2023年1月23日
引き継ぎマニュアルの作り方と記載すべき6つの項目

目次 ▼
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なぜ引き継ぎマニュアルが必要なのか?
異動や退職が決まったら必要になる引き継ぎですが、スムーズに引き継ぎをするために準備しておきたいのが引き継ぎマニュアルです。
口頭で引き継ぎをしただけでは伝え忘れや聞き逃し、認識のずれなどが発生しやすく、引き継ぎ内容が十分に伝わらない可能性があります。
引き継ぎが不十分だと業務品質の低下やミスの原因になる恐れもあるため、引き継ぎマニュアルとして文書にまとめておくことが望ましいです。
引き継ぎマニュアルを活用してスムーズに引き継ぎが行われることで、業務品質の維持やミスの防止、顧客からの信頼獲得にもつながりますし、異動や退職の場合は前任者にすぐに連絡をとることが難しいため、困ったときは引き継ぎマニュアルを見ればわかるという状態を作っておくことも大切です。
すでに業務マニュアルがある場合は、作業途中の業務についての説明や関連部署、取引先の担当者など、前任者が知っている情報をまとめた引き継ぎ書を作成し、マニュアルを併用することでより正確な引き継ぎが可能になります。
そこで今回は、引き継ぎマニュアルの作り方や記載すべき項目、引き継ぎの流れについてご紹介いたします。
引き継ぎマニュアルの作り方
引き継ぎマニュアルは、一般的な業務マニュアルと同様に、まずはマニュアルに記載する範囲を決めます。
引き継ぎマニュアルには、業務の内容や手順に加え、現在の進行状況や作業途中の業務、スケジュールなども掲載する必要があり、主に以下の項目を載せることが多いです。
・業務の全体像、スケジュール
・業務内容、手順
・作業途中の業務や対応中の案件
・トラブルが発生したときの対処法、注意事項
・関連部署の連絡先
・取引先の情報や連絡先
それでは一つずつご説明していきます。
▼業務マニュアルの作り方については以下記事を参考にしてください。
引き継ぎマニュアルに記載すべき項目
①業務の全体像、スケジュール
業務マニュアルの作り方と同様、業務の全体像がわかるように時系列や項目ごとにまとめます。
このときにおすすめなのが、年間、月間、週間というように、スケジュール単位で必要なタスクを洗い出す方法です。スケジュールごとに分けることで、情報が整理され、抜け漏れ防止にもつながります。
年間スケジュール
会社や部署によって、「何月に何をする」というように毎年のスケジュールが決まっているケースもあるかと思います。
年間のスケジュールをまとめておくことで全体の動きや現在の状況を把握することができ、今後どのような業務が発生するのか、いつ頃から準備すべきかなどがつかみやすくなります。

こちらは年間スケジュールの例ですが、項目ごとに
・業務名(タスク)
・業務内容
・納期(締め切り)
を記載し、矢印やタイムラインを引いたり、ガントチャートのような形式でまとめます。
時系列に沿って順番に書くのもよいですし、カテゴリごとにまとめておくのもよいでしょう。
▼以下の記事では年間計画表のテンプレートをご紹介しています。
月間スケジュール
毎月決まった業務がある場合は月間スケジュールにまとめていきます。月間スケジュールでは、年間スケジュールよりさらに具体的な内容を明記します。

納期(締め切り日)や業務内容をはじめ、関連書類や関連部署などを、時系列やカテゴリごとにまとめていきます。
週間スケジュール
最後は、週間スケジュールです。
曜日ごとに行っている業務や、週明け、週末などに決まって行う作業を書き出します。

こちらもガントチャートツールやスケジュールのテンプレート、Excelなどを活用することで簡単に作成できます。
▼以下の記事では無料でも使えるガントチャートツールをご紹介しています。
②業務内容・手順
スケジュールで洗い出した業務をベースに、細かい業務内容や作業手順などをまとめていきます。
その際に、前任者だからこそ知っているノウハウやポイントなども追記しておくとよいです。
また、引き継ぎマニュアルとは別に業務マニュアルや操作マニュアルがある場合は、その旨を必ず明記し、マニュアルの保管場所なども記載するようにしましょう。
ログインIDやパスワードなどの引き継ぎがある場合はそれらも忘れずに記載します。
③作業途中の業務や対応中の案件
前任者が在職中に完了できなかった業務がある場合は、必ず引き継ぎマニュアルに記載します。
現在はどこまで完了しているのか、この後何をすればよいのか、いつまでに完了すべきか、といった基本的な情報をはじめ、関係者や関連部署、会議の議事録などの細かい情報も共有しておくと、スムーズに業務を引き継ぐことができます。
④トラブルやイレギュラーな事態が発生した時の対処方法
引き継いだばかりのときにトラブルやイレギュラーな事態が発生すると、後任者も慣れていないため対処に時間がかかったり、さらなるトラブルが起こってしまう可能性があります。
過去のトラブル事例や対処法、トラブル発生時に連絡する部署や担当者などをしっかりと共有しておきましょう。自分が在職中には起こらなかったトラブルでも、今後起こりうる可能性のあるものはあわせて記載しておくとよいです。
また、トラブルが想定されるケースや注意事項なども事前に共有しておくとトラブル回避につながります。
⑤関連部署の連絡先
どの部署が何の業務に関連しているのか、誰に連絡をとればよいのかがわかるように、関連する部署と担当者の連絡先はすべて一覧にしてまとめておきましょう。
⑥取引先の情報や連絡先
取引先の基本情報や担当者の連絡先、取引内容などを共有しておきましょう。取引先への引き継ぎの挨拶も忘れずに行います。
CRA(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)などのツールを活用するのも一つの方法です。
引き継ぎの流れ
ここまで引き継ぎマニュアルの作り方についてご紹介してきましたが、ここからは実際の引き継ぎの流れについてご紹介していきます。
1.引き継ぎのスケジュールを決める
まずはいつ頃から引き継ぎを開始し、いつまでに引き継ぎを完了させるかを決めます。
取引先や関連部署などへ挨拶を行う場合や引き継ぐ業務のボリュームが大きい場合は予想以上に時間がかかることもあるため、余裕をもったスケジューリングが理想的です。
引き継ぎのスケジュールが固まると、引き継ぎマニュアルの作成期間も見えてきます。
2.引き継ぎマニュアルを作成する
スケジュールが決まったら引き継ぎマニュアルを作成していきます。
記載すべき内容は先ほどご紹介しましたが、ここで注意したいのが「誰が見てもわかるようにすること」です。目次や見出しなどを工夫し、後任者がマニュアルを参照した際、すぐに知りたい情報にたどりつけるようにしましょう。
また、事前に後任者がわかっている場合は、後任者の経験値やスキルに合わせて用語の説明や基本的な情報なども入れておくとより丁寧です。
引き継ぎの場合には短時間で理解してもらう必要があるため、写真や図なども活用して視覚的にも理解しやすいようにすることも大切です。
3.後任者へ引き継ぎ
引き継ぎマニュアルが完成したら、実際に後任者へ引き継ぎを行います。
ただ引き継ぎマニュアルを渡して終わりではなく、その場で読み合わせをし、補足説明やわからない箇所の質疑応答も行いましょう。
マニュアルの他にも引き継ぐ資料などがあればこのタイミングで一緒に渡しておくとスムーズです。
また、可能であればマニュアルをもとに実際に業務を行ってもらい、わかりにくい点はないか、不足している情報はないか等をチェックしてもらうと、より確実な引き継ぎになります。
まとめ
今回は引き継ぎマニュアルの作り方と記載すべき項目、引き継ぎの流れについてご紹介しました。
通常の業務と並行しながら、限られた時間で引き継ぎマニュアルを作成することは大変かもしれませんが、引き継ぎは前任者の最後の大きな仕事でもあります。
きちんと引き継ぎが行われることで、業務品質の維持やミスの防止にもつながりますので、引き継ぎマニュアルを活用して前任者も後任者も安心できる引き継ぎを目指しましょう。
