2025年4月1日
知らないとまずい!? 避けたほうがよい誌面レイアウトとは

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誌面のデザインやレイアウトを考える際、「読者の視線の動き」は重要なポイントの一つです。読者の視線がどのように移動するかを理解することで、重要な部分を読者の目に留まりやすくしたり、自然でスムーズな視線の流れを誘導することができます。
一方で、読者の視線の動きを無視したレイアウトを行うと、読みづらさを感じさせたり、情報が意図せず読み飛ばされたりする原因にもなります。
そこで今回は、代表的な視線の動き方と、避けたほうがよい誌面レイアウトについてご紹介いたします。

代表的な視線の動き方
視線の動きにはいくつかパターンがあり、代表的なものには「グーテンベルク・ダイヤグラム」「Zの法則・Nの法則」「Fの法則」があります。
1.グーテンベルク・ダイヤグラム

グーテンベルク・ダイヤグラムは、視線の動きを「左上」「右上」「左下」「右下」という4つの領域に分類して表した考え方です。
4つの領域の情報強度が均一である場合、視線はまず「左上」から始まり、「右上」や「左下」はチラッと見る程度で通り過ぎ、最終的に「右下」へと動きます。
この法則は、コンテンツが均一にレイアウトされることの多い印刷物に、特に当てはまりやすいとされています。休閑領域である「右上」や「左下」は視線が留まりにくく、見落とされやすいため、重要な情報を配置する際は注意が必要です。
2. Zの法則・Nの法則

Zの法則は、視線がアルファベットの「Z」の形を描くように移動する視線パターンです。主に横書きの文書やWebサイトに多い視線の動きで、まず左上からスタートして右上へ移動した後、斜めに左下へ移り、最後に右下へと向かっていきます。
Nの法則は、視線がアルファベットの「N」の形を描くように移動する視線パターンで、主に縦書きの文書や紙媒体で見られる動きです。
3. Fの法則

Fの法則は、視線がアルファベットの「F」の形に沿って移動する視線パターンです。
Fの法則に基づいたデザインは、Webサイトや目次など、法則性があり縦長でシンプルなレイアウトに適しています。情報の取捨選択や流し読みがしやすい一方で、下に進むにつれて読者の関心が薄れ、離脱率が高くなるため注意が必要です。

【本文編】避けたほうがよいレイアウト
1.飛び降り
先述のとおり、横書きの場合、読者の視線は左から右へと進み、改行がある場合はアルファベットの「Z」のように左上から右下へと移動します。そして、途中に画像や囲み記事があったり、一番下の行まで到達した際には、視線は右の段の左上へと動くのが一般的です。
「飛び降り」とは、この視線の流れに逆らい、画像や囲み記事のレイアウトによって文章の続きが右下に配置されることを指します。このような場合には、視線が移動する先の段の位置を調整し、視線が右上へ向かうようにするとよいでしょう。

縦書きの場合も同様に、次の段へ移動する際、視線が左下ではなく右下へ向かうように配置することで、自然な視線の動きになります。

2.飛び越し
「飛び越し」とは、文章が画像や囲み記事などをまたぐレイアウトのことを指します。このような配置では、読者が文章の続きを見失ったり、誤読を招く可能性があります。
写真や囲み記事などは、文章の流れを妨げない位置に配置し、視線の動きをスムーズに保つことが重要です。


3.両流れ
「両流れ」とは、同じ段から始まった二つの文章が、どちらも次の段に続く可能性があることを指します。
例えば、下図のようなケースでは、ⒶとⒷの両方がⒸに続く可能性があり、どの文章がどこに接続するのかがわかりにくくなってしまいます。このような場合は、間に入る見出しの位置を変えたり、段の配置を変更する必要があるでしょう。

4.泣き別れ
「泣き別れ」とは、一つの文章が段をまたぐ際、段末が改行や句点(。)で終わっていることを指します。
このレイアウトでは、段と段のつながりがわかりにくいことに加え、上段で文が完結しているようにも見えるため、次の段が見落とされる可能性が高まります。
そのため、段の切り替わりでは、文章が続いていることがわかるように、改行や句点(。)で終わらせず、文章の途中で区切るなど、文字数の調整を行うとよいでしょう。

【見出し編】避けたほうがよいレイアウト
見出しの配置が適切でないと、誌面のバランスが崩れる原因になります。以下のような見出しのレイアウトは、避けるのが望ましいでしょう。
1.エントツ(見出しの直列)
「エントツ」とは、縦組みの誌面において、見出しが縦に連続して並んでいる状態を指します。見出しを直列に並べることで、煙突のように縦に長い一つの見出しのように見え、個々の見出しが目立たなくなってしまいます。
また、見出しが縦に並ぶことで、誌面が縦に分断されているような印象を与え、誌面全体のバランスが崩れる原因にもなるため、避けたほうがよいでしょう。

2.横並び(見出しの並列)
「横並び」とは、縦組みの誌面において、同じ段に同じ大きさの見出しが並んでいる状態のことを指します。また、横組みの誌面において、見出しが横に並んでいる状態のことを指す場合もあります。
どちらの場合も、見出しが目立ちにくくなるだけでなく、誌面が単調な印象になってしまうため、テキストや画像の位置を工夫し、見出しの位置が並列にならないように調整するとよいでしょう。

まとめ
今回は、避けたほうがよいレイアウトのパターンをご紹介しました。
これらのレイアウトは必ずしもNGというわけではありませんが、視線の動きを妨げる要因になるため、できるだけ避けるのが望ましいです。やむを得ない場合は、段組みや画像の配置、文章量などを調整し、読者の視線を自然に誘導できるように工夫しましょう。
誌面レイアウトが完成したら、一度視線の流れを意識しながら初めから終わりまで読み直し、全体を俯瞰して視線の動きを確認することが大切です。
