さや涼しさ、暑さや暖かさを感じる色味があります。
例えばホッカイロのパッケージの色が青や緑だったら、購入する人はきっと少ないでしょう。(目立つかもしれませんが…。)
消費者、読み手にどう感じて欲しいかを考えるとき、色の効果を意識しながら配色やデザインを考えることはとても重要なことです。
商品パッケージや広告に、色の心理効果が検証されるのはそのためです。
DMやチラシをデザインする際も色が与える印象を充分に考慮しましょう。