2021年9月7日
再生紙はおトク?環境にやさしい?
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最近のトレンドワードとして、SDGs(エス・ディー・ジーズ)という言葉が注目されるようになりました。
SDGsとは「 Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標) 」の略で、17の目標と169のターゲットから構成されています。
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
参考:外務省
17の目標の中には「つくる責任、つかう責任」「陸の豊かさも守ろう」といった資源の活用について見直すべき項目もあり、最近ではプラスチックストローの代わりに紙ストローが使用されるなど、紙が再注目されています。
「SDGs」「紙」と聞いて、古紙をリサイクルした「再生紙」をイメージされる方も多いかと思います。チラシやパンフレットなどを作るときにも再生紙を使用したいというケースもあるでしょう。
「環境にやさしい」「コストが抑えられそう」というイメージのある再生紙。
今回はその再生紙について改めて考えてみましょう。
再生紙が作られる過程
まず紙は、大きく分けて「再生紙」と「それ以外の紙」に分かれます。
「それ以外の紙」というのは、一般的な紙全てが該当し、バージンパルプと呼ばれるものです。
主に木材を原料に新しく製造されたもので、白色度が高く、用紙自体の強度も比較的高めで、手触りも良いのが特長です。
一方、再生紙は、先ほどのバージンパルプを再利用して製造されています。
すでに印刷されている紙を再利用するには、まずインキを取り除かないといけませんので、脱墨剤や苛性ソーダなど、様々な薬品と一緒に大型機械で混ぜ、どろどろに溶かしていきます。そして、また大型の機械によりゴミ類を取り除きます。ろ過するイメージですね。
目立つゴミ類を取り除いたら、次は洗剤の登場です。これまた大きな機械と泡の力で、インキや染料などを取り除き、繊維だけを残していきます。
繊維以外を取り除いたら今度は漂白です。漂白剤を混ぜ、繊維を漂白していきます。
最後はすすぎです。水で洗い、余分な水分を脱水し、乾燥されれば古紙パルプの完成です。洗濯物と同じですね。
通常は、この古紙パルプとバージンパルプを配合して「再生紙」が製造されていきます。
現在は100%古紙パルプで製造されたものはほとんど流通しておらず、古紙配合率70%程度が多いようです。
また、漂白されたからといって真っ白ではなく、小さなゴミや繊維のようなものも残っていたりしますので、再生紙は少しくすんだ色に見え、手触りもバージンパルプのものに比べればツルツルではありません。
価格への影響
だいぶ大まかな説明になりましたが、ここまでの説明で分かる通り、再生紙の製造プロセスには非常に大規模な設備が必要です。人件費、時間、薬品などが使われています。
多くの設備や時間がかけられているということは、当然価格にも反映されてきますので、「再生紙」の方が高くなります。
環境への影響
では、環境についてはどうでしょうか?
再生紙はバージンパルプの使用率が少ないので、新しい木材の使用量が減ります。そういった意味では環境にやさしいと言えます。
しかし、先ほどご紹介した通り、再生紙を作る過程では、様々な薬品や洗剤など工業的には環境にやさしくないものが多数使われています。
木材の使用量という面では環境にやさしいですが、再生紙を作るためには環境そのものにダメージを与えかねない薬品を多数使用しなければならないという課題もあります。
まとめ
今回は再生紙についてご紹介しました。
再生紙の活用は木材使用量の減少につながりますが、薬品の利用などから完全に環境にやさしいとは言い切れないのが現実です。
本当に環境に配慮するのであれば、「必要な印刷物を、必要な数だけ作成する」、これに尽きると思います。
紙に限らずですが、私たち一人一人が自覚を持ち、環境を守るために何ができるのか、しっかりと考えることが大切ですね。