2024年1月24日

引き継ぎマニュアルの作り方と記載すべき6つの項目

引継ぎ

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

なぜ引き継ぎマニュアルが必要なのか?

異動や退職が決まったら必要になる引き継ぎですが、スムーズに引き継ぎをするために準備しておきたいのが引き継ぎマニュアルです。

口頭で引き継ぎをしただけでは伝え忘れや聞き逃し、認識のずれなどが発生しやすく、引き継ぎ内容が十分に伝わらない可能性があります。

引き継ぎが不十分だと業務品質の低下やミスの原因になる恐れもあるため、引き継ぎマニュアルとして文書にまとめておくことが望ましいでしょう。

スムーズに引き継ぎが行われることで業務品質の維持やミスの防止、顧客からの信頼獲得にもつながりますし、困ったときは引き継ぎマニュアルを見ればわかるという状態を作っておけば、前任が異動・退職した場合でも滞りなく業務を進めやすくなります。

すでに業務マニュアルがある場合は、作業途中の業務についての説明や関連部署、取引先の担当者など、前任者が知っている情報をまとめた引き継ぎ書を作成し、マニュアルを併用することでより正確な引き継ぎが可能になります。

そこで今回は、引き継ぎマニュアルの作り方や記載すべき項目、引き継ぎの流れについてご紹介いたします。

引き継ぎマニュアルの作り方

一般的な業務マニュアルと同様に、まずはマニュアルに記載する範囲を決めていきます。

引き継ぎマニュアルには業務の内容や手順に加え、現在の進行状況や作業途中の業務、スケジュールなども掲載する必要があり、主に以下の項目を載せることが多いです。

・業務の全体像、スケジュール
・業務内容、手順
・作業途中の業務や対応中の案件
・トラブルが発生したときの対処法、注意事項
・関連部署の連絡先
・取引先の情報や連絡先

ここからは引き継ぎマニュアルに掲載する項目について、一つずつご説明していきます。

▼マニュアルの作成手順については以下の記事もあわせてご覧ください。

引き継ぎマニュアルに記載する項目

①業務の全体像、スケジュール

まずは業務の全体像やスケジュールを記載します。時系列順に並べたり、項目ごとにまとめるとよいでしょう。

このときにおすすめなのが、年間、月間、週間というように、スケジュール単位で必要なタスクを洗い出す方法です。スケジュールごとに分けることで、情報が整理され、タスクの抜け漏れ防止にもつながります。

年間スケジュール

会社や部署によっては、「毎年○月に○○をする」といった年間スケジュールが決まっているケースもあるかと思います。年間のスケジュールを一覧としてまとめておくことで、全体の動きや現在の状況を把握することができ、今後どのような業務が発生するのか、いつ頃から準備すべきなのかといったタスクがつかみやすくなります。

引き継ぎマニュアル_年間スケジュール例

上記は年間スケジュールの例ですが、項目ごとに

・業務名(タスク)
・業務内容
・納期(締め切り)

を記載し、矢印やタイムラインを引いたり、ガントチャートのような形式でまとめています。時系列に沿って順番に書くのもよいですし、カテゴリごとにまとめておくのもよいでしょう。

▼以下の記事では年間計画表のテンプレートをご紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。

月間スケジュール

毎月決まった業務がある場合は月間スケジュールにまとめていきます。月間スケジュールでは、年間スケジュールよりさらに具体的な内容を明記します。納期(締め切り日)や業務内容をはじめ、関連書類や関連部署などを、時系列やカテゴリごとにまとめていきましょう。

引き継ぎマニュアル_月間スケジュール例

週間スケジュール

曜日ごとに行っている業務や週明け・週末などに決まって行う作業がある場合は、週間スケジュールに落とし込んでいきます。こうすることでルーティンワークを一目で把握できるようになり、タスクの抜け漏れ防止につながります。

また、一日の中で決まって行う業務がある場合には、週間スケジュールよりもさらに細かく一日のスケジュールをまとめておくとよいでしょう。

引き継ぎマニュアル_週間スケジュール例

このようなガントチャートやスケジュールも、Excelテンプレートやツールを活用することで簡単に作成することができます。
参考:行程管理表 (業務・スケジュール) – 無料テンプレート公開中 – 楽しもう Office

▼以下の記事ではガントチャートツールをご紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。

②業務内容・手順

スケジュールで洗い出した業務をベースに、細かい業務内容や作業手順などをまとめていきます。その際、前任者だからこそ知っているノウハウやポイントなども追記しておくとよいです。

また、引き継ぎマニュアルとは別に業務マニュアルや操作マニュアルがある場合はその旨を必ず明記し、該当のマニュアルの保管場所や参照先などを記載するようにしましょう。

ログインIDやパスワードなどの引き継ぎがある場合はそれらも忘れずに記載します。

③作業途中の業務や対応中の案件

前任者が在職中に完了できなかった業務がある場合、口頭で伝えるだけでなく必ず引き継ぎマニュアルにも記載するようにしましょう。

「現在はどこまで完了しているのか」「後任はこのあと何をすればよいのか」「いつまでに完了すべきか」といった基本的な情報をはじめ、関係者や関連部署、会議の議事録などの細かい情報も共有しておくと、スムーズに業務を引き継ぐことができます。

④トラブルやイレギュラーな事態が発生した時の対処方法

引き継いだばかりのときにトラブルやイレギュラーな事態が発生すると、後任者も慣れていないため対処に時間がかかったり、さらなるトラブルが起こってしまう可能性があります。

過去のトラブル事例や対処法、トラブル発生時に連絡する部署や担当者などをしっかりとマニュアル化して共有しておきましょう。自分が在職中には起こらなかったトラブルでも、今後起こりうる可能性のあるものはあわせて記載しておくとよいです。

また、トラブルが想定されるケースや注意事項なども事前に共有しておくとトラブル回避につながります。

⑤関連部署の連絡先

どの部署が何の業務に関連しているのか、誰に連絡をとればよいのかがわかるように、関連する部署と担当者の連絡先はすべて一覧にしてまとめておきましょう。

いざというときに連絡する先がわかっていると後任者も安心です。

⑥取引先の情報や連絡先

取引先の基本情報や担当者の連絡先、取引内容などを共有しておきましょう。取引先への引き継ぎの挨拶も忘れずに行います。

CRA(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)などのツールを活用するのも一つの方法です。

引き継ぎの流れ

ここまで引き継ぎマニュアルの作り方についてご紹介してきましたが、ここからは実際の引き継ぎの流れについてご紹介していきます。

1.引き継ぎのスケジュールを決める

まずはいつ頃から引き継ぎを開始し、いつまでに引き継ぎを完了させるのか、スケジュールを決めていきます。取引先や関連部署へ挨拶を行う場合や引き継ぐ業務のボリュームが大きい場合は予想以上に時間がかかることもあるため、余裕をもったスケジューリングが理想的です。

引き継ぎのスケジュールが固まると、引き継ぎマニュアルの作成期間も見えてきます。

2.引き継ぎマニュアルを作成する

スケジュールが決まったら引き継ぎマニュアルを作成していきます。

主な記載内容は先ほどご紹介したとおりですが、ここで注意したいのが「誰が見てもすぐにわかるようにすること」です。目次や見出しなどを工夫し、後任者がマニュアルを参照した際、すぐに知りたい情報にたどりつけるようにしましょう。

また、事前に後任者がわかっている場合は、後任者の経験値やスキルに合わせて用語の説明や基本的な情報なども入れておくとより丁寧です。

引き継ぎの場合には短時間で理解してもらう必要があるため、写真や図などを活用して視覚的に理解しやすいようにすることも大切です。

3.後任者への引き継ぎを行う

引き継ぎマニュアルが完成したら、実際に後任者への引き継ぎを行います。

その際、ただ単に引き継ぎマニュアルを渡して終わりではなく、その場で読み合わせをし、補足説明やわからない箇所の質疑応答も行いましょう。マニュアルのほかに引き継ぐ資料などがあれば、このタイミングで一緒に渡しておくとスムーズです。

また、可能であればマニュアルをもとに実際に業務を行ってもらい、わかりにくい点はないか、不足している情報はないか等をチェックしてもらうと、より確実な引き継ぎになります。

まとめ

今回は引き継ぎマニュアルの作り方と記載すべき項目、引き継ぎの流れについてご紹介しました。

通常の業務と並行しながら限られた時間で引き継ぎマニュアルを作成するのは負担が大きいかもしれませんが、引き継ぎは前任者の最後の大きな仕事でもあります。

きちんと引き継ぎが行われることで業務品質の維持やミスの防止にもつながりますので、引き継ぎマニュアルを活用して前任者も後任者も安心できる引き継ぎを目指しましょう。