2015年7月21日
読まれるチラシを作るための4つのルール
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せっかく作ったチラシを読んでもらうには
私たちが印刷デザインをする際に気をつけることは、その印刷物の存在に注目を集めて、見た人に興味を持たせる工夫です。
印刷物は世の中に沢山あるため、まず最初にその印刷物の存在に気付いてもらわないと何が記載されているのかまで辿り着きません。これは以前にも話題にした内容です。
チラシやパンフレットの優れたデザインは、表現するサービスや商品に良い印象を与え、的確な情報を伝えることができます。ここで言う優れたデザインとは、
1.インパクトがあるグラフィックで、思わず目に入ってしまうデザイン
2.的確で読みやすい文字配置、タイポグラフィにより情報が伝わりやすいデザイン
3.何をすれば良いか、どうすればメリットが得られるかがわかりやすいデザイン何らかの商品説明をしたチラシであれば、この1→2→3の流れを追って、人は認識を深め、最終的に商品販売や売上などに繋がります。
チラシやパンフレットにインパクトのある写真やグラフィックを使ったり、大きくてわかりやすいキャッチコピーを配置するのは、注目を集めるためのDTPデザインの王道です。
しかし、せっかく興味を引いても、最も伝えたい情報を読んでもらえないと意味がありません。
もっとも重要な情報部分の文字組みは美しさだけではなく、読みやすさにも気を使います。文章が読みにくいと、いくら興味があって手に取ったものでも読みたくなくなってしまいますよね?
読みやすい文章を作ることは、グラフィックやキャッチコピーで強烈なインパクトを与えることと同じくらい重要なのです。
では、文章を読みやすくするためには、どのような工夫が必要なんでしょうか。
読まれるチラシのルール1.1行の文字数を意識する
文章には読みやすい文字数があります。もちろん、全体の文章が何文字なのかで、読みやすい読みにくいはあります。ただし、これは一概に◯◯文字~◯◯文字だと読みやすいとは規定できません。
印刷物の文字組みで私たちが気をつけなければいけないことは、印刷物を手に取った人に文章が読みづらいと思わせないことです。
ここで言う読みやすさの1つに、1行が何文字で構成されているかがあります。1行の文字数は少なすぎても、多すぎても読みにくくなってしまいます。
まず、1行の文字数が少なすぎると、行末から次の行頭への視線移動の回数が多くなって文章の意味がわかりづらくなってしまいます。
反対に1行の文字数が多すぎると、行末から次の行頭への視線の移動距離が長くなって次の行頭を探す行為が必要になってしまいます。
人間が1度に認識できる文字数は8~10文字程度と言われています。そのため、疲れずに理解しながら読める文字数は、縦組みの場合は30~40文字程度、横組みの場合は20~30文字程度が目安です。
ちなみに原稿用紙は縦が20文字です。また、WEBサイトの場合はちょっとルールが違ってきます。
読まれるチラシのルール2.文字の大きさと行間、カーニングを意識する
文章の読みやすさは、以下の要素にも左右されます。
・文字の大きさ
・文字と文字の間隔
・行と行の間隔
文字の可読性は文字サイズだけでなく、組版の幅や文字間、行間で異なりますし、対象年齢によっても左右されます。
文字サイズが小さいと文字の判読が難しく疲れますし、意味が理解しづらくなります。文字間が均一でない場合は文字を読むテンポが変わるため、無意識のうちに疲労を感じるようになります。
一般的に本文の文字サイズは8~10ポイント(1pt=0.35mm)が最適とされています。
行間は縦組みであれば、使用する文字サイズの60~100%程度が妥当だと言われています。つまり、文字サイズ8~10ポイントの場合、おおよそ6~10ポイント程度ということになります。
横組みの場合の行間は50~70%程度を目安にします。
もちろん対象年齢が上がれば文字サイズを大きくするのですが、その場合150~200%が目安になります。
ただし、文字サイズというのはフォントの種類によって大きく変わりますし、サイズが同じでも線の太さによって見た目も変わります。ここでは基本的なサイズ感と捉えてください。
読まれるチラシのルール3.フォントの種類を意識する
文章の読みやすさを考える場合、全体のデザインにも左右されますが、フォントも読みやすさを感じる要素の1つです。
フォントは、明朝系(欧文フォントの場合セリフ体)の文字とゴシック系(欧文フォントの場合サンセリフ対)の2種類にわけられます。
明朝系のフォントは1文字の構成に線の強弱があり、ゴシック系のフォントは1文字を構成する線の太さが均一という特徴があります。
明朝体の特徴
明朝体は、強弱があるため文字の形を判別しやすく正確に読めるため、疲れを感じにくい特徴があります。また、横線が細いため軽やかで明るい印象になります。長めの文章に使いやすいフォントです。
ただし、フォントが小さくなると線の細さのため、文字が判別しづらくなります。
ゴシック体の特徴
ゴシック体は線の太さが均一なので、明朝体に比べてインパクトがあり、目に入りやすい特徴があります。簡潔に要点を伝える文章やキャッチコピーに使われることが多いフォントです。
また、ある程度小さな文字でも読みやすいため、雑誌の本文や注釈などに使われやすいフォントです。
明朝体とゴシック体の使い分けが重要
DTPで使われるフォントは、明朝体とゴシック体を混ぜて使わず、なるべく同一のフォントで太さが異なるフォント(フォントファミリー)で表現するほうが統一感がでます。
文章のメリハリはフォントの大きさとウェイト(太さ)で調整するのが一般的で、読んで疲れない文章に仕上げることができます。
読みやすい文章のルール4.紙面に対する文字と図版の割合を意識する(図版率)
文章の読みやすさは文字とグラフィックなどの画像のレイアウトによっても変わります。
たとえば、文章だけでレイアウトされたチラシと画像と文章を組み合わせたレイアウトでは見た目の印象が変わり、画像がある分、文章が読みやすくなります。
このような画像の視覚効果による読みやすさの加重は、画像が占める面積と文章が占める面積の割合によって変化します。
この写真と文章の面積比のことを図版率と言います。たとえば、小説はたまに挿絵がありますが、図版率は0%、反対に絵本は図版率が高くなります。
読み物である本の場合、一般的に年齢層が低いほど図版率が高くなっていきます。
チラシやポスター、または冊子の表紙は、インパクトを与える画像や象徴する写真を使うため、年齢に関係なく図版率は高くなりますが、読みやすい図版率は50%~70%ほどだと言われています。
また、誌面広告や雑誌では図版率を50%前後にすると読みやすいと言われています。
読まれるチラシを作る4つのルールまとめ
今回は、主にチラシやポスターなどの「認知」というきっかけが必要な媒体を中心に、文章を読んでもらうための4つの決まりごとをご紹介しました。
1.縦横の1行に応じた文字数
2.文字の大きさや行間
3.使用するフォント
4.紙面に対する図版率
これら4つの決まりごとは、掘っていくとさらに気をつけなければいけない注意点やDTPテクニックがあったりします。もちろん、使用する媒体によってもそのルールは変わります。
そちらはまた改めてお伝えしていきたいと思います。
まずは、チラシやポスターなどで文章を読んでもらうために必要な4つの基本的な法則を覚えておきましょう。