2015年10月26日
商業印刷に必須なトンボと塗り足し処理の基本知識
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印刷に必須な「トンボ」とは?
商業印刷ではトンボが必須です。しかし、いきなり印刷のトンボと言われて「あぁ、あれね」となる方は少ないでしょう。
トンボとは、印刷会社で大量部数を印刷をする際に、印刷データの周りに必ず付いているT字やクロスのラインのことです。
と言われると、何となく見たことがある方も増えると思います。
通常、事務所にある複合機を使って何かを印刷する場合、フチあり印刷が大半です。
パンフレット、チラシ印刷で、フチなし印刷にしたい場合は、印刷会社に依頼をかけます。ここが印刷会社の印刷と複合機の印刷の大きくわかりやすい違いです。
商業印刷は、大きな紙に面付けを行い、まとめて印刷した後、用紙を断裁して仕上げます。
パンフレットなどの冊子の場合、仮に16ページもの(A3サイズ4枚分)であれば、以下のように、A1サイズの用紙に面付けを行うためです。
少しややこしいかもしれませんが、16ページの場合、2セットの面付けを行っています。数字が逆になっているのは、デザインの天地を現しています。
紙の断裁を行わず、印刷用紙ぎりぎりのデータ作成をしてしまうと、僅かにズレただけで、用紙の白地が見えてしまうかもしれません。
このようなことを防ぐために、断裁時に正しいトンボが必要になります。今回は印刷に必須なトンボとは何かについてご紹介します。
塗り足し処理とは
トンボを説明するために前提知識として必要な物が「塗り足し処理」です。
断裁前提の商業印刷において、きれいな印刷物に仕上げるためには、実際の仕上がりイメージ(断裁するサイズ)よりも印刷データを大きめに作っておかなければいけません。
この余分に作るデータ部分を「塗り足し処理」と言います。
印刷後に断裁をすることで印刷物が完成するのですが、その際、断裁基準になるのは、印刷データ作成時に作るトンボです。
A4サイズの印刷物を作るとして、そのサイズギリギリで作成してしまうと、仮に断裁位置がトンボから少しずれると大変です。
紙面全体に地色や地紋を入れたり、紙のふちぎりぎりまで写真を入れたい場合は、仕上がりサイズよりも地色や画像をはみ出させてレイアウト作成する、塗り足し処理が必要です。
一般的な印刷物では、塗り足し幅を3mmに設定してデータを作成します。そして、この塗り足し処理の基準となるものがトンボです。
トンボとは
トンボとは、仕上がりサイズのそれぞれ角と辺の中央に作成する8つのマークのことです。各角に作成する4つのトンボは、仕上がりサイズと塗り足し幅を表します。
トンボには重要な2つの役割があります。一つは「CMYKの4色を塗り重ねる時の基準線となること」、もう一つは「仕上がりサイズと中心を明確にすること」です。
トンボ作成の基本1.4色を重ねる時の基準線となる
各辺中央の4つのトンボは、印刷時にインクを塗り重ねる時の位置を調整するために使用するトンボです。
印刷物は1枚の大きな紙にCMYK4色のインクを重ねていくことで、印刷を完成させます。
この時に、各色のインクの位置を合わせる目安としてトンボを用います。トンボは4色を塗り重ねる時の基準線になり、主にセンタートンボで上下左右の位置を合わせます。
トンボ作成の基本2.仕上がりサイズと中心を明確にする
最終的にはトンボを目安に塗り足し幅の部分を断裁して、仕上がりサイズに加工します。
断裁時には微妙なズレが生じてしまうことがあります。この時に、トンボを基準とした塗り足し領域があることで、紙の白地が見えずにキレイに仕上がります。
トンボ作成の基本3.デザインは断裁位置からなるべく内側に
データの外側ではなく内側に断裁位置がズレてしまうこともあります。
そのため、仕上がりサイズに近い位置に文字を置くと、断裁時のズレによって文字が切れてしまうことがあります。
デザイン上必要な場合を除いて、文字や図版などの切れてはいけないデザインは、仕上がり位置より2~3mm程内側に配置しましょう。
インクの盛り具合や発色を確認するためのカラーパッチ、また、正確に製版・印刷が行われていることを確認するための色玉の説明は、また別の機会に。
トンボと塗り足し処理の基本知識まとめ
トンボは、きれいな印刷物を作る際に必要なマークです。
トンボを基準に、断裁位置、データの中央位置、そして断裁時のテキストや図版に影響がでないデータ作成をしなければいけない、ということを覚えておきましょう。
印刷物の仕上がりを正確にイメージするためには、カラープリンターを使ったデザイン確認、色校正をする場合にも、トンボを入れておくと良いでしょう。
これで、商業印刷にいかにトンボが重要か、お分かりいただけたでしょう。
ちなみに、色校正に関しては、以下をご参考に。