2020年8月20日

マニュアルと取扱説明書(トリセツ)の違いとは?

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

先日、Twitterでこんなツイートが話題になりました。

「いかに誤読の可能性を無くすか」書いた文章が読みづらいと思ったら、ちょっとした”危険物の取扱説明書”を参考にしてみてという話

ツイートにもあるように、取扱説明書、とくに危険物のそれにおいては、シンプルで短い文章にするなど、誤読させないための工夫が随所に見られます。

このような危険マークも取扱説明書では目立つ箇所に配置されています。

また危険物以外においても、取扱説明書はユーザーからのクレームの発端になることも多く、その作成には十分な検証が必要です。

ちなみに、取扱説明書や仕様書を執筆するための文章技術をテクニカルライティングといい、民間検定もあるほどです。

さて、前置きが長くなりましたが、あなたは取扱説明書とマニュアルの違いをご存知でしょうか?我々にはどちらも制作依頼がありますが、ここで一度整理して解説してみたいと思います。

また手順書や規範、規定についても解説します。

マニュアルとは

マニュアルの定義とはなんでしょうか。

以前掲載した記事では、マニュアルを以下の3つに定義しています。

1.経営者の責任で扱われる文書

2.管理者の責任で扱われる文書

3.行動指示書(マニュアル)

参考:マニュアルの目的とは?作成・運用で意識すべきこと

1については主に企業全体におけるマニュアルであり、例としては、社是、社訓、経営理念につながるための文書などが挙げられます。

2は、個人情報保護に関する文書、営業規則など、従業員が会社の業務を営むために規範とするための文書が挙げられます。

3は、一般的にマニュアルと呼ばれているものですね。操作マニュアルや業務マニュアルなどが挙げられます。手順書や手引き書と言われるのもこちらですね。

つまり、マニュアルとは、規範、規定、行動指示を明文化したものです。

取扱説明書とは

取扱説明書とは、機器や道具などの操作方法やどのように扱うのかを説明している文章、冊子などを指します。
操作マニュアルや商品マニュアル、製品マニュアル、操作手順書とも呼ばれる場合があります。
つまり取扱説明書はマニュアルの種類の一つ、と言えます。

ちなみに英語でも取扱説明書は「instruction manual」と訳します。

マニュアルが、業務プロセスやフロー、ノウハウ、製品やサービスの説明に至るまであらゆる行動範囲の指示書であるのに対し、取扱説明書はあくまでもモノに対する操作や取扱い方を説明する文書です。

ちなみに、取扱説明書のメインは使い方、扱い方ですが、説明を行う対象によって掲載する内容は異なります。

取扱説明書を作成するにあたっては、以下のような留意点が必要です。

・製品(機器や道具)の概要
・既存製品との相違点
・想定市場と市場におけるポジショニング
・できること・できないこと(機能と制限事項)
・想定されるトラブル
・技術仕様

手順書とは?

またよく似た言葉に手順書というものがあります。

言葉どおり、業務や作業の手順が段階ごとに記載された文章です。これもまたマニュアルの種類の一つです。

目的は作業の標準化、つまり属人化を防ぐものです。

誰が作業をしても同じ質の作業を実行することができるように、一つ一つの作業を明確化します。

こちらは作業標準書などとも言われています。

規範と規定について

続いて、ビジネスにおける「規範」と「規定」について考えてみたいと思います。これもまたマニュアルの一部です。

「規範・規定」と共にくくられることも多いこのキーワードですが、先述したマニュアルの定義のうち「1.経営者の責任で扱われる文書」が規範、「2.管理者の責任で扱われる文書」が規定に当てはまるかと思います。

規範を辞書で引くと「行動や判断の基準となる模範。手本。」とあります。

つまり規則や規定の元となる考え方で、社内全体が共有すべき経営理念や経営指針、コンプライアンス憲章などがこれに該当します。

規定とは、物事の仕方や手続き、また概念などを、一定の形に定めること、または内容のことです。ビジネスにおいては、営業規則やプライバシーポリシーなど、業務や物事のルール化された文章を指します。

マニュアルと取扱説明書(トリセツ)の違いとは?まとめ

取扱説明書とマニュアルの違い、ご理解いただけたでしょうか?

マニュアルという言葉には、取扱説明書や細かなタスクの手順書を意味するものもあれば、業務全体のフローをまとめたもの、経営理念やミッションステートメントなどの規範を記した文書まで、様々な形が存在します。

ビジネスの現場でマニュアルといえば、営業マニュアルや作業手順書などの業務マニュアルを指すことがほとんどでしょう。

業務マニュアルの場合は、フローをまとめるだけでなく、経験者によるノウハウやTipsなどを標準化する目的も含まれるため、情報量もそれなりに多くなります。

しかし目的さえ明確であれば、マニュアルづくりは難しくありません。(もちろん、手間や時間はかかります!)

参考:マニュアルの目的とは?作成・運用で意識すべきこと

また取扱説明書の作成方法についてもこちらで解説しています。ぜひ参考にしてみてください。