2025年3月27日
漢字?ひらがな?使い分けに迷ったときの7つのポイント

目次 ▼
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文章を書いていると、「漢字とひらがなのどちらを使っても間違いではないものの、どちらの表記が適切なのか」と迷ったことはありませんか?
人によって感覚や判断基準は異なりますが、一つの文章内で漢字とひらがなが混在していると、読み手に読みにくい印象を与えてしまいます。
一つの文章や冊子の中で、同じ意味にもかかわらず複数の表記が混在していることを「表記ゆれ」と言います。
表記にばらつきがあると、読者の混乱を招き、読みやすさや理解しやすさが損なわれる可能性があります。
引用:表記ゆれを防ぐには?表記統一で気を付けたい9つのポイント
特に、漢字とひらがなの使い分けは表記ゆれが生じやすいため、よく使う語句については、あらかじめ使い分けのルールを決めておくとよいでしょう。
そこで今回は、漢字とひらがなの使い分けのポイントについてご紹介します。
なお、漢字とひらがなの使い分けについて絶対的なルールはなく、どちらを使っても間違いではありませんので、あくまで目安として参考にしてみてください。
▼表記ゆれを防ぐポイントについては、以下の記事でもご紹介しています。

漢字とひらがなを使い分けるポイント
一般的に、文章内の漢字とひらがなの割合は「漢字30%:ひらがな70%」が読みやすいとされています。
PCで文章を入力していると、つい漢字に変換してしまいがちですが、漢字が多すぎると読みにくくなり、硬い印象を与えてしまいます。
以下のポイントを参考にしながら、漢字とひらがなのバランスを意識して使い分けていきましょう。
1.常用外漢字はひらがなで書く
常用漢字とは、一般社会において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安として、1981年に内閣告示・訓令された漢字のことです。
漢字とひらがな、どちらの表記にするか迷ったときには、この常用漢字表を判断基準の一つにするとよいでしょう。例えば、「飴」「薔薇」「繋ぐ」「揃う」などの漢字は常用漢字に含まれていないため、ひらがなで表記されることが一般的です。
ただし、常用外漢字であっても、人名や地名などの固有名詞、一般的に使われている漢字、ひらがな表記にすることでかえって読みにくくなる場合は、ルビを振るなどの工夫をするとよいです。あくまで読み手にとっての読みやすさを優先しましょう。
▼常用漢字は、文化庁のWebサイトで確認することができます。
2.形式名詞はひらがなで書く
形式名詞とは、「こと」「もの」「とき」など、実質的な意味を持たない名詞のことです。「おいしいもの」や「楽しいとき」など、主に連体修飾語と一緒に使われますが、これらの形式名詞はひらがなで書くのが一般的とされています。
以下、ひらがなで書く形式名詞の一例です。
ひらがな | 漢字 |
もの | 物 |
こと | 事 |
とき | 時 |
ため | 為 |
ところ | 所 |
うち | 内 |
わけ | 訳 |
はず | 筈 |
ほう | 方 |
とおり | 通り |
うえ | 上 |
たび | 度 |
よう | 様 |
一方で、「上の階」「北の方」「駅前の通り」など、それぞれ「上下」「方角」「道」という実質的な意味を持つ場合には、漢字表記が適しています。
3.接続詞はひらがなで書く
文と文をつなぐ接続詞は、基本的にひらがなで表記するのが一般的です。
接続詞をすべて漢字で書くと、漢字が連続して読みにくくなるためです。
ひらがな | 漢字 |
あるいは | 或いは |
かつ | 且つ |
さらに | 更に |
しかし | 然し |
したがって | 従って |
ただし | 但し |
ついては | 就いては |
なお | 尚 |
また | 又 |
ゆえに | 故に |
よって | 依って/因って |
ただし、公用文の場合は、以下のように漢字で書くことが推奨されている接続詞もあります。
ひらがな | 漢字 |
および | 及び |
ならびに | 並びに |
または | 又は |
もしくは | 若しくは |
▼公用文の表記ルールについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
4.補助動詞はひらがなで書く
「買ってくる」「やってみる」「伝えておく」など、本来の意味を持たずに動詞の補助として使われる動詞のことを補助動詞と言います。
補助動詞は使用頻度が高く、漢字表記にすると文章全体の漢字の割合が増え、読みにくくなります。そのため、基本的にひらがなで表記するのが望ましいでしょう。
ひらがな | 漢字 |
いく | 行く |
おく | 置く |
くる | 来る |
みる | 見る |
いたします | 致します |
いただく | 頂く |
ください | 下さい |
一方、「学校へ行く」「荷物を置く」など、本来の動詞としての意味を持つ場合は、漢字で表記します。
5.一部の動詞はひらがなで書く
先述のとおり、本来の意味を持つ動詞は漢字で表記しますが、読みやすさを考慮して、以下のように一部ひらがな表記が推奨される動詞もあります 。
ひらがな | 漢字 |
ある | 有る/在る |
いる | 居る |
できる | 出来る |
なる | 成る |
わかる | 分かる |
「できる(出来る)」は、「出来事」や「上出来」といった名詞や形容動詞として使う際には、漢字で表記するのが一般的です。
6.副助詞はひらがなで書く
副助詞とは、「くらい」「まで」「ほど」など、語句の後ろに付いて意味を補足する助詞のことです。
副助詞は「東京駅まで」「1時間くらい」のように漢字の後ろに付くことが多く、「東京駅迄」「1時間位」と表記すると漢字が連続して読みにくくなるため、一般的にはひらがなで表記します。
ひらがな | 漢字 |
くらい | 位 |
ころ | 頃 |
など | 等 |
まで | 迄 |
ほど | 程 |
7.副詞はひらがなで書く
副詞は、名詞以外の語句をより詳しく説明する役割を持ちます。「既に」「全く」「次第に」など、漢字で書かれることもありますが、一般的にはひらがなで表記することが多いです。
ひらがな | 漢字 |
あまりに | 余りに |
いたって | 至って |
いったん | 一旦 |
いまだに | 未だに |
おおいに | 大いに |
おそらく | 恐らく |
さまざまな | 様々な |
しだいに | 次第に |
しばらく | 暫く |
ずいぶん | 随分 |
すでに | 既に |
すべて | 全て |
たいへん | 大変 |
ともに | 共に |
ほとんど | 殆ど |
まったく | 全く |
もっとも | 最も |
わずか | 僅か |
ただし、公用文の場合には漢字で書くことが推奨されている副詞もあります。
まとめ
今回は、漢字とひらがなの使い分けのポイントについて、特にひらがなで表記すべき語句を中心にご紹介しました。
冒頭でもお伝えしましたが、「必ず漢字/ひらがなで書かなければいけない」という絶対的なルールはありません。掲載する媒体やターゲットによっても、最適な表記は異なります。
読み手がスムーズに読めるように、文章全体のバランスや読者層などを考慮しながら、使い分けのルールを決めていきましょう。
