2025年7月16日

文章の読みやすさを決める3つの要素、可読性・視認性・判読性とは?

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私たちは普段からスマートフォン、新聞、雑誌、看板、商品のパッケージなど、さまざまな場面で文字を目にし、その文字を読むことで情報を取得しています。

しかし、文字を目にしたときに「なんだか読みにくい」「何と書いてあるのか判断できない」「内容が頭に入ってこない」と感じた経験はありませんか?

文字の読みやすさは、「可読性」「視認性」「判読性」という3つの要素から成り立っており、それぞれが読み手の理解度にも大きく影響しています。

では、これら3つの要素にはどのような違いがあり、文章を書く際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

今回は、文字を読みやすくするための基本要素である「可読性」「視認性」「判読性」についてご紹介いたします。

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可読性とは

可読性とは、文字や文章の読みやすさのことです。
長文を読んでも疲れにくいかどうか、素早く正確に読み取れるかどうかが重要になります。

可読性を高めるポイント①漢字とひらがなのバランス

一般的に、画数が多く複雑な漢字よりも、ひらがなの方が読みやすいとされています。漢字を多用すると圧迫感を与えやすく、長時間読んでいると疲れやすくなってしまいます。

(例)繋がり
   つながり

ただし、ひらがなばかりでは単語の区切りがわかりにくくなり、かえって読みづらくなってしまう場合もあります。難しい漢字はひらがなに置き換えたり、漢字が連続する箇所は一部をひらがなにするなど、バランスを考えた使い分けが必要です。

(例)ぜんたいのつながりがひじょうにたいせつだということにきづきます。
   全体のつながりが非常に大切だということに気付きます 。

▼漢字とひらがなの使い分けについては以下の記事で詳しくご紹介しています。

可読性を高めるポイント②行間・余白

1行あたりの文字数が多かったり、行間や余白が狭かったりすると、どれだけフォントや内容が整っていても読みづらく感じてしまいます。

文字サイズやフォントだけでなく、全体の見た目や空間の使い方にも気を配りましょう。文章全体を俯瞰して、読み手にとって心地よいレイアウトを意識することが重要です。

可読性を高めるポイント_行間・余白
可読性を高めるポイント_行間・余白

視認性とは

視認性とは、文字の視覚的な認識のしやすさのことです。
ぱっと見て文字が目に入りやすいか、瞬時に認識できるかどうかが重要になります。

視認性を高めるポイント①文字の色

例えば、緑の背景に青い文字や、白い背景に黄色の文字などは、文字が見づらく、何と書いてあるのか判読が難しくなりますよね。こうした場合は、視認性が低いと言えます。

背景が暗ければ文字は明るく、背景が明るければ文字は濃い色にするなど、コントラストをしっかりつけることで、視認性が向上します。

視認性を高めるポイント_文字の色

視認性を高めるポイント②文字のサイズ・太さ

文字が小さすぎたり細すぎたりすると、何と書いてあるのか判別しにくく、印刷時にかすれる原因にもなります。反対に文字が太すぎると、つぶれて読めなくなってしまうこともあります。

一般的に、Webサイトでは16px前後、A4サイズの印刷物の本文では10~18pt程度が最適な文字サイズとされていますが、読み手や媒体によって最適なサイズは異なります。用途や対象に応じてサイズや太さを調整するようにしましょう。

視認性を高めるポイント③フォント

代表的なフォントにはゴシック体と明朝体があります。ゴシック体は線の太さが均一なため、明朝体に比べて視認性が高く、インパクトがあるのが特徴です。そのため、見出しやキャッチコピーなど、大きく目立たせたい場面に適しています。

一方、明朝体は縦線が太く横線が細いという特徴があります。文字の形に強弱があるため、長文でも読みやすく、可読性の高いフォントと言えるでしょう。

視認性を高めるポイント_フォント

判読性とは

判読性とは、文字や文章のわかりやすさのことです。
他の文字と判別しやすいかどうか、誤読が少ないかどうかが重要になります。

判読性を高めるポイント①アルファベットや数字

「O(英語のオー)」と「0(数字のゼロ)」、そして「I(大文字のアイ)」と「l(小文字のエル)」など、見た目が似ていて判別しづらい文字は、読み間違いを起こしやすい代表例です。

このような区別のつきにくい文字には、読み仮名をふったり、UD(ユニバーサルデザイン)フォントを使用することで、判読性を高めることができます。

また、文字サイズが小さすぎると、「3」と「8」、「C」と「O」、「゛(濁点)」と「゜(半濁点)」なども読み間違えが発生しやすくなるため、サイズ設定にも注意が必要です。

▼UDフォントについては以下の記事で詳しくご紹介しています。

判読性を高めるポイント②文章の内容

判読性を高めるには、文字そのものだけでなく、文章の内容も重要です。例えば、専門用語ばかりの文章や、横文字が多い文章は、初めて読む人にとっては理解しづらくなります。わかりやすい表現に言い換えたり、補足説明を加えたりして、読み手に配慮した文章を書くようにしましょう。

また、曖昧な表現や多義的な言い回しは誤解を生む原因にもなります。できるだけ明確な表現を心がけることも、判読性の向上につながります。

まとめ

今回は、文字の読みやすさを構成する「可読性」「視認性」「判読性」についてご紹介しました。

どれだけ良い文章や素晴らしいデザインを作っても、読み手にうまく伝わらなければ意味がありません。ちょっとした工夫で、可読性・視認性・判読性は大きく向上しますので、ぜひ意識してみてください。

また、重視すべき要素は用途や対象によっても異なります。例えば、

・報告書や読み物には「可読性(読みやすさ)」
・チラシやポスターには「視認性(認識のしやすさ)」
・マニュアルや取扱説明書では「判読性(誤読の少なさ)」

といったように、場面に応じて求められるポイントは変わってきます。

誰が読むのか、何を伝えたいのかを念頭に置き、可読性・視認性・判読性を意識した文章やレイアウトを心がけましょう。

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