2020年10月28日
Withコロナにおける社内コミュニケーションの形とは?存在価値を問われる社内報と電子化のメリット・デメリット
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4月の緊急事態宣言からはや半年が過ぎ、在宅勤務、テレワークもすっかり普及しました。
毎日までとはいかなくても、週に数日はテレワークを実施する企業も多いと思います。
しかし、労働生産性の向上は見られるものの、労働管理や社内のコミュニケーションに不安を覚えるマネジメント層も少なくないはずです。
実際、企業広報戦略研究所(電通PR社)が今年4月実施した企業向けアンケート調査では以下のような結果が得られました。
「今後の1カ月程度の間、企業コミュニケーションについてあなたはどのような検討が必要と考えますか(複数回答)」という質問に対し、2位の結果に注目すると、「労働環境の変更による従業員ストレスへの配慮」(69.8%)とあります。
多くの企業が、コロナ禍における労働環境が従業員に大きなストレスを与えていることを認知しており、それを如何にフォローするかを重視しているようです。
また、日経BPコンサルティングによるアンケート調査でもこのような結果が出ています。
「新型コロナの影響による、企業内のコミュニケーション課題」(複数回答)という質問に対し、「上司・同僚・部下の行動が見えない」の次に多かったのが「社内で気軽な会話ができない」という課題でした。
出典: 1500人緊急調査「コロナで変質した企業内・企業間コミュニケーション」
確かに、テレワークではちょっとした雑談など業務以外に関する会話がしづらい環境にあると言えます。
ちなみに以前、弊社代表にテレワークのデメリットに関する質問をしたところ、以下のような回答がありました。
直接会話ができない社員が増え、寂しい(笑) また、気づいた時に社員とコミュニケーションがとれていたのがチャット等で相手にアクセスしないといけないという点がデメリット。 社員の様子がうかがい知れない点も気がかりとなった。
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このように、テレワークにおけるコミュニケーション不足は、様々な企業の共通課題といえます。
もちろん、コミュニケーション不足を解決するべくICTツールを活用する企業も少なくありません。しかし、従業員にとっては「わざわざツールを使ってまで雑談をする」というのはなかなかハードルが高いように思えます。
特に人事異動したばかりの従業員や新入社員にとって、上司や同僚と直に接する機会のない状況が続くのは、好ましいとは言えません。
「どこまで踏み込んで話して良いのかわからない」、「上司の人となりがわからない」などの理由から、「会話に入っていけない」「相談できない」と孤立を高めていく原因ともなります。
「コロナうつ」という言葉が生まれる背景には、このようなコミュニケーション不足による孤独感やストレスによるものなのかもしれません。
さまざまな原因が考えられますが、最大の要因は精神的な孤立、孤独感だと考えられます。ひとり暮らしであれば、誰とも会わない日々が多くなります。毎日のように顔を合わせていた会社の同僚たちとの交流も途絶えがちとなります。こうしたなかでは、コロナ禍による将来への不安が増すばかりです。
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さて、前置きが長くなりましたが、このように社内コミュニケーションが希薄になるなかで、社内報を活用する企業も増えてきました。
ニューノーマルでの取材がなかなか難しいなか、社内報への取り組みは、一定の効果を得ているようです。
また、これを機に電子化(Web化、アプリ化)へ舵を切り、コミュニケーションを活性化する企業もあります。
そこで今回は、電子社内報のメリット・デメリットをご紹介したいと思います。
電子社内報のメリット1.すぐに更新できる
当然といえば当然ですが、紙との大きな違いは、更新性の高さです。
紙のように印刷・配布までのタイムラグもなく、最新の情報をすぐに更新できるため、情報の劣化を防ぐことができます。
またスマートフォンアプリであれば、プッシュ通知などで更新情報をすぐに知らせることができるため、従業員側も最新情報にアクセスしやすくなります。
電子社内報のメリット2.すぐに修正できる
紙と違い、誤字脱字などをすぐに修正できる点も電子化のメリットの一つです。
誤字脱字の修正だけではありません。
例えば、取材時と掲載時で、対象者の所属部署や肩書が変わってしまった場合、紙の場合は修正が間に合わないこともありますが、Webやアプリの場合は、すぐに対応することができます。
もちろん校正はしっかりと行わなければなりません。
電子社内報のメリット3.社員参加型のコンテンツが作れる
Webやアプリの場合、 アンケート機能や掲示板の設置、コンテンツに対する評価機能やコメント機能など、双方向性の高い参加型コンテンツができるのも強みと言えます。
しかし、このような機能は諸刃の剣であり、ネガティブな評価やコメントがつく場合もあります。
評価やコメントを制御することも可能ですが、できるだけオープンな場にしたいものです。
電子社内報のメリット4.フィードバックが早い
Webやアプリは解析ツールがあり、PVなどの閲覧記録から、たくさん読まれた記事、あまり読まれてない記事などがすぐにわかります。
人気コンテンツや反響を調べたい場合、誌面アンケートでは(強制でない限りは)回収率が低く、集計にも時間がかかります。
その点、Webやアプリの場合は解析結果がすぐにわかるため、読者の反応を反映したコンテンツ作りや、ページ全体のブラッシュアップ材料として活用できます。
電子社内報のメリット5.印刷代や送料がかからない
電子版と紙との大きな違いは、印刷代がかからないこと。
全国に支店や支社がある企業の場合でも、紙のように配布するための送料がかかりません。
最大のメリットといえるでしょう。
続いてはデメリットをご紹介しましょう。
電子社内報のデメリット1.更新頻度が高く負担増も
季刊発行の多い社内報ですが、電子版の場合、更新頻度が高くなる傾向にあります。
電子版とはいえ、取材や編集が必要なことは紙と変わりません。担当者への負担が大きくなることも考えられます。
専業の更新担当の任命や制作チームの設置など、電子版発行へ切り替えの際は社内体制を整える必要も出てくるでしょう。
電子社内報のデメリット2.初期費用(システム構築費用)が高い
Webでもアプリでもそうですが、システム構築にはそれなりの費用がかかります。
また一般的なWebやアプリと違い、従業員や関係者のみが閲覧できるよう、アクセス制限やセキュリティ対策も必要です。
一方、サーバー費用やシステム保守費用などはかかりますが、都度の印刷代と比べれば、ランニングコストは低く抑えられるでしょう。
電子社内報のデメリット3.読まれているかどうかが可視化される
紙の社内報は、コンテンツへの評価や反響がわかりにくいという一面がありますが、電子版の場合は、読まれていることも読まれていないことも可視化されてしまいます。
結果によっては、厳しい評価をもらうこともあるでしょう。
Web化した社内報を紙に戻したパナソニックのような例もあります。
しかし、アクセス解析ができる分、改善がしやすいという面もあります。アクセスが面倒、UI/UXが良くない、コンテンツが良くない…理由は様々ですが、仮説検証を繰り返し、PDCAを回していく必要があります。
このように、評価が如実に現れるため、編集担当者としては、常に緊張感を持って取り組む必要があります。
Withコロナにおける社内コミュニケーションの形とは?存在価値を問われる社内報と電子化のメリット・デメリット まとめ
紙の場合は、コンテンツへの一覧性が高く、手にとりやすい、従業員が自宅に持ち帰って家族に見せることもできる、などのメリットがあります。
また電子化の場合、従業員のITリテラシーの度合いによっては普及が難しい側面もあります。
しかし、テレワークの時代、なかなか従業員の手元に届きにくいこともあり、電子化の波も避けられない状況にあります。
会社の規模感や業種、従業員のリテラシーなどを踏まえ、どちらが会社に合っているのかや、切り替えのタイミングを見極めていきましょう。