2025年10月31日

印象に残るキャッチコピーの作り方とは?9つのテクニックと手順を解説

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キャッチコピーとは?

キャッチコピーとは、商品やサービスの魅力を端的に伝え、見る人の興味を引くための宣伝文句のことです。短く印象的な言葉で表現され、テレビCMやポスター、商品パッケージ、 Webサイト、SNS広告など、さまざまな場面で使われています。

例えば、有名なキャッチコピーには以下のようなものがあります。

・「お、ねだん以上。」(ニトリ)
・「愛は食卓にある。」(キューピー)
・「やめられない、とまらない」(かっぱえびせん)

いずれも短い一文でありながら、強い印象を残し、ブランドのイメージを瞬時に想起させます。このようにキャッチコピーは、見る人の興味を引きつけ、記憶に残すための重要な役割を担っているのです。

キャッチコピーの役割

キャッチコピーには、大きく分けて3つの役割があります。

販売促進につながる

キャッチコピーは、商品の特徴やメリットを端的に伝えることができます。短い言葉で「どんな価値があるのか」をわかりやすく明示することで、購入や申し込みなどの行動を促します。

例えば、ニトリの「お、ねだん以上。」というキャッチコピーは、高品質でお得な商品を扱っていることをシンプルに伝え、購入の動機を生むきっかけになっています。

このように、キャッチコピーは単に目を引く言葉ではなく、実際の売上や成果に直結する重要な要素です。

記憶に残る

短く印象的なキャッチコピーは、人の記憶に残りやすいという特徴があります。印象的なキャッチコピーを用いることで、膨大な情報の中でも自社のブランドや商品を思い出してもらいやすくなります。

例えば、「やめられない、とまらない」や「カラダにピース。」のように、耳に残るコピーは聞いた瞬間にブランドが思い浮かび、再購入や検討のきっかけになります。

ブランディングにつながる

キャッチコピーは、単なる商品の説明にとどまらず、企業やブランドのイメージを形成する役割も担っています。表現のトーンや言葉の選び方によって、親しみやすさ・信頼感・高級感など、伝えたい印象を的確に表現できます。

例えば、日立製作所の「Inspire the Next」というキャッチコピーは、革新や技術力、社会貢献を印象付け、ドトールコーヒーの「すべての今日を、支えていく。」というキャッチコピーは、日常に寄り添う温かいブランドイメージを伝えています。

このようにキャッチコピーは、企業理念やブランド価値を言葉で体現する顔のような存在なのです。

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キャッチコピーの種類

キャッチコピーは、目的によって「イメージキャッチコピー」と「セールスキャッチコピー」に分けられます。

イメージキャッチコピー

イメージキャッチコピーは、企業やブランドの理念・価値観・世界観を伝えることを目的としたコピーです。抽象的な表現や比喩を用いてブランドのトーンを印象づけ、長期的なブランディングに効果を発揮します。

(例)
・「あなたと、コンビに。」(ファミリーマート)
・「自然を、おいしく、楽しく。」(カゴメ)

これらのコピーはいずれも、商品そのものを説明しているわけではありませんが、ブランドの個性や方向性を表現しています。

セールスキャッチコピー

セールスキャッチコピーは、購入や申し込みなどの具体的な行動を促すためのコピーです。商品・サービスのメリットを端的に伝え、「試してみたい」「使ってみよう」と思わせる役割を担います。イメージキャッチコピーに比べ、より直接的かつ具体的な表現が使われるのが特徴です。Web広告やチラシ、店頭POP、ECサイトなどでよく用いられます。

(例)
・「吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機」(ダイソン/掃除機)
・「まず、気持ちいい。つぎ、あったかい。」(ユニクロ/ヒートテック)

広告コピーの構成

広告は、複数のコピー要素で構成され、全体で一つのストーリーを形成しています。ここでは、代表的な5つのコピーをご紹介します。

広告コピーの構成_キャッチコピー・サブキャッチコピー・リードコピー・ボディコピー・クロージングコピー

キャッチコピー

キャッチコピーは、コピーの中でもメインとなるコピーです。「キャッチフレーズ」「ヘッドライン」「ヘッドコピー」「メインコピー」などと呼ばれることもあります。

最初に目に入り、全体の印象を左右する重要な役割を担います。短く端的で、読み手の興味を引くことが求められます。

サブキャッチコピー

サブキャッチコピーは、キャッチコピーの直後に配置され、キャッチコピーで興味を引いた人に「もっと知りたい」と思わせるような補足情報を加えます。

(例)
キャッチコピー:驚くほど、軽い。
サブキャッチコピー:毎日持ち歩きたくなるノートPC、誕生。

このように、キャッチコピーが感覚的な訴求で注意を引き、サブキャッチコピーが情報的な補足を加えることで、読み手の理解と納得感を深めます。

リードコピー

リードコピーとは、キャッチコピーとボディコピーをつなぐ導入となるコピーです。一般的にボディコピーの冒頭部分に記載され、キャッチコピーで引き付けた関心を維持しながら、本文であるボディコピーへとスムーズに誘導する役割を果たします。

ボディコピーの要約や背景説明が多く、見出しとしての役割も兼ねています。

ボディコピー

ボディコピーは、商品の特徴を詳しく伝える本文部分です。「本文コピー」と呼ばれることもあります。

キャッチコピーが短い文章で興味を引く「入口」であるのに対し、ボディコピーは信頼や納得を得るための「説明部分」と言えます。短い文章から長い文章までさまざまですが、見た人の理解と共感を生むことが重要です。

クロージングコピー

クロージングコピーとは、購入や申し込みなど、最終的なアクションを促すためのコピーです。DMやチラシ、Webサイト、LPなどでよく使われます。

「今だけ20%オフ」「期間限定」「無料トライアル実施中」などのオファー要素をアピールし、読み手の背中を押すのがポイントです。

キャッチコピー作成の4ステップ

1.誰に、何を伝えたいのかを明確にする

キャッチコピーを考えるうえで最も重要なのが、「誰に」「何を」伝えるかを明確にすることです。特にセールスキャッチコピーでは、ターゲットを具体的に定めることで、読み手が「自分のことだ」と感じ、自分事として受け止めやすくなります。

つい「大手企業のような、かっこよくて万人に刺さるコピーを作りたい!」と思いがちですが、有名なキャッチコピーは、すでにブランドイメージや認知度が確立されたうえで成立していることも多いです。認知が十分でない状態で万人受けを狙うと、かえってメッセージがぼやけてしまうことも少なくありません。

そのため、ターゲット設定は「女性」「会社員」といった広い分類ではなく、「健康を意識し始めた30~40代の女性」「仕事が忙しくて家事の時間を確保しづらい会社員」など、できるだけ具体的に行いましょう。ターゲット像が具体的であるほど、悩みやニーズの分析が深まり、キャッチコピーの方向性も定まりやすくなります。

2.ターゲットの悩みやニーズを分析する

次に、ターゲットが抱えている悩みやニーズを掘り下げます。手順①でターゲット像が具体的になっていれば、「何に困っているのか」「どんな理想を求めているのか」も自然と見えてくるはずです。

例えば、販売したい商品が「乾燥機付き洗濯機」で、ターゲットが「仕事が忙しくて家事の時間を確保しづらい会社員」だとした場合、想定される悩みやニーズは以下のようになります。

・朝、洗濯をする時間がない
・帰宅が遅く、夜間の洗濯音が気になる
・休日にまとめて洗濯をするのが大変

このように、ターゲットの生活シーンや行動パターンをイメージしながら、具体的な課題を掘り下げていきましょう。キャッチコピーは、こうした“リアルな悩み”に寄り添うほど、共感を得やすくなります。

3.商品の特徴から、提供できる価値を考える

ターゲットの悩みが見えてきたら、次は商品の特徴と照らし合わせながら「どんな価値を提供できるのか」を整理します。ここで意識したいのは、機能そのものを説明するのではなく、「その機能によってユーザーが得られる恩恵」を考えることです。

先ほどの「乾燥機付き洗濯機」の例であれば、以下のように整理できます。

①特徴:洗濯から乾燥まで全自動
 →価値:家事の時間を大幅に短縮し、自分の時間を増やせる

②特徴:静音設計
 →価値:夜でも気にせず洗濯でき、朝には洗いたての服が着られる

③特徴:スマホから遠隔操作可能
 →価値:外出先からも操作でき、仕事中に洗濯が完了する

このように「特徴」を「価値」へと整理していくことで、ターゲットに響くキャッチコピーの方向性が見えてきます。さらに、競合他社と比べてどんな違いがあるのか、自社だからこそ提供できる価値は何なのかも明確にしておくとよいでしょう。

4.キーワードを組み合わせてキャッチコピーを作る

最後に、これまで整理した「ターゲットの悩み」と「提供できる価値」をもとに、キーワードを組み合わせてキャッチコピーを作成します。

キャッチコピーにおいても、先述のとおり「商品の特徴(メリット)」ではなく、「提供できる価値(ベネフィット)」が伝わるように意識することが重要です。手順③で整理した「価値」をもとに、まずは思いつく限りのキーワードを挙げていきましょう。そして、それらを自然なフレーズに組み合わせ、短く・覚えやすく・ターゲットに響く言葉へと整えていきます。

例えば、「全自動乾燥機能付き」よりも「洗濯から解放される時間をあなたに」といったように、ユーザーの生活を変える“体験”に焦点を当てると、より心に響くキャッチコピーに仕上がります。

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よいキャッチコピー作成の9つのテクニック

ここからは、より印象に残るキャッチコピーを作成するための具体的なテクニックをご紹介します。

1.価値が伝わる

作成手順でも触れましたが、キャッチコピーでは「商品の機能」よりも「その商品を使うことで得られる価値」を伝えることが重要です。

特にセールスキャッチコピーでは、ただ特徴を並べるだけでは読み手の心に響きません。「それを使うことでどんな良い変化があるのか」というベネフィットを伝えることで、読み手が自分事として捉えやすくなり、共感や興味を引き出せます。

(例)ノートPCの場合
×「バッテリーが長持ち」→ ○「外出先でも電源を気にせず仕事ができる」

2.短く、覚えやすい

人はキャッチコピーを3秒ほどで理解すると言われています。そのため、一目で意味が伝わるよう、短く簡潔であることが重要です。

一般的にキャッチコピーは13字以内が理想的とされ、25字を超えると認知率が下がるとも言われています。伝えたいことをすべて詰め込むのではなく、本質を抽出し、語感よくまとめることで、視覚的にも記憶にも残りやすくなります。

3.ブランドイメージと一貫している

キャッチコピーは単体で存在するものではなく、ブランド全体のトーンや世界観とつながっています。いくら印象的なキャッチコピーでも、ブランドの実態やメッセージと乖離していれば、信頼を損ねる可能性があります。

キャッチコピーに惹かれて詳細を読んだ人が、「思っていたのと違う」となってしまわないよう、ブランドの理念・実際の提供価値・キャッチコピーは一貫させることが重要です。

4.意外性・新鮮さがある

予想を裏切る言葉や表現は、人の注意を引き付けやすいです。思わず「えっ!」と感じる意外性や新鮮さがあると、読み手の興味を引き、より心に残りやすくなります。

常識を覆す内容や、一般的に認知されていることとのギャップを利用することで、インパクトのあるキャッチコピーになります。

(例)
・「バスタブはもう、こすりません!」(ライオン/バスタブクレンジング)
・「まずい、もう一杯!」(キューサイ/青汁)

ただし、意外性を狙うあまり誇張しすぎたり、誤解を招く表現をすると景品表示法違反に該当する場合もあります。あくまで実態からは外れない範囲で、ギャップを効果的に使いましょう。

▼広告のNG表現や景品表示法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

5.語感・リズムを意識する

リズミカルな言葉や語感のよいフレーズは、自然と口にしたくなり、耳に残りやすくなります。母音の響き、語尾の繰り返し、対比表現などをうまく取り入れることで、印象的なキャッチコピーに仕上がります。

(例)
・「インテル、入ってる」(Intel)
・「すぐおいしい、すごくおいしい」(日清食品/チキンラーメン)

こうしたリズム感のあるフレーズはCMなどの音と結びつきやすく、音商標として登録されているケースもあります。

▼商標の種類については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

6.数字を使う

数字には、説得力と信頼性を高める効果があります。例えば「たくさん」「すぐに」といった抽象的な表現よりも、「利用者○万人突破」「○秒で実感」といった具体的な数字を示すことで、リアリティと安心感を与えます。

(例)
・「毎日たった3分で英語力アップ」
・「1,000曲をポケットに」(Apple/ iPod)

また、数字を使うことで、読み手が使用シーンを具体的に想像しやすくなり、「自分でもできそう」「こんなことができるのか!」と商品の価値が伝わりやすくなるのも特徴です。

7.問いかけ・呼びかけを使う

「○○してみませんか?」といった問いかけや「あなた」といった呼びかけは、自然と読み手の関心を引き、共感を生みやすくなります。「たしかにそうかもしれない」と思わせ、潜在的な悩みを引き出すことが重要です。

(例)
・「そのストレス、まだ我慢してるの?」
・「それ、眼精疲労が原因かも?」

8.感情に訴える表現を使う

人の購買や行動は、理屈よりも感情で動くと言われています。心を動かすキャッチコピーを作るためには、温かみや共感、希望、憧れといった感情に寄り添った表現が効果的です。

(例)
・「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです。」(ゼクシィ)
・「世界は誰かの仕事でできている。」(ジョージア)

9.心理学のテクニックを使う

キャッチコピーは短い言葉で人の心を動かすものだからこそ、心理学的な法則をうまく取り入れることで、興味や共感、行動をより自然に引き出すことができます。

キャッチコピーに使える心理学のテクニックとしては、主に以下の4つがあります。

スノッブ効果

スノッブ効果とは、「他人が持っていないものや希少性の高いものほど欲しくなる」という心理現象です。人は希少性や限定性が高いものに魅力を感じやすく、「期間限定」「数量限定」などのフレーズで希少性を強調すると、購買意欲を高める効果があります。特に、高級ブランドや限定販売の商品などで有効です。

(例)
・「今だけの特別仕様」
・「この冬だけの限定パッケージ」

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、「多くの人が選んでいるものに魅力を感じる」という心理現象です。「人気だから安心」「みんなが使っているから自分も使いたい」という気持ちが購買意欲を高めます。ヒット商品やトレンドを生み出す際に効果的です。

なお、スノッブ効果とは逆の心理であるため、商品の性質やターゲット層に合わせて使い分けることが重要です。

(例)
・「もうみんな使ってる!」
・「利用者100万人突破」

カリギュラ効果

カリギュラ効果とは、「禁止されると逆にやりたくなる」という心理現象です。「○○してはいけない」「○○しないでください」といった禁止の表現をあえて用いることで、読み手の興味を引き、感情を刺激します。

(例)
・「10月はモンスト絶対やるなよ!」(モンスターストライク)
・「ダイエット中の方は食べないでください」

アンカリング効果

アンカリング効果とは、「最初に提示された情報(アンカー)が、その後の判断に強く影響を与える」という心理現象です。価格設定や割引訴求でよく用いられ、最初に高い基準を示してから安さを見せることで、お得感を演出できます。

(例)
・「通常価格9,800円 → 今なら3,980円!」

まとめ

今回はキャッチコピーの作り方や活用できるテクニックについてご紹介しました。

キャッチコピーは、ブランドや商品の印象を大きく左右する重要な要素です。イメージキャッチコピーとセールスキャッチコピーで目的や訴求の方向性は異なりますが、限られた言葉の中にメッセージや価値を凝縮することで、魅力を的確に伝え、読み手の心を動かすことができるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、自社の魅力をより効果的に伝えるキャッチコピーづくりに挑戦してみてください。アイデアに行き詰まったときは、他社のさまざまなキャッチコピーに触れたり、生成AIを活用してアイデアを整理するのも一つの方法です。

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