2020年9月11日
引き継ぎ資料、引き継ぎマニュアルの作り方

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従業員の退職や休職が決まったら、まず考えなくてはならないのが、引継ぎです。
マニュアルがある職務においても、個人個人の業務の内容は異なるものです。特に総務や経理などはその会社独自のルールがあります。
時間があれば、後任者にOJTなどで直接教えるのも悪くはないですが、非効率であることも確かです。また、後任者がなかなか決まらないパターンもあります。
また引継ぎ期間が短くなってしまった場合はやはり引継ぎ資料を作成しておきたいですね。
また引き継ぎ資料の作成は、これを機に業務を標準化、効率化できるチャンスでもあります。
そこで今回は、引き継ぎ資料、引継ぎマニュアルの作り方をまとめてみました。
1.スケジュール単位ごとに業務の流れを確認する
まずは、業務内容の棚卸しです。
1年単位、月間単位、週間単位のスケジュールごとに必要な業務(タスク)を洗い出します。
年間スケジュールの作り方
経理でいえば決算に関する業務、総務なら暑中見舞いや年賀状、忘年会などの年次行事、人事であれば入社式や人事異動など、年間で決められているスケジュールがありますよね。
年間のスケジュールを確認することで、業務全体の動きや、事前に準備すべき業務などを把握することができます。

上の画像は年間スケジュールの例です。
項目ごとに、業務名(タスク)、業務内容、納期(締め切り)、
そして一番右には矢印でタイムラインを引きます。
時系列に沿って順番に書くのも良いですし、カテゴリごとにまとめておくのも良いでしょう。
月間スケジュールの作り方
月間スケジュールは内容としては年間スケジュールとほぼ同じですが、もう少し具体的な内容を明記します。
納期(または締切日)、業務内容はもちろんのこと、関連書類、備考欄には関連部署、別途詳細なマニュアルがある場合などはその点についても明記します。

こちらもできるだけ時系列に沿って、またはカテゴリごとにまとめて書いたほうが良いでしょう。
週間スケジュールの作り方
最後は、週間スケジュールです。
特に週明け、週末などは決まって行う作業が多いものです。
このように曜日ごとに行っているルーチンワークを洗い出し、明記します。

スケジュール表には、ガントチャート(工程管理表)ツールや、このようなExcelのテンプレートを利用するのもおすすめです。
※ガントチャートツールについては、後日詳しい記事を公開予定です。
2.引継書を作る
スケジュール表ではカバーできない細かい作業手順や業務内容のフローを記したり、日付や後任者の名前などを記載し引き継ぎに漏れがないかをチェックしたりする書類を引継書といいます。
いわゆる業務マニュアルの一種ではありますが、引継ぎの実施や担当者のチェックが入るところが、従来のマニュアルとの大きな違いですね。
作り方については、以下のようなテンプレートも参考にしてみてください。
※業務フローや細かい手順を掲載したい場合
参考:引き継ぎ書(Office スタイルカタログ)
※引継ぎの実施日、後任者の名前などを記載し引き継ぎに漏れがないかをチェックしたい場合
3.抜け漏れをチェックするには
このように業務内容をまとめていても、やはり抜け漏れが出てくることがあります。
特にスケジュールが決まっておらず、必要がある場合にのみ実施する業務などは漏れが出やすいです。
そこで、出社から退社まで一日の業務の流れを、箇条書きでもいいので洗い出してみましょう。どんな細かいことでも構いません。そうすると、漏れている業務に気づくことがあります。
総務の業務(タスク)を例にして業務内容から引継ぎに必要な情報を洗い出します。
出社時の業務
・郵便物チェック→仕分けルール等。
・照明や空調をつける→オフィス・施設管理も業務の一つ。例えば、照明が切れたときの発注方法や、空調が壊れたときの連絡先等。
就業中の業務
・電話・メール応対→電話応対の方法、FAXの使い方、また代表メール宛にメールが来た場合の対処方法等。
・郵便物の発送→挨拶状や契約書などを送付する場合のルール等。
・書類作成→使用しているテンプレートや書類の場所等。
・備品管理・発注→方法や発注先等。
・人事・労務関連作業→社会保険に関する手続きや勤怠管理の作成方法等。
・法務関連作業→契約書の作成や管理、その他法務関連作業について等。
・来客対応→使用する会議室やお茶出しのルール等。
退社時の業務
・ゴミ出し→置き場所や分別方法のルール等。
会社によって業務内容に違いはありますが、このように細かい業務を洗い出すことで必要な引継ぎ情報が判明していきます。
4.書類や備品の保管場所について
「この書類どこにあるんだっけ?」と聞かれて、探すのに時間がかかってしまった…後任者あるあるですね。
書類や備品などの保管場所は、まとめて一覧にしておきましょう。
各種引き継ぎマニュアルに記載しておくのも良いですが、保管場所が変わった場合に、更新が漏れる可能性も高いため、あまりおすすめしません。
5.取引先の引き継ぎについて
特に営業は、取引先の情報を引き継ぐことが多いと思います。
最近ではCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)などで営業活動や顧客情報を一元管理していることも多く、引き継ぎに大きな手間がかかることはなくなりました。しかし、それはそのようなツールを使っている企業の話です。
取引先の基本情報として、会社概要、担当部署、担当者、ステークホルダー、競合他社、訪問履歴、取引履歴などは、普段からまとめておきたい情報です。
また、後任者との取引先への挨拶周りも含めて、情報の共有はしっかりと行ってください。
引き継ぎ資料、引き継ぎマニュアルの作り方 まとめ
引継ぎ資料を一度作ってしまえば、業務内容の変更に応じて内容をアップデートするだけで、簡単に最新の引継ぎ資料を作成することができます。
そして引継ぎ資料は、業務マニュアルとの共通項も多いです。
決して退職者が出たときだけに必要なものではありません。新入社員が入社したとき、人事異動があった場合なども、業務マニュアルとして機能するものです。
後任者への引継ぎが上手くいかず、業務が滞ることは、会社としても大きな負担となります。 ですので、できればじっくり時間をかけて作ってもらいたいです。