2023年10月27日

UDフォントとは?特徴と普通のフォントとの違いを解説

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UD(ユニバーサルデザイン)とは

UD(Universal Design)とは、Universal(=普遍的な・万人の)という言葉のとおり、年齢、性別、国、文化、言語などの差を問わず、誰にとってもわかりやすく、使いやすいデザイン設計のことを指します。

よく似た言葉に「バリアフリー」がありますが、バリアフリーとは障害を持った方や高齢者の方、病気や怪我をしている方などにとって障壁(バリア)となるものを取り除く(フリー)ことを意味しており、最初から誰にとっても使いやすいようにするのがユニバーサルデザインで、あとから障壁となるものを取り除くのがバリアフリーと言えます。

ユニバーサルデザインは1985年にアメリカのノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターのロナルド・メイスが提唱したものであり、ガイドラインとして以下の7つの原則が定められています。

1.誰もが公平に使えること
2.利用時の自由度が高く柔軟であること
3.使い方が簡単でわかりやすいこと
4.必要な情報がすぐにわかり明確であること
5.危険につながらないこと
6.身体的な負担が少ないこと
7.使いやすいサイズと空間が設計されていること

ユニバーサルデザインには、公共施設や製品など「モノ」によるユニバーサルデザインと、看板や案内表示など「情報」によるユニバーサルデザインがありますが、今回は情報のユニバーサルデザインの一つである、UDフォントについてご紹介いたします。

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UDフォントとは

UDフォントとは、ユニバーサルデザインのコンセプトに基づいて作成された、誰にとっても読みやすく、わかりやすいフォントのことです。読みやすさを向上し、読み間違いを防ぐために、以下のようなさまざまな工夫が施されています。

シンプルな画線

一般的なフォントの場合、特に明朝体は「はね」や「はらい」などの画線や筆の動きなどが表現されており、上品なデザインである一方、線がつながって見えたり、視認性が損なわれてしまうことがあります。

UDフォントでは、紛らわしい画線をなくし、文字の形がわかりやすいシンプルなデザインに設計されています。

UDフォントと非UDフォントの比較_キャプチャ

また、明朝体は横線が細いという特徴がありますが、UDフォントの明朝体の場合は一般的な明朝体よりも横線が太く、読みやすいように工夫されています。

UDフォントと非UDフォントの比較_キャプチャ

濁点と半濁点の判別

「ブ」と「プ」、「ぼ」と「ぽ」など、濁点と半濁点は文字のサイズによっては判別しにくく、読み間違えてしまいやすい文字です。

UDフォントでは、濁点・半濁点に十分なスペースをとり、文字と重ならないようにしたり濁点同士の間を空けることによって、文字サイズが小さい場合でも判別しやすいように設計されています。

UDフォントと非UDフォントの比較_キャプチャ

文字の差別化

小文字の「l」(エル)と大文字の「I」(アイ)なども混同しやすく判別が難しい文字と言えますが、これらも一般的なフォントに比べてUDフォントのほうがそれぞれの文字の違いがわかりやすいように設計されています。

UDフォントと非UDフォントの比較_キャプチャ

文字のアキを広くとる

UDフォントは一般的なフォントに比べて文字のアキが広いのも特徴です。

例えば「3」や「6」はアキが狭いと「8」に見えてしまったり、「C」と「O」が混同しやすいケースもありますが、UDフォントでは文字がつながって見えたり、他の文字と混同したりしにくいようにアキが広めに設計されています。

UDフォントと非UDフォントの比較_キャプチャ

このようにUDフォントには、

・視認性(文字の認識のしやすさ)
・判読性(他の文字との判別のしやすさ、誤読の少なさ)
・可読性(文章の読みやすさ)

を高めるためのさまざまな工夫がされています。

文章として比較した場合にも、UDフォントのほうが文字がはっきりと認識しやすく、文字量が多くても読みやすさが保たれていることがわかります。

UDフォントと非UDフォントの比較_キャプチャ
UDフォントと非UDフォントの比較_キャプチャ

おすすめのUDフォント

ここからはおすすめのUDフォントをご紹介いたします。

イワタUDフォント

イワタUDフォント_キャプチャ

イワタUDフォントは、フォントメーカーであるイワタとPanasonicが2006年に共同開発した世界初のUDフォントです。「視認性」「判読性」「デザイン性」「可読性」を兼ね備えており、リモコンなどの小さなボタンでもつぶれずに読みやすいのが特徴で、すべてのパナソニック製品の機能表示に使われています。

参考:株式会社イワタ イワタUDフォント

モリサワUD書体

モリサワUD書体_キャプチャ

モリサワUD書体は、「文字のかたちがわかりやすいこと」「文章が読みやすいこと」「読み間違えにくいこと」をコンセプトにフォントメーカーのモリサワが開発したUDフォントです。読みやすさを重視しつつも文字そのものの美しさが損なわれることのないようにデザインされています。

参考:UD書体 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ

ヒラギノUD書体

ヒラギノUD書体_キャプチャ

ヒラギノUD書体はヒラギノフォントのデザインを踏襲しつつ、長く読んでも疲れにくい柔らかな形が特徴のUDフォントです。漢字と仮名の字面をほぼ一定にそろえたヒラギノUD角ゴFや、液晶ディスプレイでも見やすいように横線やはらいを太くしたヒラギノUD明朝などがあります。

参考:UD書体 | ヒラギノフォント | SCREEN

BIZ UDフォント

BIZ UDフォント_キャプチャ

UDフォントは有料で販売されていることが多いですが、こちらのBIZ UDフォントは誰でも無料で利用することができます。Windows10以降であればPCにあらかじめインストールされていますし、Macであっても「MORISAWA BIZ+」や「Google font」から無料でダウンロードすることが可能です。BIZ UDゴシックとBIZ UD明朝があります。

まとめ

今回はUDフォントの特徴についてご紹介しました。

UDフォントはあらゆる人に正確な情報を届けるために効果的なフォントです。チラシやパンフレットなどの紙媒体をはじめ、WebサイトやSNSといった電子媒体、看板や案内表示、電化製品などさまざまな場面で使われています。

目的や用途、ターゲットにあわせてぜひUDフォントを活用してみてください。

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