2016年7月12日
それ違法かも?DM送付の前に押さえたい信書のルール
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もしかしたら違法かも?知っておきたい信書のルール
ヤマト運輸が2015年3月末を持ってクロネコメール便(以下、メール便)を廃止したことは記憶に新しいと思います。
かつて、メール便はコストの優位性からチラシやカタログなど様々なDMを送る手段として利用されてきました。
廃止に至った理由として、以下のコメントをヤマト側が残しています。
「信書」の定義がお客さまに分かりにくいにも関わらず、信書をメール便で送ると、荷物を預かった運送事業者だけでなく、送ったお客さままでもが罰せられることが法律に定められています。
(中略)
以上の経緯を踏まえ、法違反の認識がないお客さまが容疑者になるリスクをこれ以上放置することは、当社の企業姿勢と社会的責任に反するものであり、このままの状況では、お客さまにとっての『安全で安心なサービスの利用環境』と『利便性』を当社の努力だけで持続的に両立することは困難であると判断し、クロネコメール便のサービスを廃止する決断に至りました。
実際にメール便利用者が信書にあたる文書を送付し、郵便法違反容疑で書類送検もしくは警察から事情聴取されたケースもあるそうです。
信書は、「第一種郵便物(手紙)」「第二種郵便物(はがき)」「レターパック」等の決められた手段以外を利用して送ると罰せられます。
DMの制作や送付に関わる私たちも、まったく関係のない話ではなく、ちょっとした不注意で罰せられる可能性もあるということです。
そこで今回は、信書のルールについてご紹介したいと思います。
信書とは
総務書のWebサイトによると、信書は郵便法及び信書便法にて「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と規定されています。
例えば、手紙や請求書、許可証、領収書、証明書などは信書です。
新聞や雑誌などの書類、小切手類、プリペイドカードなどは「信書でないもの」とされています。そして、「信書」とされるものは日本郵便以外では送ることができません。
信書に該当する文書
■書状(用件を紙に書いて相手に伝える文書。いわゆる「手紙」に該当)
■請求書の類
■会議招集通知の類
■許可書の類
■証明書の類
■ダイレクトメール
文書自体に受取人が記載されている文書
商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書
信書に該当しない文書
■書籍の類
■カタログ
■小切手の類
■プリペイドカードの類
■乗車券の類
■クレジットカードの類
■会員カードの類
■ダイレクトメール
専ら街頭における配布や新聞折り込みを前提として作成されるチラシのようなもの
専ら店頭における配布を前提として作成されるパンフレットやリーフレットのようなもの
■その他
説明書の類他
販促DMでもNG?わかりにくい信書の定義
上記の説明で、請求書や証明書の類は信書に該当することがわかりました。
では、純粋に販促目的のDMなら信書ではないかというと、決してそうではありません。
DMでもちょっとした違いで信書扱いになるのです。以下のように明記されています。
■ダイレクトメール
文書自体に受取人が記載されている文書
商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書
例えば、セールスレターに受取人の名前が記載されていれば、それは「信書」に該当します。
他にもチラシの片隅に「◯◯様、いつもありがとうございます!」のようなメモ書きを入れてしまえば、それも信書に該当します。
このように、特定の相手に宛てたとわかる内容が含まれていると信書扱いとなるのです。
日本郵便以外の信書便事業者とは?
では、日本郵便株式会社以外の事業者を使って信書を送ることはできないのでしょうか?
実は、信書便法に基づき総務大臣の許可を受けた者は、信書便事業者として信書の送達を行うことができます。
信書便事業には一般信書便事業と特定信書便事業の2つの類型があります。
いずれの事業も条件が厳しく参入ハードルが厳しいのが特徴です。
一般信書便事業
長さ、幅及び厚さがそれぞれ40cm、30cm及び3cm以下であり、重量が250g以下の信書便物を国内において差し出された日から原則3日以内に送達する役務を全国提供する条件で、全ての信書の送達が可能となる「全国全面参入型」の事業です。
特定信書便事業
創意工夫を凝らした多様なサービスを提供する「特定サービス型」の事業で、次に掲げる特定信書便役務のいずれかを充たす必要があります。
1.長さ、幅及び厚さの合計が73cmを超え、又は重量が4kgを超える信書便物を送達する役務
2.信書便物が差し出された時から3時間以内に当該信書便物を送達する役務
3.料金の額が800円を超える信書便の役務
参考:
信書便制度について
特定信書郵便の代表的な例が佐川急便の飛脚特定信書便やバイク便です。たまにバイク便で請求書や契約書などを送ることがみられますが、多くのバイク便で信書が許可されているのは「特定信書便事業」として認可されているためです。
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販促目的のDMで信書を送ることは、まずありません。
しかし、ちょっとしたことで信書扱いになる可能性があります。
以前、日本郵便以外の事業者を使ってDMを送ろうとしたとき、付箋にお客様のお名前とメッセージを記載しようとしたら上司に注意を受けたことがあります。
特定の相手に差し出す文書が含まれている、つまり信書だからです。
知らずに法に違反していないかどうか、DM送付を計画する際は事前に信書のルールを把握しておきましょう。