2015年11月26日

ワンソースマルチユース、ワンストップソリューションとは

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今必要なワンソースマルチユース、ワンストップソリューション

ワンソースマルチユース、ワンストップソリューションという言葉を聞いたことがありますか。

私たち印刷業界でも、近年この考え方で事業を進める会社が急増しています。

というよりも、この考え方で事業を進めていかなければいけないと言った方が正しいでしょう。

もちろんこれは、印刷業界だけではなく、物が増え、技術が進歩し、様々な行為が以前よりも手軽になった業界では当たり前のことになりつつあります。

そこで今回は、今押さえておかなければいけない、ワンソースマルチユースとワンストップソリューションの意味をご紹介したいと思います。

ワンソースマルチユースとは?

ワンソースマルチユースとは、ワンソース+マルチユースのことで、一つのデータをさまざまな方法で利用する、という意味があります。

ワンソース(one source)とは、一つのデータ(情報)のことで、一つのコンテンツや元データを指します。マルチユース(multi-use)とは、さまざまな方法や方式でデータ(情報)を利用することです。

たとえば、結婚式で撮った写真をアルバムにしたり、CD-ROMに焼いたり、WEBサイトにアップしたり、現像して引き伸ばして飾ったりと、さまざまな使い方をします。

商業の世界でも、ワンソースマルチユースは普通の手法です。典型的なものは、書籍や音楽です。

たとえば書籍では、映画化して劇場公開してから、DVD版やサウンドトラックCDを発売、やがてテレビで公開するといった具合です。

この手法は、従来では質の高い書籍や音楽コンテンツに絞って用いられていましたが、最近ではデジタルデータで管理が一元化されたため、副次的な利用が簡単になり、気軽にワンソースマルチユースを行うことができるようになっています。

ワンソースマルチユースの3つのメリット

メリット1.企画、制作の一貫性向上

たとえば、印刷物とWEBサイトが一貫した企画に基づいて制作できます。

これにより、媒体が違っても、同じコンセプトを持ち、同じ目標を掲げた企画、制作を行えるため、単独での使用に比べて高い相乗効果が期待できます。

また、コンテンツに一貫性があるため、ブランドイメージの統一を図ることができます。

メリット2.運営、顧客の効率化

デジタルデータで一括管理できるため、印刷物やWEBサイトを制作した際、使用コンテンツ(文章やイラスト、画像など)を直接転用できます。

また、顧客側においても、複数の会社、複数の担当者に連絡しなくて良いため手間が軽減されます。

メリット3.効果測定の簡略化

広報や販促は、近年マーケティング(事業)部に統合される傾向があります。

近年は販促、広告、広報の仕事を1つにまとめて、マーケティング部というチームを作る企業が増えました。

マーケティング部の主な業務は、販促、広告、広報の業務に、以下のものが加わって成り立っています。

・リサーチ
・商品企画
・商品開発
・営業企画

要は、市場の意見を吸い上げて、商品企画や開発を行い、どのように販売していくのか戦略を練り、広告、販促、広報を使って、売上を上げていくための、総合サポート的な役割ということです。

参考:販促、広告、広報の違いとは?予算・経費計上の考え方を比較

そのため、情報のインプットとアウトプット作業を同時に行う必要があります。

紙ものにしても、デジタルものにしても、ある程度情報を集約しなければ瞬時の効果測定は難しいため、データを相互活用できることは非常に便利です。

ワンストップソリューションとは?

ワンストップソリューションとは、ワンストップ+ソリューションのことで、1か所で何でも揃うこと、全ての問題が解決できること、という意味があります。

ワンストップとは1か所、ソリューションは問題解決という意味です。

たとえば、大手のショッピングモールはワンストップソリューションの典型例です。

家族でショッピングモールに行き、子供服を買い、お歳暮の用意をし、ビジネスバッグを見て、最後に夕飯の食材を購入して帰ります。これがワンストップソリューションでなければ、非常に面倒くさいことは簡単にイメージできます。

ビジネスにおいてワンストップソリューション化されていない場合は、何か所にも問い合わせや連絡をしなければならず、担当者は手間がかかります。

また、顧客側も問い合わせをして、たらい回しされるとストレスが溜まります。

たとえばシステム導入をしたい場合、システム構築はシステム開発会社、サポートは運用管理会社、インフラはサーバー会社と分けて発注しなければいけないことがあります。

これがワンストップソリューションで全てが行える会社であれば、仮にシステム不具合があっても原因特定に時間がかからない、責任の所在が明確というメリットがあります。

ワンストップソリューションは、今ある柱事業に対して周辺技術の構築やノウハウ蓄積を行うなど、企業努力によって高めていくことができます。

今後私たち印刷会社のワンストップソリューションは、チラシ印刷だけを提供していたものが、マーケティングの企画を行い、チラシ配布の手配を行い、効果測定を行い、PDCAを回すといった流れを作ることです。

当たり前ですが、この場合、マーケティングのノウハウを蓄積しなければいけませんし、新聞折込やポスティングなどの配布手法との連携を図らなければ行けませんし、効果測定・分析の技術を構築しなければいけません。

ワンソースマルチユースとワンストップソリューションのまとめ

ワンソースマルチユースとワンストップソリューション……ちゃんと理解しておかないと混乱してしまいそうなカタカタ用語ですが、しっかり分解すると、その意味もメリットもよくわかります。

・ワンソースマルチユースは、一つのデータを複数の手法で利用すること
・ワンストップソリューションは、1か所で全ての問題が解決できること

これらの手法を身に付けるためには、企業の基盤を整備し、ある程度コストをかけた体制づくりをする必要がありますが、有効活用できれば顧客満足度の向上や運営の効率化に寄与します。

一つの情報を様々な形で利用したり、あるプロジェクトを一気通貫で解決することは、今後淘汰が予想される業界における課題です。

おそらく私たち印刷業界だけでなく、さまざまな業界が意識しなければいけないことだと思います。

今のうちにしっかりと押さえ、自社の事業の先を見据えて準備していく必要があるでしょう。