2016年6月10日
デザインするなら押さえたい「彩度・色相・明度」と視覚効果
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色の基礎を知ろう
印刷物やWebの制作には、基本的な色の知識を押させておきたいものです。
商材によっては適さない色は避けるべきですし、配色の相性や組み合わせによる視覚効果も考慮しなくてはいけません。
デザイナーと打ち合わせをする際にも色の基礎知識があると何かと便利です。
色彩検定という資格があるくらいですから、色に関する情報は膨大であり、奥が深いです。
そこで今回は、基本的な色の知識である色の三属性「彩度・色相・明度」と視覚効果などついてご紹介したいと思います。
色の三属性1.彩度
彩度とは、色の「鮮やかさ」を表す要素です。
同じ色でも、彩度が高い色ほど鮮やかに見え、低い色ほどグレーに近くなります。彩度がゼロの場合、色味がないので無彩色(黒や白、グレー)になります。
彩度対比
同じ色でも、隣接する色の彩度の違いによって、彩度が高く見えたり低く見えたりする効果を彩度対比といいます。
上図2つの画像はどちらも中心は同じ色を使っていますが、背景の彩度が低い左側の方が中心の色が鮮やかに見えます。逆に背景の彩度が高いと、中心の色はくすんで見えます。
色の三属性2.色相
色相とは、色合い(色味)や色調のことです。色相環とは、色相の総体を順序立てて円環にして並べたものです。
色相環で隣り合う色のことを類似色といい、反対側の色どうしが補色(ほしょく)の関係になります。
暖色と寒色
暖色とは、色の心理的効果により暖かみを感じる色、逆に寒色は寒さを感じる色のことです。
色相環のうち、暖色が赤紫〜黄、寒色が青緑〜青とされています。
暖色と寒色は、プロダクトデザインはもちろん、チラシやDM、ポスターなどの広告物にも意識的に使われています。
例えば、使い捨てカイロのパッケージデザインはほとんどが赤ですが、これは「暖かみ」を感じさせるためです。
色相対比
同じ色でも隣接する色の色相が変化して見える効果を色相対比といいます。
例えば、上図2つの画像はどちらも中心の色が同じオレンジですが、背景が赤だと黄色みのあるオレンジに見えます。逆に背景が黄色の場合、赤みのあるオレンジに見えます。
補色対比
同じ色でも補色同士を隣接させると、どちらの色も彩度が増したように見える効果を補色対比といいます。
上図2つの画像は、中心の色は同じ黄色ですが左側は背景が類似色の緑、右側は補色の紫です。どちらが鮮やかに見えるかは明白ですね。
色の三属性3.明度
明度とは、「明るさ」を表す要素です。色相や彩度が同じであっても、明度が低いほど黒っぽく、高いほど白く明るい色になります。
例えば上図のように、明度が高いほど、白っぽくぼやけた印象になります。
明度対比
同じ色でも、隣接する色によって明度が高く見えたり低く見えたりする効果を明度対比といいます。
例えば上図2つの画像、左側の中心の色と右側の背景色は同じ色ですが、左側は暗く右側は明るく見えます。
無彩色と有彩色
色の三属性に関連するため、「無彩色と有彩色」について簡単にご紹介します。
無彩色とは白やグレー、黒などの色みのない色をいいます。無彩色には色相と彩度がなく、明度のみで表される色です。
有彩色は無彩色と違い、わずかでも色みのある色をいいます。有彩色には明度だけでなく色相、彩度全ての属性があります。
有彩色では、この三属性のそれぞれの値を示すことによって、特定の色をいい表すことができます。
進出色と後退色
暖色や明るい色は近くに感じるため、進出色と言われています。
また、彩度が低い色、暗い色や寒色は遠くに感じることから、後退色と言われています。
収縮色と膨張色
収縮色とは、寒色や黒などの実際より小さく細く見える色です。後退色も収縮色です。
膨張色とは、暖色や白など実際より広がって大きく見える色です。進出色も膨張色です。
洋服のコーディネートでも白は太って見え、黒は痩せて見えると言われています。
色の三属性「色相、彩度、明度」と視覚効果 まとめ
ご紹介したように、色によって様々な視覚効果や心理効果があり、このような効果はさまざまなプロダクトデザインや広告に活かされています。
いくら素敵な画像を使っていたり、センスのあるレイアウトであったりしても、色の使い方一つで印象に残らないデザインや違和感のあるデザインになってしまうことがあります。そのため、色の基本知識は大事なのです。
また、色には商材が持つイメージや業界によるイメージというのもあります。
参考:
ITは青、食品は赤…業界別に見るイメージカラーやデザインとは
色に関する情報は膨大ですが、少しでも知っておくと広告制作だけでなく、洋服やインテリアのコーディネートにも役立ちます。
部屋の中のインテリアも色の使い方次第で、狭く見えたり広く見えたりします。
チラシやDMを作る際も、色が与える印象や視覚効果を念頭に、配色を考えてみましょう。