2023年3月24日

ポイントと級数の違いとは?行送りや字送りについても解説

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文字のサイズを表すには、「ポイント」「級」という単位を使います。

WordやExcel、PowerPointなどでは「ポイント(pt)」という単位で文字サイズが表されていますが、印刷物やデザインにおいては「級」という単位もよく使われています。

どちらも文字サイズを表す単位ですが、それぞれどのように違うのでしょうか?
今回は「ポイント」と「級」の違いについてご紹介いたします。

ポイントとは

欧米の活字サイズに基づく単位で、1ポイント=1/72インチ(約0.35mm)が基準になっています。

1ポイントの文字サイズ

「ポイント」はWordやExcel、PowerPointをはじめさまざまなソフトウェアで使われており、「級」に比べてなじみのある単位かと思います。

そのため、認知度が高く、顧客とのやりとりの際に意思疎通が図りやすいというメリットがあります。校正などでは「pt」「ポ」と表記されます。

1ポイントごとのジャンプ率が高く、見た目を重視するポスターや広告などのデザインに使いやすいのが特徴です。「ポイント」という単位は、文字の大きさだけでなく線の太さなどにも用いられています。

級とは

写植時代に設定された日本独自の単位で、1級=0.25mmと決められています。0.25mmが1mmの4分の1であることから、「Quarter」の頭文字をとって「Q」と表記されることもあります。文字サイズを大きくする場合は「Q上ゲ」、反対に文字を小さくする場合は「Q下ゲ」と言います。

1級の文字サイズ

「級」は、「2級=0.5mm」「4級=1mm」「8級=2mm」のように正確なミリ換算がしやすいというメリットがあります。「級数÷4」すれば文字が何mmなのかわかりますし、文字の大きさを測って「文字の大きさ×4」すればその文字の級数を調べることができます。

A4・B5といった用紙も「mm」を基準にしたサイズ表記のため、決まった用紙内に収めたい場合にも文字数を計算しやすいです。

また、1級あたりの大きさがポイントに比べて0.1mm小さいため、細かい微調整がしやすく、文字量の多い誌面制作などにおいては「級」の使用が向いていると言えます。

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ポイントと級の大きさの違い

「ポイント」はインチ体系、「級」はメートル法に基づいた単位です。

基準となる単位が異なるため正確には比較できませんが、「1ポイント= 約1/72インチ=約0.35mm」なのに対し「1級=0.25mm」のため、 ポイントのほうが級より約1.4倍大きくなります。

ポイントと級数の大きさの違い

また、紙面上の文字のサイズを調べたいときは「級数表(文字スケール)」と呼ばれるシートを使うと便利です。級数表には目盛りが書いてあり、紙面上の文字に級数表を重ねることでその文字の級数やポイント数を調べることができます。

行送り・歯とは

行の一番上から次の行までの長さのことを「行送り(歯送り)」と言い、行送りは「歯」という単位で表されます。「歯」はそのまま「は」と読み、「1歯」や「1H」と表記します。 この「歯」という単位の名称は、写植機の歯車に由来しています。

1歯の大きさは級と同じく「1歯=0.25mm」で、文字サイズを表す「級」と行送りを表す「歯」で一緒に使わることも多いです。

混同しやすい言葉に「行間」がありますが、行間は二つの行の隙間のことを指し文字は含まないのに対し、行送りは1行目の文字の上から次の行までの長さのことを指しています。

つまり、「行送り=文字サイズ+行間」「行間=行送り-文字サイズ」となります。

行送りと行間の違い

字送りとは

字送りとは、文字の中心から次の文字の中心までの長さのことです。字送りの単位にも「歯」を使います。

こちらも似た言葉に「字間」がありますが、字間は文字と文字の間のことを指しており文字サイズは含んでいません。「字送り=文字サイズ+字間」「字間=字送り-文字サイズ」となります。

字送りと字間の違い

校正では、字間を空ける際に「全角アキ」「二分アキ」「四分アキ」のように書きます。 字間に空きがないことは「ベタ」「ベタ組」と言います。

また、字送りの起点を、文字の中心からではなく文字の頭からを起点とするケースもありますが、起点が異なるだけで長さは変わりません。

字送り

まとめ

今回は「ポイント」と「級」の違いについてご紹介しました。

対応しているソフトウェアの多さからポイントのほうがなじみがありますが、印刷物などの制作現場では級数が使われることが多いです。

ポイントと級数ではサイズが異なるため、ポイントと級数の対応が一目でわかる以下のような換算表を参考にするのもおすすめです。

参考:ポイント・級数・mm換算表 – DTP材料,DTP資料

ポイントと級、行送りと行間、字送りと字間など、混同しやすい用語の違いを把握しておくことで、印刷会社ともよりスムーズにやりとりできるようになります。ぜひ参考にしてみてください。

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