2023年3月20日

マニュアルと手順書はどう違う?手順書の作り方とポイント

この記事を読むのに必要な時間は約 2 分です。

業務効率化や人材育成に欠かせないマニュアル。「業務マニュアル」「営業マニュアル」「操作マニュアル」など、マニュアルにはさまざまな種類がありますが、「マニュアル」のほかにも「手順書」という言葉を聞いたことはありませんか?

「どちらも似ていて違いがよくわからない」「同じ意味で使っている」という方も少なくないと思いますが、実は少し違いがあります。

そこで今回は、マニュアルと手順書の違いと手順書の作り方についてご紹介したいと思います。

マニュアルと手順書の違い

マニュアルの中に手順書も含まれるケースもありますが、大きく分けるとマニュアルと手順書は「目的」「役割」「内容」という3つの違いがあります。

マニュアル手順書
目的人材育成、業務課題の達成
品質の向上、業務効率化
業務品質の維持、ミスの防止
役割業務の全体像を示し、理解を深める誰でもミスなく同じように作業ができる基準を示す
内容作業手順のほか、業務の基本知識、
概要・背景・ルールなど(比較的情報量が多い)
細かい業務手順、ポイント、
品質基準、注意事項など(比較的情報量が少ない)

目的

まず、マニュアルと手順書では、作成の目的が異なります。

マニュアルは、業務全体の理解を深め、人材育成や品質の向上、課題解決や目標達成などを目的としていますが、手順書は品質維持やミスの防止が主な目的となります。

マニュアルが業務全体や組織全体の目標達成を目指すものであるのに対し、手順書は一つひとつの作業の安定的な遂行を目指すものであると言えます。

役割

マニュアルは、業務の全体像を示して業務への理解を深めるという役割を持っています。そのため、手順やフローだけでなく背景やプロセスなども盛り込みながら、業務全体を俯瞰的に理解できるよう促します。

一方、手順書の役割は、誰でもミスなく同じように作業ができる基準を示すことです。理解を深めるというよりは実際の業務を問題なく遂行できるようにするという役割があります。

内容

マニュアルと手順書は目的・役割が違うため、記載する内容や情報の量も異なります。

どちらも業務に関する内容を記載する点は同じですが、マニュアルは作業手順のほかにも、業務の概要や背景、ルール、ノウハウなど、業務全般の情報を記載します。業務の全体像を示す要素の一つとして作業手順が載っているイメージです。

手順書は業務の中でも作業手順に重きを置き、フローや品質基準、注意事項をはじめ、より細かく具体的な内容を記載します。マニュアルに比べて情報の範囲が限定的で、内容が狭く深いのが特徴です。

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手順書作成のポイント

誰が読んでもわかるように書く

手順書は新入社員や異動してきたばかりの社員など、その業務に慣れていない人が読むケースが多いです。 略称や専門用語は極力避け、初めてその業務を行う人が読んでも理解できるように書きましょう。

また、文字だけでは手順がわかりにくかったり、すぐに理解できないこともあります。フロー図をはじめ、実際に作業を行っている写真や操作画面のキャプチャなど視覚的な情報を取り入れることによって、読み手側も作業手順をイメージしやすくなります。業務内容によっては動画を取り入れるのも効果的です。

手順書は、新人・ベテランを問わず何か困ったことがあったときに参照されるケースも多いため、ぱっと見てすぐに理解できるように、読み手の視点に立って言い回しや情報の伝え方を工夫しましょう。

細かく具体的に書く

手順書はより具体的に記述することが大切です。「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」という5W1Hを意識して書くようにしましょう。

「ライトが赤く点滅したら電源ボタンを5秒間押す」のように数字や見た目の目安も細かく記載しておくと、読み手はより正確に作業を実行しやすくなります。

その作業をした結果どのようになるのか、どうなれば正しく、どうなれば間違っているのか、という指標も示すと丁寧です。

情報を盛り込みすぎない

手順書は詳しく具体的に記載することが重要ですが、業務背景やプロセスなど、業務手順以外の情報を盛り込みすぎてしまうと、本来伝えたい情報がかえって伝わりにくくなってしまいます。

手順書はあくまで業務の品質維持やミスの防止が目的のため、記載する情報を絞り、端的にまとめるようにしましょう。

手順以外の情報を載せたい場合は、マニュアルと併用するのも一つの方法です。

手順書の作り方

1.業務を洗い出し、情報を整理する

マニュアルの場合はまず初めに目的や記載範囲を決める必要がありますが、手順書の場合にはすでに「誰でもミスなく同じように業務を遂行する」という目的と、記載する業務手順の範囲が決まっているため、業務の洗い出しと情報の整理からスタートします。

手順書に必要となるのは主に以下の内容です。工程ごとに細かい情報を洗い出したら、カテゴリ分けをしたり、時系列順に並べていきます。

・業務の手順
・各工程の目的
・各工程の準備、必要なもの
・具体的な作業内容、ポイント
・合否の判断基準
・注意事項、禁止事項
・イレギュラーな事態が起きた場合の対処方法

2.構成を作成する

洗い出した情報を整理できたら、続いては構成を作っていきます。作業工程ごとの階層化や見出しの作成など、目次を作るイメージで構成を練っていくと次第に手順書全体の骨組みが見えてきます。

初めにリストアップした作業内容の取捨選択や抜け漏れのチェックもこのタイミングで行います。不要な情報は削り、何を伝えたいのかがわかるようにシンプルな構成を意識しましょう。

3.原稿作成

構成ができたら時系列に沿って原稿を作成します。工程ごとに細かい手順やポイントなどを解説していきますが、冗長にならないようなるべく短い文章で端的にまとめることを意識しましょう。見出しや箇条書きをうまく使うのも効果的です。

必要に応じて、実際に業務を行うメンバーからのヒアリングも行います。図や写真、イラストなどもこのタイミングで準備しておきましょう。

一から作成するのが難しい場合にはテンプレートを活用するのもおすすめです。

▼以下の記事ではマニュアル作成で使えるテンプレートをご紹介しています。

4.内容をチェックしてもらい修正する

実際に手順書を使用する従業員に内容をチェックしてもらい、わかりにくい箇所がないかどうか、実際の手順との乖離がないかどうかフィードバックをもらいましょう。手順書作成者だけでなく複数人で確認することで、誤字脱字などの細かいミスも見つけやすくなります。

修正点があれば都度対応し、改善していきます。問題なければ手順書の運用を開始しますが、マニュアルと同じく一度作成したらそれで終わりではありません。定期的に見直しを行い、作業内容の変更・追加・削除など常に最新の情報を反映させることが重要です。

▼マニュアルの作り方については以下の記事でご紹介しています。

まとめ

今回は、マニュアルと手順書の違いと手順書の作り方、ポイントについてご紹介しました。

マニュアルとの違いを理解しておくと、手順書に盛り込むべき情報も明確になり、内容がブレることなくスムーズに手順書を作成することができます。

手順書を作成することで、業務効率化や品質の維持、ミスの防止などさまざまなメリットがありますので、ぜひ効果的に活用してみてください。

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