2025年8月28日

トンボと塗り足しとは?種類と役割、作成時の4つのポイントを解説!

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トンボとは?

「トンボ」とは、印刷物を仕上がりサイズに正しく断裁するための目印となるマークのことです。T字や十字の形が昆虫のトンボに似ていることから名づけられ、「トリムマーク」とも呼ばれます。

チラシ・パンフレット・広報誌など、ほとんどの印刷物制作において必要で、仕上がりを正確に整えるためのガイドラインの役割を果たします。

トンボと塗り足しとは?種類と役割、作成時の4つのポイントを解説

トンボが必要な理由

印刷物制作においてトンボが必要な理由は、印刷会社が印刷や加工を正確に行うためです。印刷物をきれいに仕上げるためには、断裁位置を正確に示すトンボが欠かせません。

コピー機や家庭用プリンターでは、仕上がりサイズの用紙にそのまま印刷することが多いですが、印刷会社では、仕上がりサイズより大きな用紙に印刷し、トンボに沿って断裁して仕上げます。そのため、トンボがなければ、印刷や断裁の際にズレが生じてしまい、デザインが切れてしまったり、不要な余白が残ったりする恐れがあります。

特に、紙面いっぱいに色や写真を配置するデザインでは、トンボの有無が仕上がりに大きな影響を与えます。

トンボの種類

トンボには「日本式」と「西洋式」の2種類があります。

日本式トンボは、四隅にL字の二重線があり、内側の線が仕上がり位置を示します。仕上がり部分に線がかからないため、断裁に多少のズレがあっても、完成した印刷物にはトンボが残らないようになっています。

一方、西洋式トンボは一本線で構成されており、トンボが仕上がり位置に直接接しています。そのため、断裁時にズレが生じると、トンボの線が印刷物に残ってしまう可能性があります。

トンボと塗り足しとは?種類と役割、作成時の4つのポイントを解説_日本式トンボと西洋式トンボの違い

日本国内では一般的に「日本式トンボ」の使用が推奨されています。ここからは、日本式トンボの4つの種類と役割をご紹介します。

トンボと塗り足しとは?種類と役割、作成時の4つのポイントを解説_トンボの種類

コーナートンボ(内トンボ)

四隅に配置されるL字のトンボを「コーナートンボ」と呼び、そのうち内側にあるものを「内トンボ」と言います。

内トンボは印刷物の仕上がり位置を示しており、これに沿って断裁されます。

コーナートンボ(外トンボ)

「コーナートンボ」のうち、外側にあるものを「外トンボ」と言い、塗り足しの範囲を示します。

塗り足しとは、仕上がりサイズより外側までデザインを広げておくことです。詳しくは後述しますが、この外トンボまで背景や写真を広げて配置しておくことで、断裁時にズレが生じても紙の端に余白が出ず、きれいな仕上がりになります。

センタートンボ

センタートンボは、仕上がりの上下左右の中心を示す十字のトンボです。

カラー印刷では、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色の版を使用して印刷しますが、その際に各版の位置がズレていないかを確認するのに使われます。

また、ぺージ番号(ノンブル)の配置目安や、両面印刷における裏表の位置合わせにも活用されます。

折りトンボ

折り加工や筋入れ加工を行う際、折る位置を示すために用いられるのが「折りトンボ」です。これによって、加工の位置を正確にそろえることができます。

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塗り足しとは?

「塗り足し」とは、印刷物の仕上がりサイズよりも外側までデザインを広げた部分のことです。断裁で切り落とされる領域であるため、「裁ち落とし」と呼ばれることもあります。

一般的に、塗り足しは上下左右に3mmずつ設けることが推奨されています。

トンボと塗り足しとは?種類と役割、作成時の4つのポイントを解説_塗り足し

塗り足しが必要な理由

先述のとおり、印刷会社では、実際の仕上がりサイズよりも大きな用紙に印刷し、最後に仕上がりサイズに断裁して完成させます。このとき、何百枚・何千枚もの用紙を重ねて断裁するため、どうしても1~2mm程度のズレが生じてしまうことがあります。

もし塗り足しがなければ、そのわずかなズレによって紙の端に印刷されない部分(白い余白)が見えてしまいます。

一方、塗り足しをつけておくことで、多少のズレがあったとしても紙の端までデザインがしっかりと入り、きれいな仕上がりになります。

トンボと塗り足しとは?種類と役割、作成時の4つのポイントを解説_塗り足しの役割

印刷物をきれいに仕上げるためのポイント

1.トンボは必ずつける

印刷会社へ入稿するデータには、基本的にトンボをつける必要があります。

印刷会社によっては、トンボなしで入稿できる場合もありますが、格安印刷やネットプリントでは、自分でトンボを作成しなければならないケースも多いです。印刷会社に確認し、必要であれば忘れずに設定しましょう。

illustratorには「トリムマーク機能」があり、ソフト上でトンボを作成することができます。また、印刷会社によってはトンボ付きのテンプレートが用意されているケースもあるので、それらを利用するのもよいでしょう。

2.塗り足しは上下左右3mmを確保する

先述のとおり、塗り足しは仕上がりサイズより上下左右に3mmずつ確保するのが基本です。

塗り足しが少ないと、断裁時にわずかなズレで紙の端に余白が出てしまうことがあります。背景色や写真など、紙面いっぱいに見せたい場合は、必ず仕上がり線の外側3mmまで広げておきましょう。

3.文字やイラストは仕上がり線から3mm以上内側に配置する

仕上がり線ギリギリに文字やイラストを配置すると、断裁のズレで切れてしまう恐れがあります。

文字やイラストなど、切れてはいけない要素は、仕上がり線から3mm以上内側に余裕を持たせて配置するようにしましょう。

4.トンボの色はレジストレーションカラーで設定する

トンボの色は、レジストレーションカラー(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックが各100%の黒色)に設定しましょう。オフセット印刷では、CMYKの4つの版で印刷しますが、トンボをレジストレーションカラーに設定しておくことで、各版にズレがないかを確認することができます。

なお、illustratorでトンボを作成する場合は、自動的にレジストレーションカラーに設定されます。

▼オフセット印刷の仕組みについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

まとめ

今回は、トンボの意味と種類、そして塗り足しの役割についてご紹介しました。

どちらも印刷物をきれいに仕上げるために欠かせない要素であり、完成度を大きく左右します。

基本を押さえておけば、印刷会社とのやりとりもスムーズになります。ぜひ今回の内容を参考に、入稿データの作成に役立ててみてください。

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