2016年1月28日
販促に絶対必要なニーズ、ウォンツ、シーズの違いと使い方
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販促に必要なニーズ、ウォンツ、シーズ
マーケティングの世界では、「ニーズ」「ウォンツ」「シーズ」は誰もが聞いたことがあるお馴染みな言葉です。
マーケティング学者のフィリップ・コトラーは、マーケティングを下記のように定義しています。
“マーケティングとは、個人や集団が製品及び価値の創造と交換を通じて、そのニーズやウォンツを満たす社会的・管理的プロセスである。”
つまり、「マーケティングが存在するのは、人々のニーズやウォンツがあるためだ。」ということです。
この一文で、ニーズ、ウォンツ、(とシーズ)の重要性がわかるはずです。
そのため、もしこれからマーケティングを勉強したい方は、初めに「ニーズ」「ウォンツ」「シーズ」の意味を押さえなければいけません。
しかし、実際の使い方は案外適当で、それぞれ区別なく使っている方も多いようです。
そこで今回は、マーケティングを学ぶ方が最初に押さえるべき「ニーズ」「ウォンツ」「シーズ」の言葉の意味と使い方をご紹介したいと思います。
ニーズとは
ニーズ(needs)は直訳すると要求、需要、つまり商品やサービスに対して、消費者が求める必要性のことです。
必要性とは「必ず要る」ということなので、お腹が空いたときのご飯、喉が渇いたときの飲み物、住むための住居、身を包むための衣服など、本質的な需要が高いものを指します。
同じように、人が何かの商品を購入したり、サービスを利用するときには必要性が存在します。
例えば、外出時に持ち物が多い人にはカバンが必要ですし、社会人として働くためには単なる衣服ではなくスーツが必要です。
肌荒れであかぎれがひどく、病院に通っている人にとっては食洗機のニーズは高いかもしれませんが、手に異常がなく、洗い物が好きな人にとっては食洗機のニーズは低いはずです。
このように、ニーズはすべての人が持つ感覚ですが、等しく感じるものではありません。
そのためマーケティングでは、ニーズを分析することは非常に重要で、「この環境にいる人なら、このようなニーズを持つ人が多くいるはずだ。」というターゲットを見極めなければ、効果的な販促を行うことは難しいでしょう。
ちなみに顧客が持つニーズには、顕在ニーズと潜在ニーズの2種類が存在します。
顕在ニーズは、「これが必要だ!」と顧客が明確な必要性を自覚している場合、潜在ニーズは、顧客自身が明確な必要性を自覚していない場合で使い分けます。
たくさんの商品が存在する現在の市場において、顕在ニーズを満たしてくれる商品はあふれています。
そのため、いかに潜在しているニーズを発見し、新しい市場を作っていくかという販促を行うことが大切です。
ウォンツとは
ウォンツは、ニーズとは異なります。
ニーズは商品が持つ本質の機能で顧客の必要性を満たすことに対し、ウォンツは商品が持つ本質の機能以外の付加価値によって、顧客に選んでもらうための要素を表します。
ウォンツとニーズはよく混同されますが、この違いはかなり大きいため、販促を行う際は気をつけなければいけません。
例えば、旅行に行くために多くの荷物を持ち運ぶ旅行用バッグを購入することはニーズです。ところが、品質が良いレザー製だったり、特定のブランドの旅行用バッグを求めることはウォンツです。
旅行用バッグはたくさんありますが、レザー製、ブランドなどは付加価値であり、多くの荷物を持ち運ぶ機能以外は、同じニーズを満たすバッグを比較するための要素でしかありません。
そのため、「これは市場ニーズがあるから売れる!」と思ったものが実はウォンツだと、「予想より売れない…。なんで?」ということになってしまいます。
消費者のウォンツを引き出すことで、製品開発や販促活動につなげることはよく行われますが、販売する側は、ニーズとウォンツの違いをしっかりと認識しておかなければなりません。
なおウォンツにも潜在ウォンツと顕在ウォンツがありますが、ニーズとは違い、顕在ウォンツは発見するものではなく喚起するものです。
その商品が持つ必要性に加えて、新しい価値観を掘り起こさなければいけません。そして、ウォンツを最大限に高めたものが「ブランド」です。
例えば、100万円のバッグと1万円のバッグに100倍の機能差はありません。ところが、100万円のバッグを購入する方には、購入する理由があります。
「長く持っていると味が出てくるから。」
「ステータスが上がり、仕事がしやすくなるから。」
「周りの人が持っているから合わせないといけない。」
という、その人独自の理由付けが出てくるようになればブランディングは成功です。
ニーズを満たす商品以上の価値付けがされ、それに見合った価格で商品が買われるようになります。
そのため、いかに潜在しているウォンツを喚起し、価値の高い商品市場を作っていくかという販促を行うことが大切です。
シーズとは
シーズは、技術の発展によって生まれるものです。商品・サービス提供側の技術力や企画力、特別な素材や材料などを意味します。
技術的に可能である、ということからアイデアを得て、新商品や新事業を生み出すことを「シーズ志向」と呼びます。
ニーズやウォンツは消費者目線で、消費者の必要性や欲求に対して商品・サービスを提供する考え方です。
すでに類似商品が存在する商品やサービスであれば、ニーズ志向で商品を作り、ウォンツ志向でマーケティング戦略を考えていきます。
一方、シーズでは、提供者目線で独自の技術力や企画力によって他社と差別化し、新しい価値観や新しいニーズを生み出す可能性がある商品を提供します。
その商品・サービスの独自性が重要であり、類似商品がないときにはシーズ志向が戦略として有効です。
例えば、インターネットは元々軍事目的で開発されたもので、消費者用のサービスとはかけ離れていました。
しかし、サービススケールが拡大し、インターネットでできることが増えることによって、徐々に一般的に普及していくことになります。そこでようやく、市場サービスとしての有効性が認識されるようになりました。
このように、新しいシーズによって商品やサービスに新しい価値観が生まれることで、大きな市場になることがあります。
ニーズ、ウォンツ、シーズの違いと使い方まとめ
冒頭でもお伝えしましたが、ニーズ、ウォンツ、シーズを混同して使っている方がいますが、持っている要素や意味が大きく異なるため、正しく覚えなければいけません。
マーケティングを考える際、販促を行う際は、提供する商品が消費者のニーズを満たすものなのか、ウォンツを喚起しなければいけないものなのか、シーズとして新しい価値観を植え付けなければいけないものなのかによって、戦略が大きく異なります。
とるべき戦略は、潜在的なニーズ・ウォンツに訴えかけるものほど、難しくなるでしょう。
満たされていないニーズを見つけ、消費者のウォンツを刺激する戦略を行い、消費者の関心を呼ぶシーズを備えていくことをうまく使い分けることで、その商品はようやく市場で認知されるようになるのです。
まずは、ニーズ、ウォンツ、シーズを正しく理解し、消費者と自社の商品・サービスの関係性を明確にして、適切なマーケティング戦略を立てられるようにしましょう。