2015年12月22日

必見!クライアントとデザインイメージを合わせる5つのポイント

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デザインすり合わせはとても難しい!

印刷に限らず、デザインを必要とする仕事にはルールと手順が重要です。なぜならば、ゼロからものを作る行為だからです。

デザインの中でも、印刷デザインやWEBサイトデザインは、クライアントとデザインのイメージを最も短期間ですり合わせなければいけない種類のデザインだと思います。

これらのデザインは、クライアント要望を素早く吸収し、なるべく手戻りが少ないように、いろいろな作業を並行で進めていきます。

印刷デザインやWEBサイトデザインの難しさは、そのコスト感にあると言っても過言ではありません。

例えば家の建設であれば、設計図を引き、パースを描き、3Dモデルを作成します。最終的に完成する家は数千万円もするため、クライアント確認は真剣に行われ、細かなYesを積み重ねながら進んでいきます。

ところが、印刷デザインやWEBサイトデザインの多くは、数万円~数十万円なため、設計図を引き、パースを描き、3Dモデルを作成……というわけにはいきません。

つまり、なるべく効率良くデザインイメージの共有をし、納得してもらえるロジックを用意し、短期間で印刷物やWEBサイトの完成にこぎつけなければいけないのです。

この流れをうまく行えないデザイナー・印刷会社は常に疲弊するか、仕事がなくなってしまうでしょう。

というわけで今回は、クライアントとデザインをすり合わせるための5つのポイントをご紹介したいと思います。

デザインすり合わせポイント1.デザイン要望をヒアリングする

重要なことは、クライアントの要望をうまくヒアリングすることです。ヒアリングのイメージは大きなものから、小さく分解していく聞き方です。

例えば、クライアントが春の新商品として、口紅を大きく売り出すための商品カタログを作りたいとします。

まず、クライアントが話しやすい商品イメージや商品の特徴を聞きます。

「全5色のラインナップで全て唇のナチュラルな色が出やすい薄いカラーの口紅。美容液成分をたっぷり含んでいるため、ナチュラルなリップカラーなのに、艶っぽく、口元から女性らしさを作ってくれる。」

という情報を聞いた場合、それをパンフレットのイメージに落としこむために、商品イメージに関連した質問をします。

「女性誌で言うとどのようなイメージですか?」
「ファッション誌?ライフスタイル誌?」
「大人向けの商品ですか?明確な世代はありますか?」

クライアントが反応を示したら、深堀りして、さらに聞き込みを行います。

「ファッション誌なら赤文字系ですか?青文字系ですか?」
「ビジュアルは明るく元気にしますか?シックに大人っぽくしますか?」
「今回はコーポレートカラーは使用しますか?」

あまり細かいことまで聞きすぎると、クライアントを悩ませてしまうことがあるため、簡単に選択できるような質問をメインにして、バランスに気をつけます。

話をしながら、「シンプルで大人っぽい雰囲気であれば、白をベースにしてナチュラルなビジュアルを作ってみましょう。」など、ある程度聞き手がリードするように、具体的なイメージを作っていきます。

デザインすり合わせポイント2.すり合わせにはビジュアルを用いる

イメージのすり合わせには言葉だけでなく、ビジュアルを用いることが最も重要です。

ヒアリングで洗いだしたイメージを元に、これまでの制作事例をクライアントに見てもらい、イメージが近いものをピックアップしていきます。

・これまでの制作事例
・他社の制作印刷物
・クライアント要望から導き出されたイメージ(雑誌等)

もちろんクライアントが希望する場合は、テイスト毎にデザインラフを用意し、さらにラフを元にA案・B案・C案……と出して、デザインイメージにズレが生じないように調整していくこともあります。

ただし、このやり方は、納期とお見積りに余裕があるクライアントだけなので、あまり行いません。

デザインすり合わせポイント3.電話でなく対面で行う

イメージのすり合わせは、クライアント要望などのポイントを押さえた上で、対面で行います。

メールや電話でのすり合わせは、キーワードなどの確認にとどめます。

また、クライアント内での上長確認がある場合には、イメージやキーワードをパワポなどにまとめて資料化することで、イメージの共有を簡易にし、抜け漏れを防ぎます。

デザインすり合わせポイント4.イメージをトーンに落とし込む

すり合わせたイメージをトーンに落とし込んでいきます。

デザイントーンは明確に区分できるものではないため、クライアントのイメージに応じて、似通った「これまでの制作事例」「他社の制作印刷物」「要望から導き出されたイメージ(雑誌等)」に合致する落とし込みを行います。

頭のなかにあるイメージをトーンに落とし込む行為は、ある程度決まった導き方をしていけば良いのでまだ簡単です。

まだクライアントのイメージが決まりきっていない場合は、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングをうまく当てはめて、STP分析を行います。

事例|化粧品のパンフレットの作成

商品と特徴:
全5色のラインナップで全て唇のナチュラルな色が出やすい薄いカラーの口紅。美容液成分をたっぷり含んでいるため、ナチュラルなリップカラーなのに、艶っぽく、口元から女性らしさを作ってくれる。

セグメンテーション…女性、年齢、用途、シチュエーションなど
ターゲティング…子育てには慣れてきたが、眉毛と目元位しか化粧しなくなってしまった30代~40代の主婦層
ポジショニング…普段使い、価格は普通、色味が出ないので素早く塗れる、保湿ケア

「30代以上の子育て主婦向け女性誌(LEE、saita、Comoなど)のナチュラルなイメージを大切にする。シンプルで柔らかい雰囲気。女性の写真は明るく大きめに使用する。ミニマル+木目調で、温かい雰囲気を出す。フォントは太めのセリフ体。色合いは白とウッディカラーをベースに、薄いピンク、薄いオレンジを差し色に使用する。」

デザインすり合わせポイント5.トーンからマナーを決める

トーンに合った仕様を提案し、トーン&マナーを決定していきます。

用紙のサイズ、厚さ、種類を決める

まずは、トーンから導き出される用紙のサイズ、用紙の厚さ、用紙の種類を選択します。

例えば、木目などナチュラルなデザインを活かしたければマット紙、口紅の艶っぽさを活かしたいならコート紙という具合です。

また、用紙の厚さは高級感を重視するのか、折りやすさを重視するのかを考慮しますし、用紙のサイズは用途によって変わります。

参考:
基本の用紙サイズ、厚さ、種類を把握して効果的な印刷を!

文章表現を決める

トーンによって、文章表現も変わります。

例えば、上記のようにトーンが女性誌のイメージとピッタリ合うような場合は、その雑誌に使われている文章表現は大いに参考になります。

・落ち着いた口調
・でも丁寧になりすぎないように注意する
・控えめに流行りのキーワードを入れ込む

もちろん、主語の使い方や結びの方法など、トーン&マナーによる文章表現は細かく決められる場合もあります。

クライアントとデザインイメージを合わせるポイントまとめ

クライアントとデザインイメージをすり合わせるためには、クライアントの要望を先にヒアリングした上で、こちらの経験に沿った提案が必要です。

デザイン業務は、クライアントによって千差万別です。それどころか人によって評価が分かれます。担当者上長の「好み」で、ゼロにひっくり返る経験は、デザイン関係者であれば1度は味わったことがあるはずです。

このようなことが起こらないように、デザインイメージの意識共有をしっかりとし、常にビジュアルを用いて確認、大事な方向付けを行う際は上長を交えた確認を怠らないようにします。

もちろん、私たちはプロなので、時間に無駄が出ないようにイニシアチブを持って、トーン&マナーを素早く決め切ります。

このリーディング行為はとても重要です。

なぜなら、トーン&マナーを決めきってしまうと、(ある意味)クライアントに振り回されることなく業務を進められる根拠ができ、結果としてクオリティを高める時間も作ることができるからです。

デザイン関係者の方は、クライアントに対して、質問、確認、リード、これらのバランスを上手く調整しながら、トラブルのない、スムーズなデザインのすり合わせを行えるように頑張ってください。

クライアントになる方は、これらのすり合わせ作業がうまくできている業者を選んで、良いデザインを作ってもらえるように注意を払いましょう。