2023年5月15日

旧字体・新字体・外字とは?意外と知らない字体のこと

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。

旧字体とは

旧字体とは、1949年の「当用漢字字体表」が告示される前に使用されていた漢字のことです。 画数が多くて複雑な漢字が多く、「國」「澤」「齋」などは旧字体にあたります。

「当用漢字字体表」の告示によって、これまで使われていた複雑で難しい漢字ではなく、簡単な漢字の使用が採用されるようになりました。「当用」というのは「当面の間は用いる」という意味で、漢字は学習が困難であるという理由から当時は漢字の使用自体をやめることも検討されていました。

その後、漢字の音訓や掲載する漢字などが追加・整備され、「当用漢字」は「常に用いる」として「常用漢字表」へと引き継がれています。「常用漢字表」においても、使用する漢字が指定・制限されるものではなくあくまで目安のため、人名や地名などにおいては現在でも旧字体が使われていることも多いです。

新字体とは

新字体とは、旧字体を簡略化した漢字のことです。「新字体」という呼び名ですが新しく考案されたものではなく、もともと手書きや彫刻の際に簡略化して書かれていた漢字が、1949年の「当用漢字字体表」の告示にともなって正式な漢字として採用されるようになりました。

例)新字体「国」 旧字体「國」
  新字体「沢」 旧字体「澤」
  新字体「斉」 旧字体「齋」

このように意味や読み方は同じで字体が異なる文字のことを「異体字」と言います。

【対応表】新字体・旧字体

新字体と旧字体は、形が似ているものからまったく異なるものまで、以下のように対応しています。このように見ても旧字体は画数が多くて複雑な漢字が多く、新字体はそれを簡略化されているものであることがわかります。

新字体
旧字体
新字体
旧字体
新字体
旧字体

上記以外にも旧字体はまだまだたくさんあります。旧字体には見慣れない漢字も多いですが、旧字体を見ると本来の意味や成り立ち、関係性なども見えてくるかもしれません。

▼そのほかの新字体と旧字体の対応表については以下のPDFからご覧いただけます。
【対応表】新字体・旧字体

外字とは

外字(がいじ)とは、PCなどの文字入力ソフトに登録されていない文字のことで、ユーザーが文字作成ソフトなどを使って追加した文字を指します。人名や地名、旧字を扱うときなどには外字がよく使われます。

外字を使うには、外字作成用のソフトを使って自分で外字を作成する方法と、市販されている外字フォントを購入して使用する方法の二つがあります。

自分で外字を作成する場合、Windowsであれば標準搭載されている外字エディタを使って外字を作成することができます。こうしてユーザー側で作成した外字は「ユーザー定義文字」とも言われます。

外字を使う際に注意しなければいけないのは、表示できる環境が限定的ということです。基本的には外字を作成したPCか、同様に外字が登録されているPCのみでしか表示されません。外字を含む文書を他のPC環境で開こうとすると文字化けしてしまう恐れがあるので注意が必要です。

まとめ

今回は、旧字体と新字体、外字についてご紹介いたしました。

旧字体や外字などは触れる機会が少ないようにも思えますが、人名や地名など、意外と私たちの身近に存在しています。固有名詞の場合は旧字体や本来の漢字を大切にしている方も多いです。

扱い方を把握しておかないと文字化けしてしまったり、うまく印刷されない可能性もあります。印刷や編集にかかわっている方は知っていて損はありませんので、ぜひ参考にしてみてください。

広報誌・機関誌専門の編集業務委託・BPO