2020年12月29日
意外と知らない?助詞(てにをは)の正しい使い方とは
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たった一文字で意味やニュアンスが変わる!
突然ですが、以下の文章はどちらが正しいでしょうか。
・柿が食べたいです。
・柿を食べたいです。
実はどちらも正解です。
「が」は主語などと主に動作や行為、状態の主体を示します場合に使われますが、要求や願望の対象を示す場合にも使われます。
また、「を」は動詞と共に用い、動作の直接的な対象や知覚・思考活動の対象を示す他、移動時の経路や移動起点などを示す場合に使われます。
どちらも「柿」を対象とした「食べたい」という願望を示すために使われており、同じ意味となります。
一方、「が」と「は」など、どちらを使うかで意味が変わってくる場合もあります。
・私が行きます
・私は行きます
この場合、「が」は私という主体による行為(行く)を表すために使われますが、「は」は(他の人は行かないけども)私は行くという、他人と区別するための意味として使われます。
このように、たった一文字が違うだけで、意味やニュアンスが大きく異なってしまうのです。
このような「が」や「は」、「を」、「の」などのことを「てにをは」と言います。また間違った使い方をすることを「てにをはが合わない」とも言います。
「てにをは」の正しい使い分けは、文の意味を正確に伝えるために最も重要なものです。特にマニュアルなどは一文字違いで解釈が異なってしまい、ミスにつながることもあります。
「てにをは」とは
「てにをは」とは、いわゆる助詞の総称で、自立語句同士の関係を示したり、意味を添えて強調したりするものです。
助詞は付属語で、活用がない単語です。付属語とは必ず他の語の後ろに尽きます。
なぜ「てにをは」と呼ばれるのかというと、漢文を訓読する際に四隅につけられる乎古止点(ヲコト点)を左下から時計回りに読んだときに「てにをは」となることによります。
漢字では「弖爾乎波」「天爾遠波」などと書きます。
先述の例のように使い分けが曖昧であるため、普段は感覚的に使っている方も多いのではないでしょうか。
助詞の種類
助詞は以下の4つの種類に分けられます。詳細は割愛しますが、主にどんな働きをするのかを把握しましょう。
1.格助詞
格助詞は「が・を・に・へ・と・より・から・で・や・の」の9つ。主に名詞(体言)の後ろについて、その他の語との関係を示します。
例)桜が咲く(主語であることを表す)
ビールとおつまみを買う(並立の関係であることを表す)
2.接続助詞
接続助詞は、順接・逆説・単純接続の3つの働きがあり、主に活用語(用言・助動詞)について、前後の文節(または文)を繋ぎます。
「ば・と・て(で)・ので・から・ても(でも)・ところで・が・けれど(けれども)・のに・ながら・つつ・ものの・し・たり(だり)」などがあります。
例)終わらなければ帰れない(順接の働き)
何度やっても終わらない(逆説の働き)
3. 副助詞
取り立て助詞、取り立て詞とも言います。副助詞は20種類以上あり、代表的な例としては「は・も・こそ・さえ・でも・ばかり・など・か・だけ」などがあります。
色々な語に、強調や程度、例示などの意味を添えるために使われます。
例)みんなも頑張っている(同類の意味)
私だけ居残りだ(限定の意を表す)
4.終助詞
文末について、疑問や禁止、感動などの意味を表します。
代表的な例としては、「な(なあ)・や・よ・わ・こと・な・ぞ・ぜ・とも・か・の・ね(ねえ)・さ・かしら・もの・ものか」などがあります。
例)楽しいなぁ(感嘆や感動の意を表す)
これでいいかしら(疑問を表す)
混同しがちな「てにをは」はここに気をつけよう
先述のとおり、助詞は様々な意味を持つため、例え一文字であっても使い方を間違えると誤解を招くことがあります。
「は」と「が」の使い分け
・薔薇が咲いている
・薔薇は咲いている
どちらも主語の後ろにつく助詞ではありますが、ニュアンスが異なります。
「が」は格助詞、「は」は副助詞です。
「が」が主体の動作を示すことで明確な意味を持つのに対し、「は」はそれだけだと少し曖昧な印象を受けます。
(他の花は咲いていないけど)薔薇は咲いている、(他の花は枯れているけど)薔薇は咲いているなど、前提として知られている情報が必要になります。
この場合は「が」を使うほうがベストでしょう。
「へ」と「に」の使い分け
以下の文章はどちらが正しいでしょうか。
・北海道に行きます
・北海道へ行きます
どちらも格助詞ですが、「へ」は方向を示す場合に使い、「に」は動作の目標や移動の到着点を示す場合に使います。上記の場合、区別が曖昧であり、どちらを使ってもよいですが、文章内で統一して使用するのが望ましいでしょう。
ただ、「彼へ渡してください」より「彼に渡してください」のほうがしっくりくるように、「へ」は移動の方向を示す場合に使用するため、用途に限りがあります。
「より」と「から」の使い分け
以下の文章はどちらが正しいでしょうか。
・春より秋まで
・春から秋まで
「より」と「から」はどちらも起点を示す格助詞です。
しかし「より」は比較を示すときに使い、起点を示す場合は使わないほうがよいとされています。
公文書においても、時または場所の起点を示す場合は「から」を用いて、「より」は用いないと、定義されています。
つまり上記の場合は春を起点とするので、「から」を使うのが適切であるということになります。
意外と知らない?助詞(てにをは)の正しい使い方とは まとめ
今回ご紹介した内容以外にも、接続助詞を使い文章を長くしすぎて読みづらくなる、「の」を多用することで意味が伝わりづらくなるといった、正しく使えていない例はたくさんあります。
「てにをは」が正しく使えていないと、相手に正しく伝えることができません。
「は」と「が」は何が違うのか外国の方に聞かれたら、どう答えますか。
文法を改めて勉強していると、普段使っている日本語であっても、無意識に間違って使っていることに気付かされます。
改めてその意味と使い方を意識することで、より伝わる文章作成を目指していきましょう。