2015年9月2日

文章の読みやすさを決める可読性、視認性、判読性とは

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文字の読みやすさを決める可読性、視認性、判読性

あなたが毎日見ているスマホ、新聞、雑誌、看板、あらゆる商品パッケージにはほぼ文字が表示されています。そして、文字を読むことで情報を取得しています。

私たちは子供の頃から文字の読み書きを学校で教わっているため、ほとんどの方が一般常識範囲内の文字の読み書きができます。

これを識字率と言います。

日本の識字率は世界一と言われていて、99.8%(男性99.9%、女性99.7%)の方が、文字の読み書きができます。

そんな日本であっても、書かれた文字が読みにくい、何て書いてあるのか判断できない、読み間違えてしまう、ということが日常的にあります。つまり、文字には読みやすさがあるということです。

この、文字の読みやすさや認識しやすさをあらわす用語を、「可読性」「視認性」「判読性」と言います。

もし、可読性、視認性、判読性という概念がなかったら、私たちは周りにある文字の認識が今よりも困難になるかもしれません。

今回は、文字の読みやすさをあらわす可読性、視認性、判読性の意味や特徴についてお話ししたいと思います。

可読性とは

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可読性とは、読みやすさの度合いを示しており、文字として認識できるかどうかのことです。

文字として認識するとは、パッとその文字列を見たときに理解しやすいこと、正確に早く読めること、疲労を感じないことの3つが必要です。

可読性を字体で考える

可読性を考える際は字体が重要です。たとえば、線が多い漢字を使うよりも、ひらがなを使った方が読みやすいでしょう。

例)
・繋がり
・つながり

ところが、ひらがなばかりだとだらだら書かれているように見え、逆に読みづらくなってしまいます。適度に漢字を交えて文章を書く方が可読性はあがります。

例)
・ぜんたいのつながりがひじょうにたいせつだということにきづきます。
・全体のつながりが非常に大切だということに気付きます。

また、線の太い字体を用いれば、文章全体に重厚感を与えることができます。ところが太い字体で長文を書いてしまうと、文章全体が重苦しくなり、可読性が下がってしまいます。

視認性とは

視認性とは文字の見えやすさの度合いを示すもので、見た瞬間に文字と認識できるかどうかのことです。

たとえば緑の紙に青い文字、白い紙に黄色の文字を書いても、文字として認識が難しくなります。この場合、視認性は低いということになります。

視認性を字体で考える

読みやすく感じる文字

字体でも縦線と横線の太さが違うものがあります。明朝体とゴシック体です。

明朝体は、強弱があるため文字の形を判別しやすく、正確に読めるため、疲れを感じにくい特徴があります。また、横線が細いため、軽やかで明るい印象になります。そのため、長めの文章に使いやすいフォントです。

ただし、フォントが小さくなると線の細さのため、文字が判別しづらくなります。

ゴシック体は、線の太さが均一なので、明朝体に比べてインパクトがあり、目に入りやすい特徴があります。そのため、簡潔に要点を伝える文章やキャッチコピーに使われることが多いフォントです。

また、ある程度小さな文字でも読みやすいため、雑誌の本文や注釈などに使われやすいフォントです。

参考:読まれるチラシを作るための4つのルール

たとえば、キャッチコピーの場合、大きな文字を使ってインパクトを与える必要があります。

一般的には、明朝体を使った方がインパクトを与えやすいと言われていますが、それは文字にリズムを与え、視認性が増すためです。

判読性とは

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判読性とは文章のわかりやすさの度合いを示すもので、誤読をさせず正確に文章の意味が伝わるかどうかのことです。

たとえば、専門用語や横文字ばかりを使った文章は非常に意味がわかりづらく、判読性が下がります。

判読性を字体で考える

判読性を字体で考える場合、気をつける点は、O(英語のオー)と0(数字のゼロ)の違い、I(英語の大文字アイ)とl(英語の小文字エル)、濁点と半濁点の区別などです。

わかりやすくするためには、ゴシック系(欧文フォントの場合サンセリフ体)字体よりも、文字に強弱がある明朝系(欧文フォントの場合セリフ体)字体を使うべきでしょう。

または、判読性をあげるために作られたUDフォント(ユニバーサルデザインフォント)を使うべきでしょう。

ユニバーサルデザインは、こちらをご参考に。

参考:ユニバーサルデザインとは?身近な事例と解説

可読性、視認性、判読性まとめ

私たちが多くの人に情報を伝えたい場合、一番ポピュラーな方法は文字で表現することです。

そしてこの方法は、今回ご紹介した可読性、視認性、判読性が低いと、一気に情報が伝わらなくなってしまいます。

せっかくがんばって作ったチラシや執筆した文章が、

「何だか文字がわかりづらいな、読むのやめとこ」
「何だか文字が見えないな、読むのやめとこ」
「何だか文章の意味がわからないな、読むのやめとこ」

このように判断されては非常にもったいない。

ちゃんと読んでもらえば良さはわかるはずだ!と思っても、そもそも読まれなければ意味がありません。

ところが、上記の判断は誰もが一度は行ったことがあるはずです。つまり私たちは、周りにある文章に対して、日常的に可読性、視認性、判読性を意識しているのです。

可読性、視認性、判読性に100点満点はありません。とは言え私たちは1人でも多くの方に情報を伝えられるように、可読性、視認性、判読性を高める要素を追い求めていかなければいけません。

印刷物の読みやすさを考える上でも、可読性、視認性、判読性は非常に重要です。こちらも参考にしてください。

参考: 読まれるチラシを作るための4つのルール