2015年11月30日

広告・販促の効果測定に最低限必要な8用語の意味と使い方

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

マーケティングには効果測定が必須!

チラシやDMなどの販促には、効果測定が必要です!

というお話はしてきましたが、効果測定に必要な用語や効果測定の方法についてはこれまであまり説明をしてきませんでした。

というわけで今回は、販促の効果測定に最低限必要な8つの用語の意味とその使い方に関してお話ししたいと思います。

効果測定は、いわゆるマーケティング分野の考え方が必要です。デザインや印刷や販促手法に強くても、マーケティング脳を持っていなければ意味がありません。

マーケティングとは、「ものを売るための仕組みを構築し、外部環境、内部環境などの市場特性に合わせて、ブラッシュアップをかけていく全体の行為」のことを言います。

つまり単純にものを売っただけではなく、データを集め、改善していく必要があるということです。この部分が効果測定です。

さて、それでは重要な効果測定用語をしっかりと押さえておきましょう。

効果測定用語1.反響率(反応率、レスポンス率)

反響率とは、資料請求や、問い合わせ、購買、来店など、何らかの反応があった率のことを言います。人によっては、反応率、レスポンス率で覚えている方もいるため、どちらも覚えておくと便利でしょう。

たとえば、10,000枚のクーポン付きチラシを配布して、来店を促したとします。最終的に、来店してクーポンを提示した顧客が80人だった場合、以下の式を用いてレスポンス率を計算します。

レスポンス率(%)=レスポンス数÷チラシ配布数×100

つまり、この場合のクーポン提示のレスポンス率は、80×100÷10000=0.8%、ということになります。

また、このチラシにしか記載していないフリーダイヤルにかかってきた電話が20人だったとします。

この場合のコールによるレスポンス率は、20×100÷10000=0.2%、ということになります。

クーポン提示者とコール者は、重複している可能性がありますが、別のレスポンス率として計測します。

効果測定用語2.コンバージョン率(CVR|Conversion Rate)

コンバージョン率(コンバージョンレートともいう)とは、購入や会員登録など、設定した目的に至った率のことを言います。

一般的には商品の購入が目的におかれますが、母数はさまざまです。

たとえば、チラシを配布した数に対してのコンバージョン率が知りたければ、以下の式を用います。

コンバージョン率(%)=コンバージョン数÷チラシ配布数×100

来店数に対するコンバージョン率が知りたければ、チラシ配布数を来店数に変えて計算します。

また、自動車保険などでよくある、無料見積りをレスポンス数においた場合、そのレスポンス数を母数にして、コンバージョン数を保険契約として計算することもあります。

この場合は、レスポンス数に対するコンバージョン率ではなく、無料見積りから契約に至った率「顧客化率」と呼ぶため、使い分けの注意が必要です。

効果測定用語3.CPR(Cost Per Response)

CPRとは、レスポンス1件あたりの獲得に費やしたコストのことを言い、以下の式で計算します。

CPR=売上÷レスポンス数

ただし売上と言っても、複数の売上手段を持った店舗や企業では、全体売上に占めるCPRを計算してしまうと販促による投資対効果がわかりにくくなってしまいます。

・チラシ配布であがった売上と費やしたコスト
・キャンペーンであがった売上と費やしたコスト
・サイト運営であがった売上と費やしたコスト

このようにわけて考えることで、投資対効果の測定を行いやすくしなければいけません。

効果測定用語4.CPO(Cost Per Order)

CPOとは、コンバージョン1件あたりの獲得に費やしたコストのことを言い、以下の式で計算します。

CPO=売上÷コンバージョン数

こちらも、コンバージョン1件と言っても全体のどのコンバージョンでも良いわけではなく、「チラシ配布の場合」「キャンペーンの場合」「サイト運営の場合」と、その性質をわけて考えなければいけません。

CPRとCPOは似ているようで大きく違います。CPRとCPOを比較することで、端的に以下のことがわかります。たとえば、

—–
9月のCPRが1,000円で、8月の2,000円を大きく下回り、非常に素晴らしいパフォーマンスだったにもかかわらず、CPOは10,000円から15,000円に上がってしまった。

つまり、顧客化率で言うと8月は5倍、9月は15倍で悪化している。
—–

この原因を探ることが、効果測定によって投資対効果を高めるために必要な考え方です。

もしかしたら季節要因かもしれませんし、店員の売り込み不足かも知れませんし、オファー(特典)の効果違いかも知れません。

効果測定用語5.BEP(損益分岐点|Break Even Point)

損益分岐点(BEP)とは、損益と利益の分岐に達するために必要なCPRやCPOの数値のことを言います。

この損益分岐点の見極めこそが、今行っているマーケティング施策を今後も継続していくべきか、やめるべきかという判断するための重要な指標になります。

たとえば先程の例で、以下の状態の場合、損益分岐点を見極めることは非常に難しいといえます。

—–
9月のCPRが1,000円で、8月の2,000円を大きく下回り、非常に素晴らしいパフォーマンスだったにもかかわらず、CPOは10,000円から15,000円に上がってしまった。

つまり、顧客化率で言うと8月は5倍、9月は15倍で悪化している。
—–

なぜならば、顧客化率が悪化した原因が判明していないためです。何ヶ月も運用をすることで、

・損益分岐点は、CPRで言うと1,500円である
・損益分岐点は、CPOで言うと12,000円である
・この場合の顧客化率は8倍である

このように、最適な損益分岐点を見極めることができ、CPRが1,500円を下回る、CPOが12,000円を下回る、顧客化率が8倍を下回ることを目指せば、利益が出ることになります。

効果測定用語6.LTV(ライフタイムバリュー|Life Time Value)

ライフタイムバリューとは、一人の顧客が購買期間において、企業にもたらす利益のことです。顧客生涯価値とも言います。

LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

ライフタイムバリューは上記の式で計算しますが、購買期間の算出が難しい商売がほとんどです。そのため、通常は1年とおいて計算します。

わかりやすいものは、月次課金が発生する商売です。たとえば、携帯電話や保険などが該当します。

携帯電話の単価7,000円×12回(月)×1年=84,000円

携帯電話に関しては、買い替え期間(キャリア変更)があまり起こらないことが予想できます。仮に、平均10年継続と仮定すると、

ライフタイムバリューは、840,000円ということになります。

ライフタイムバリューは投資対効果を図るうえで、非常に重要な数値です。ライフタイムバリューの考え方は、また別途説明します。

効果測定用語7.ROAS(ロース|Return On Advertising Spend)

ROAS(ロース)とは、販促費に対してどれくらい回収(売上)ができているのかを示す率のことを言います。たとえば、チラシを配布した場合以下の式でROASを計算します。

ROAS(%)=売上÷チラシ広告費×100

たとえば、チラシ販促費に200,000円費やし、250,000円の売上をあげた場合、

250,000÷200,000×100=125%

となります。これは、かけた広告費に対して売上が125%あがっているため、「広告費に対して1.25倍の売上をあげた」と表現します。

通常、単発の広告や販促はROASの値が100%を超えることはほぼありませんが、どの商売もそれで成立します。なぜなら、顧客はリピートを起こす可能性があるためです。

そのため、ROASはライフタイムバリューを合わせて考えます。

効果測定用語8.ROI(投資対効果|Return On Investment)

ROI(Return On Investment)とは投資対効果のことで、投資に対する回収率を表す指標のことです。この指標を用いることで、CPRやCPOの効果が妥当かどうかを合わせて確認します。

ROI(%)=(コンバージョン数×平均利益単価-チラシ広告費)÷チラシ広告費×100

平均利益単価とは、1個商品を販売したときに得られる平均的な利益のことです。

たとえば、100万円のチラシ広告費をかけて、平均利益単価が10,000円の商品が70個売れた場合、以下のようになります。

(70個×10,000円-1,000,000)÷1,000,000×100=-30%

上記の場合、-30%であるため、投資に対して効果が悪かった、マイナスを出してしまったということがわかります。このようにROIは、ROASとは違い、マイナスかプラスかで投資に対する効果を評価しています。

また、ROIは、主に投資全体に対する効果測定を行う数値として用いられることが多く、やはりライフタイムバリューを考慮しなければいけません。

注意点としては、ROIは、売上ではなく利益で効果測定を行うため、この数値がマイナスになる場合は、その投資を大きく改善、またはやめることを視野にいれなければいけないということです。

販促の効果測定8用語の意味と使い方まとめ

以上、販促の効果測定に必要な8つの用語とその使い方をご紹介しましたが、人によっては、全く頭に入ってこない方もいるでしょう。

マーケティング、特に効果測定とその改善行為には、向き不向きがあります。

効果測定は非常に重要なことであるため、適当に担当を選ぶのではなく、効果測定の考え方に向いている方が担当すべき業務だと思います。

これらの効果測定から導き出した数値は、その数値に至った理由が必ず背景にあります。

もし、この記事を読んでいる方が、自分はマーケティング向きで、効果測定方法やその評価に対して全く苦にならない、と思うのであれば、必ず全ての用語とその使い方を覚えておきましょう。

効果測定の方法や用語はこれだけではありませんが、通常のチラシやDM、または単純な効果測定を行う分には、これだけあればある程度事足ります。

以前、ダイレクトマーケティングの関連用語をご紹介しましたが、そちらも合わせて覚えておいてください。

ダイレクトマーケティングに関する重要用語33選