2016年3月22日
ITは青、食品は赤…業界別に見るイメージカラーやデザインとは
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なぜ業界ごとにデザインや色の傾向があるのか
イメージカラーやデザインには、業界や業種それぞれの傾向があります。
例えば病院に黒やグレーは似合いませんし、IT企業にピンクという印象はないですよね。
黒やグレーは、クールでスタイリッシュなイメージがある一方、冷たい印象にも見え、病院のイメージカラーとしては不適切です。
またピンクは優しい雰囲気の色ですが、女性向けサービスの色としてはアリでも、IT系のイメージではありません。
なぜ、業界ごとにそのような色使いが定番になっているのでしょうか?
それは、それぞれの色に対する心理的な印象が違うからです。
そこで今回は、会社案内やパンフレット、ロゴやWebサイトを制作するときの参考に、業界別のイメージカラーやデザインの傾向を(ほんの一部)ご紹介したいと思います。
業界別のデザインの傾向とは
では、実際に5つの業界の例をあげて、業界の持つカラーイメージ、デザインイメージをご紹介したいと思います。
業界別のデザイン傾向1.IT業界
IT企業は一般的に青が多いと言われています。青は信頼や誠実さを表す色である一方、クールな印象を与えます。
使用する画像もサイバー的抽象画像が多く、映画「マトリックス」のような世界観です。
出典:The Most Powerful Colors in the World
上記は世界中のWeb企業のコーポレートカラーを集めた図ですが、やはり青系が多いですね。
しかし上記を見てもわかるように、一口にIT企業といっても幅広く、BtoBとBtoCでもそれぞれ持つイメージが異なります。
BtoCの場合、青がベースでもポップ体や丸みのあるフォントを使用していたり、オレンジや緑などの親しみやすさをアピールした色みを使用することもあります。
例えば、Twitterのロゴはカラーは青系ですが、全体的に丸みを帯びたロゴを使用しています。
参考:
Twitterの特徴あるロゴは日本のフリーフォントだった?
Youtubeは赤と黒、mixiのロゴはオレンジですし、LINEやAmeba、Evernoteのシンボルマークは緑を採用しています。
赤は主張が激しく情熱的、オレンジは元気さや明るさ、緑はさわやかさや癒やし、エコなどを連想させる色です。
このように、「IT業界=青」と考えるのではなく、サービスが持つイメージと色が持つ心理的イメージをうまくマッチングさせることが必要です。
業界別のデザイン傾向2.食品業界
一般的に、食品メーカーのロゴ(CI)は圧倒的に赤が多いです。なぜなら赤は、食欲を増進させる心理的効果があるからです。
加工食品(ハムやソーセージ)、乳飲料、菓子メーカー…思いつく食品メーカーさんのロゴ(CI)を思い出していただくとおわかりになるかと思います。
飲料メーカーのロゴも赤が多いですが(コカ・コーラやキリンなど)、清涼飲料水であれば青・水色(サントリーやアサヒ)、お茶であれば緑(伊藤園)、お酒の場合は、黒やゴールド(サッポロ・ニッカ)など、コアとなる事業や商品が持つカラーをロゴに採用している企業もあります。
メイン事業が何を扱っているのかもロゴやコーポレートカラーを決める要素の1つです。
業界別のデザイン傾向3.飲食業界
全体的には、美味しそうに見えるという理由で暖色が多く見られます。
しかし、扱うジャンルやターゲットによって、使用するカラーやデザインが違います。
例えば、フレンチであればトリコロールカラー、中華なら赤のイメージがありますよね。和食であれば黒や暗めの赤を使い落着きや高級感を打ち出します。
ファミレスやファストフードなら、色使いも豊富になりますし、イラストや写真を多用したポップで親しみやすいデザインが多くなります。
フォントも同じくジャンルごとに違いがあります。例えば和食は毛筆フォンや手書きフォントを使います。
そして、飲食業界にとって、デザイン上一番大事なのは写真です。加工で湯気を足したり、少しでもおいしく見える工夫をします。見た目がとても大事なのです。
また、青や緑があまり使われないのは、食欲を減退させる色だと言われているからです。
業界別のデザイン傾向4.士業法人
公認会計士や弁護士などの士業法人は、基本的に信頼や信用がなくてはいけません。そのため、全体的に落ち着いたデザインです。
例えば会計事務所や監査法人は、全体的に黒やグレー、ネイビーなどのダークな色合いでフォントは明朝が多く、ソリッドな印象のデザインが多いのが特徴です。カラーは多用せず、デザインも色使いも非常にシンプルです。
信頼や権威付けを意味づけるように、下から見上げる、もしくは上から見下ろす構図や、立派な建物の写真を多く使います。これは、大手の金融企業でもよく見られる手法です。
弁護士事務所の場合は、基本は会計事務所のように落ち着いたトーンが多く見られます。しかし、何を專門にするか、ターゲットが法人なのか個人なのかでもトーンやデザインの雰囲気が変わります。
例えば、離婚問題專門の企業だとピンク(主に女性のクライアントが多いため)やオレンジなどのパステルカラーが多くなります。
業界別のデザイン傾向5.医療・介護業界
医療業界の場合、基本は白やパステルカラーがよく使われます。白以外は主に青やピンクを使用します。
青は清潔さ、ピンクは愛情や優しさを表す色だからです。
産婦人科はピンクが多く、小規模なクリニックだと緑も多く見られます。
また血を連想させるということで、赤は基本避けます。(赤十字のような例もありますが…)
介護業界場合は、基本的にパステルカラーの緑・ピンクが多く見られます。パンフレットやWebサイトでは、介護中の様子など優しいイメージの写真やイラストを多用します。
ちなみに、製薬会社のコーポレートカラーで一番多いのは青です。
採用理由を聞けば、製薬企業が持つ社会的な使命感・信頼性が「青」とつながるとのこと。
医療業界と一口にいっても、細かいジャンル分けによってイメージカラーが異なるようです。
業界ごとに適した会社案内のデザインとは
暖色や寒色という括りだけでなく、明度や彩度なども人に与える印象を変えます。メガバンクのCI/VIを見ると、コーポレートカラーは青や緑、赤などバラバラですが明度は全て低く、重く硬い印象をもたらしています。
金融機関は信頼や誠実さ大事だからです。
会社案内の目的は様々ありますが一番大事なのは、会社のイメージや商品やサービスそのものをより魅力的にすることです。
会社案内に限らず言えることですが、IT系だから青!という単純なものではなく、カラーが持つイメージやどうすればお客様に会社のイメージをわかりやすく魅力的に伝えられるかを考えましょう。
また、差別化や独自色を打ち出していく場合、従来の枠に囚われないデザインやカラーを展開することもあります。
今回、医療系ではパステルカラーを使うとお伝えしましたが、最近多い富裕層向けのクリニックの場合、ブラウンや赤などの暖色系を敢えて使用し高級感を出すこともあります。
IT系企業でも、女性向けサービスをメインにしているのであれば、CIにピンクを使っても良いのです。
CIやVI、BIには、コンセプトが必ずあります。
もちろん、中小企業や地方企業においては、CI、VI、BIを意識して得られるメリットは少ないかもしれません。
まず、自社がどこまで企業イメージを大切にするのか、ロゴによるブランディングが、市場にどこまで影響をあたえるかを予測した方が良いでしょう。
もしあなたが会社案内を作ることになったら、業種イメージも頭に入れつつ、自社らしさや、カラーの持つ心理的要因、ブランドコンセプトを意識してみると良いでしょう。