2024年12月19日

【例文あり】月別の時候の挨拶一覧と使い方

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時候の挨拶とは

時候の挨拶とは、挨拶状や手紙などで「拝啓」「謹啓」といった頭語の後ろに続く、季節感を取り入れた挨拶文を指します。例えば、「厳寒の候」「春の訪れが感じられる今日この頃」「涼風が心地よい季節となりました」といった表現が、時候の挨拶にあたります。

必ず記載しなければいけないわけではありませんが、季節感を伝えるだけでなく、相手への気遣いや敬意を表す意味も含まれるため、記載することによって文章全体に温かみが加わり、読み手に好印象を与える効果が期待できます。

また、時候の挨拶はコミュニケーションを円滑にし、本題への導入を自然に進める役割も果たします。そのため、ビジネスシーンやフォーマルな場面では記載するとよいでしょう。

そこで今回は、月ごとの代表的な時候の挨拶について詳しくご紹介します。

時候の挨拶の種類

時候の挨拶には、「漢語調」と「口語調」の2つの種類があります。漢語調は短く簡潔な表現で、口語調は柔らかく親しみやすい表現です。

ビジネスシーンではどちらも使用することができますが、漢語調は真面目でかしこまった印象、口語調は柔らかく丁寧な印象を与えるため、相手との関係性や場面によって使い分けるとよいでしょう。

使用シーン例文
漢語調フォーマルな場面新春の候、初夏の候、初秋の候、歳末の候
口語調個人や親しい間柄日に日に寒さが厳しくなってまいりました。
春も半ばを過ぎ、葉桜の季節となりました。

月ごとの時候の挨拶

1月(睦月)の時候の挨拶

1月は年が明け、新年の喜びや寒さの厳しさを表現しつつ、相手の健康を気遣う挨拶がよく用いられます。「新春」という表現は1月7日までが一般的です。また、「小寒(1月5日頃)」や「大寒(1月21日頃)」など、二十四節気にもとづく表現も使用されます。

なお、寒中見舞いは、松の内が明けてから(一般的に1月7日以降)、立春(2月4日頃)の前までに届けるのが一般的です。

初春の候/新春の候/迎春の候/小寒の候/大寒の候/厳寒の候/酷寒の候/極寒の候/
烈寒の候/甚寒の候/寒冷の候/寒風の候/降雪の候/冷雨の候/厳冬の候/仲冬の候

寒さ厳しき折柄/厳しい寒さが続いておりますが/松の内の賑わいも過ぎ/
いよいよ寒気がつのり/星も凍るような寒い夜/寒気ことのほか厳しく/雪の晴れ間

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・新春の候、ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
・松の内の賑わいも過ぎ、皆様いかがお過ごしでしょうか。

2月(如月) の時候の挨拶

2月は一年でもっとも寒さが厳しい季節であるため、寒さの厳しさ、相手の健康を気遣う表現が使われます。また、暦の上では「春」であるため、春の訪れを予感させる時候の挨拶を使用することも多いです。

二十四節気では、2月4日頃が「立春(りっしゅん)」、2月19日頃が「雨水(うすい)」とされています。

立春の候/向春の候/早春の候/春浅の候/春雪の候/春寒の候/晩冬の候/残雪の候/
雪解の候/余寒の候/残寒の候/厳寒の候/梅花の候/紅梅の候/梅月の候/梅鴬の候/
中陽の候/節分の候

春まだ浅く/冬の名残りがなかなか去らず/寒気は冴えかえり/
立春とは名ばかりでまだ真冬のように寒く/水ぬるむ季節となりましたが/
暦の上に春は立ちながら/三寒四暖と申しますが/いくらか寒さもゆるみ/
梅のつぼみもそろそろ膨らみ

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・梅花の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
・ 立春とは名ばかりでまだ真冬のように寒い日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
・梅のつぼみもそろそろ膨らみ、春の訪れを感じる季節となりました。

3月(弥生) の時候の挨拶

3月は冬から春への移り変わりの時期です。春の訪れや季節の変わり目を感じさせる表現を使用するのがよいでしょう。

二十四節気では、3月5日頃が「啓蟄(けいちつ)」、3月20日頃が「春分(しゅんぶん)」とされています。

早春の候/春分の候/春風の候/春色の候/春陽の候/春情の候/春晴の候/春寒の候/
春暖の候/春雨の候/浅春の候/盛春の候/孟春の候/仲春の候/初春の候/麗日の候/
軽暖の候/解氷の候/雪解の候/弥生の候/春暖快適の候/若草萌ゆる候

風はまだ寒く/寒さも緩み/春寒しだいに緩み/春の彼岸の頃/春色とみに濃く/
春寒料峭のみぎり/日増しに暖かさを増し/小川の水もぬるみ/つぼみも膨らむころ/
桃の蕾もふくらみ/日増しに暖かくなり/急に春めいて/木々の緑日ごとに色めく季節/
一雨ごとの暖かさ/日毎にのどかになり/菜の花は今が盛り

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・早春の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
・日増しに暖かさを増し、過ごしやすい季節となりましたが、皆様お変わりございませんでしょうか。

4月(卯月) の時候の挨拶

4月は春本番を迎え、草花の開花や暖かさを感じる時期です。また、新年度を迎え、環境の変化も多い時期であるため、新生活への期待を込めたポジティブな表現が好まれるでしょう。

二十四節気では、4月5日頃が「清明(せいめい)」、4月20日頃が「穀雨(こくう)」とされています。

春暖の候/春晩の候/春日の候/春風の候/春和の候/春粧の候/春眠の候/春爛漫の候/
陽春の候/麗春の候/暮春の候/惜春の候/仲春の候/桜花の候/清和の候/温暖の候/
春風駘蕩の候/桜花爛漫の候/花冷えの候

春陽麗和の好季節/春たけなわ/花曇りの昨今/春もたけなわの日和/
花便りも伝わる今日このごろ/うららかな好季節を迎え/春光うららかな/春の愁いにとらわれ/
春宵一刻千金の候/春も深くなり/葉桜の季節となり/春も半ばを過ぎ/惜春の思いは深く/
若草萌える季節/かげろうもえる季節

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・春風の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。
・春も半ばを過ぎ、葉桜の季節となりました。

5月(皐月) の時候の挨拶

5月は新緑が美しく、初夏を感じさせる時期です。爽やかな気候や草花の成長を表す表現を使用するのがよいでしょう。

二十四節気では、5月5日頃が「立夏(りっか)」、5月21日頃が「小満(しょうまん)」とされています。

晩春の候/残春の候/惜春の候/暮春の候/老春の候/藤花の候/葉桜の候/薫風の候/
陽光の候/万緑の候/新緑の候/青葉の候/若葉の候/立夏の候/初夏の候/梅夏の候/
向暑の候/軽暑の候/微暑の候

新緑の色増す季節/新緑の野山に萌える今日この頃/風薫るこのごろ/
風薫る五月の空に鯉のぼりが/若葉の目にしみる候/緑濃く/緑したたる/五月晴れ/
大空にこいのぼりの躍るころ/吹く風も夏めいて/青田を渡る風/新茶の香り/
牡丹の花が咲き誇り/初夏の風もさわやかな頃となり/深緑の色増す頃

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・晩春の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
・深緑の色増す季節、皆様お健やかにお過ごしのご様子、なによりと存じます。

6月(水無月) の時候の挨拶

6月は、梅雨や夏の訪れを感じさせる表現を使用するとよいでしょう。

二十四節気では 、6月6日頃が「芒種(ぼうしゅ)」、6月21日頃が「夏至(げし)」とされています。

入梅の候/梅雨の候/梅雨寒の候/梅雨空の候/長雨の候/小夏の候/初夏の候/立夏の候/
首夏の候/青葉の候/深緑の候/夏秋の候/麦秋の候/向暑の候/薄暑の候

さわやかな初夏の季節/梅雨がうっとうしい折から/時候不順の折/
長かった梅雨もようやくあがり/爽やかな初夏を迎え/初夏の風に肌も汗ばむ頃/
樹々の緑深くなり/若鮎のおどる/暑さ日増しに厳しく/空には白い雲が浮かび/
暑気日ごとに加わり/日の光も青く

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・入梅の候、皆様にはいよいよご清栄のこととお慶び申し上げます。
・長かった梅雨もようやくあがり、木々の緑も日増しに深くなってまいりました。

7月(文月) の時候の挨拶

7月は梅雨が明け、本格的な夏の訪れを感じる時期です。この時期には、暑さや相手の健康を気遣う表現がよく用いられます。

二十四節気では、7月7日頃が「小暑(しょうしょ)」、7月22日頃が「大暑(たいしょ)」にあたります。この小暑から大暑の期間は「暑中」と呼ばれ、従来暑中見舞いを送る時期とされていました。現在では、梅雨明けから立秋(8月7日頃)までが暑中見舞いを送る適切な時期とされています。それ以降は「残暑見舞い」として送り、処暑(8月23日頃)までに送るのが一般的です。

盛夏の候/仲夏の候/猛暑の候/酷暑の候/炎暑の候/大暑の候/盛暑の候/向暑の候/
厳暑の候/極暑の候/烈暑の候/炎熱の候/三伏大暑の候

爽快な夏/まぶしいほどの夏/海山の恋しい季節/連日厳しい暑さ/夏祭りのにぎわうころ/
炎暑のみぎり/日々暑さ厳しき折から/涼風肌に心地よく/旱天続きで/草木も生気を失い/
土用の入りとなり/近年にない暑さが続き/蝉の声に更に暑さを覚え/一雨欲しいこのごろ

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・盛夏の候、貴社いよいよご盛栄のこととお慶び申し上げます。
・連日厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

8月(葉月) の時候の挨拶

8月は一年でもっとも暑さが厳しくなる時期です。この時期には猛暑や残暑、相手の体調を気遣う表現を使用するとよいでしょう。

二十四節気では8月7日頃が「立秋(りっしゅう)」や8月23日頃が「処暑(しょしょ)」とされています。残暑見舞いはこの立秋から処暑までに送るのが一般的です。

残暑の候/晩夏の候/残夏の候/処暑の候/暮夏の候/暁夏の候/残炎の候/早涼の候/
新涼の候/秋暑の候/納涼の候/初秋の候/立秋の候

残暑厳しき折から/残暑凌ぎ難き候/土用あけの暑さは厳しく/立秋とは名ばかりの暑さ続き/
暦の上では立秋ですが/青草を蒸すような強い日射し/残暑なお厳しい折柄/秋暑厳しき折柄/
秋にはまだ遠く/秋立つとはいえ/朝夕涼味を覚えるころ/夜空に秋の気配を感じるころ/
暑さも峠を越しいよいよ秋/虫の声に秋も近づいた事を感じる昨今/まだまだ暑い日が続いておりますが

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・残暑の候、貴社ますますご盛栄のことと存じます。
・暦の上では立秋を迎えましたが、なお暑さが厳しい毎日が続いております。

9月(長月) の時候の挨拶

9月は、少しずつ暑さが落ち着き、秋の気配を感じる時期です。この時期には、涼しさや秋らしさを表現する言葉が使われます。

二十四節気では、9月7日頃が「白露(はくろ)」や9月23日頃が「秋分(しゅうぶん)」とされています。なお、「初秋」とは白露の前日までを指します。

初秋の候/早秋の候/爽秋の候/新秋の候/孟秋の候/仲秋の候/秋冷の候/秋分の候/
秋涼の候/秋霜の候/秋色の候/涼風の候/早涼の候/清涼の候/新涼の候/野分の候/白露の候

二百十日も無事に過ぎ/爽やかな季節を迎え/朝夕はめっきり涼しく/朝夕日毎に涼しくなり/
虫の音美しい/秋の気配が次第に濃くなって/新秋快適のみぎり/秋色次第に濃く/
初雁の姿に秋を感じる頃/野山もにわかに秋色をおび/スポーツの秋を迎え

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・初秋の候、皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
・爽やかな季節を迎え、秋風が心地よい季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

10月(神無月) の時候の挨拶

10月は秋が深まり、紅葉や実りが美しい時期です。爽やかさや涼しさを表現する言葉がよく使われます。

二十四節気では、10月8日頃が「寒露(はくろ)」や10月24日頃が「霜降(そうこう)」とされています。

秋涼の候/秋冷の候/秋晴の候/秋麗の候/秋月の候/秋雨の候/清秋の候/錦秋の候/
仲秋の候/中秋の候/爽秋の候/菊花の候/紅葉の候/涼寒の候/朝寒の候/初霜の候/寒露の候

秋の夜長/さわやかな好季節/さわやかな秋晴れの続く/秋涼爽快のみぎり/秋気肌にしみ/
秋涼爽快の候/秋色日毎に深まり/日増しに秋も深まり/燈火親しむの候/木々の梢も色づいて/
実りの秋となり/灯火親しむの候/空は深く澄み渡り/夜長の頃となり/冷気は日増しに加わり/
スポーツの秋/味覚の秋/天高く馬肥ゆるの候

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・秋涼の候、貴社ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
・秋の夜長、虫の音が心地よい季節となりましたが、皆様お元気でいらっしゃいますか。

11月(霜月) の時候の挨拶

11月は徐々に気温が下がり、冬の訪れを感じる時期です。晩秋の美しさや冬の兆し、季節の変わり目を感じさせる表現を使用します。

二十四節気では、11月7日頃が「立冬(りっとう)」、11月22日頃が「小雪(しょうせつ)」とされています。

晩秋の候/季秋の候/霜秋の候/深秋の候/暮秋の候/深冷の候/夜寒の候/向寒の候/
氷雨の候/菊薫る候/菊花の候/残菊の候/落葉の候/初霜の候/初冬の候/立冬の候

菊薫る今日このごろ/ゆく秋の寂しさ身にしみるころ/秋気いよいよ深く/秋も一段と深まり/
鮮やかな紅葉の候となり/舗道に落ち葉が散る頃/小春日和の今日此頃/朝夕一際冷え込むころ/
吐く息も白くなり/夜寒の折柄/冷気日ごとに加わり/日毎冷気が加わり/
追々寒さ向かいますが/冷雨が降り続く

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・深秋の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
・秋も一段と深まり、日だまりの恋しい季節となりましたが、皆様お変わりございませんでしょうか。

12月(師走) の時候の挨拶

12月は本格的な寒さが訪れ、年末に向けた忙しさが増す時期です。相手の健康や多忙を気遣う表現を使用します。

二十四節気では、12月7日頃が「大雪(たいせつ)」、12月21日頃が「冬至(とうじ)」にあたります。

師走の候/寒冷の候/初冬の候/歳末の候/歳晩の候/明冷の候/初雪の候/霜夜の候/
霜寒の候/新雪の候/極月の候/孟冬の候/忙月の候/短日の候/厳寒の候/短日の候/寒気の候

寒気厳しき折柄/寒気いよいよ厳しく/めっきり寒くなり/あわただしい師走となり/
師走に入って一段と寒く/年の瀬もいよいよ押し詰まり/歳末何かとご多端の折柄/
木枯らし吹きすさぶころ/今年もいよいよおしつまり/年末御多忙の折から/
年もせまり何かとご繁忙のこと/寒さもひとしお身にしみるころ

使い方の例は、以下のとおりです。
「〇〇の候」は「〇〇のみぎり」「〇〇の折」に置き換えて使うこともできます。

【例】
・歳末の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
・木枯らしが吹きすさぶころとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

まとめ

今回は、時候の挨拶についてご紹介しました。

時候の挨拶は、季節に応じて相手への気遣いや敬意を表す、大切なコミュニケーションの一つです。挨拶状や案内状にこうした表現を取り入れることで、温かみが増し、相手へ好印象を与えることができるでしょう。

すべての表現を覚える必要はありませんが、代表的な時候の挨拶や二十四節気にまつわる知識は、ビジネスの場面でも役立つため、知っておくと便利です。ぜひ今回の記事を参考にして、さまざまな表現を取り入れてみてください。

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