2024年9月18日

ポイントと級数の違いとは?行送りや字送りについても解説

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

文字のサイズには、「ポイント」と「級」という二つの単位があります。WordやExcel、PowerPointなどのソフトウェアでは「ポイント(pt)」という単位が一般的ですが、印刷物やデザインの現場においては「級」という単位がよく使われています。

どちらも文字サイズを表す単位ではありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、「ポイント」と「級」の違いについてご紹介いたします。

ポイントとは

「ポイント」は、欧米の活字サイズに基づく単位で、1ポイント=1/72インチ(約0.35mm)に相当します。

1ポイントの文字サイズ

ポイントは、WordやExcel、PowerPointといった多くのソフトウェアで使われており、日常的に目にするため、比較的馴染みのある単位かと思います。そのため、ポイントは認知度が高く、顧客とのコミュニケーションにおいてサイズ感を伝えやすいというメリットがあります。

また、1ポイントごとのサイズの差(ジャンプ率)が大きいため、見た目を重視するポスターや広告などのデザインに使いやすいのも特徴です。

校正では「pt」「ポ」と略されることが多く、文字の大きさだけでなく、線の太さなどもポイントで表します。

級とは

「級」は、写植時代に設定された日本独自の単位で、1級=0.25mmと定められています。0.25mmが1mmの4分の1であることから、「Quarter」の頭文字をとって「Q」と表記されることもあります。文字サイズを大きくする場合は「Q上ゲ」、反対に文字を小さくする場合は「Q下ゲ」といった表現も使われます。

1級の文字サイズ

「1級=0.25mm」であるため、級はミリメートル単位への変換が容易というメリットがあります。例えば、2級は0.5mm、4級は1mm、8級は2mmというように、級数を4で割ることで簡単にミリ単位に換算ができます。反対に、ミリメートルで測った文字サイズを4倍にすれば、その文字の級数を調べることも可能です。

A4やB5といった用紙サイズも「mm」で表記されているため、決まった紙面内に文字を収める際、文字数の計算がしやすいというのも級のメリットであると言えるでしょう。

また、1級あたりの大きさはポイントに比べて0.1mm小さいため、細かなサイズ調整がしやすく、文字量の多い誌面制作においては「級」の使用が向いています。

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ポイントと級の大きさの違い

「ポイント」はインチ体系、「級」はメートル法に基づいた単位です。

基準となる単位が異なるため正確には比較できませんが、「1ポイント= 約1/72インチ=約0.35mm」であるのに対し「1級=0.25mm」であるため、 ポイントのほうが級より約1.4倍大きくなります。

ポイントと級数の大きさの違い

また、紙面上の文字サイズを確認したい場合は、「級数表(文字スケール)」と呼ばれるシートを使うと便利です。級数表には目盛りが書いてあり、級数表を文字の上に重ねることで、文字の級数やポイント数を簡単に調べることができます。

行送り・歯とは

行の一番上から次の行までの長さのことを「行送り(歯送り)」と言い、行送りは「歯」という単位で表されます。「歯」はそのまま「は」と読み、「1歯」や「1H」と表記します。 この「歯」という単位の名称は、写植機の歯車に由来しています。

1歯の大きさは「級」と同じく「1歯=0.25mm」であり、文字サイズを表す「級」と行送りを表す「歯」で一緒に使われることも多いです。

よく似た言葉に「行間」がありますが、「行間」は二つの行の隙間のことを指し文字は含まないのに対し、「行送り」は1行目の文字の上端から次の行の上端までの長さのことを指しています。

つまり、
・行送り=文字サイズ+行間
・行間=行送り-文字サイズ
という関係になります。

行送りと行間の違い

字送りとは

字送りとは、文字の中心から次の文字の中心までの長さのことを指し、字送りの単位にも「歯」が用いられます。

こちらも似た言葉に「字間」がありますが、字間は文字と文字の間の空白部分を指しており、文字サイズは含まれていません。

つまり、
・字送り=文字サイズ+字間
・字間=字送り-文字サイズ
という関係です。

字送りと字間の違い

校正では、字間を調整する際に「全角アキ」「二分アキ」「四分アキ」といった表現が使われます。また、文字と文字の間に空きを設けないことは「ベタ」「ベタ組」と言います。

また、字送りの起点を文字の中心からではなく、文字の頭からを起点とするケースもありますが、これは起点が異なるだけで長さ自体は変わりません。

字送り

まとめ

今回は「ポイント」と「級」の違いについてご紹介しました。

対応しているソフトウェアの多さから「ポイント」のほうが馴染みがあるという方も多いかと思いますが、印刷物やデザインなどの制作現場では「級」が使われることが多いです。

ポイントと級はサイズが異なるため、どちらの単位も扱う場合は、ポイントと級数の対応が一目でわかる以下のような換算表を参考にすると便利でしょう。

参考:ポイント・級数・mm換算表 – DTP材料,DTP資料

ポイントと級、行送りと行間、字送りと字間など、混同しやすい用語の違いを把握しておくことで、制作会社とのコミュニケーションもよりスムーズになります。ぜひ参考にしてみてください。

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