2015年9月9日

マニュアルの目的とは?作成・運用で意識すべきこと

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意外と知らないマニュアルの効果

マニュアルの作成は、業務の効率化、定型化、標準化のために重要だということは誰もがご存知だと思います。

しかし、マニュアルが会社にとって、どのような位置付けで、どのように定義付けられるものなのかまで考えて、作成、運用している方はなかなかいないのではないでしょうか。

企業ではさまざまな文書が用いられますが、その中でマニュアルの位置付けと役割を理解しておくことが、効果的なマニュアルの作成と運用に直結します。

そして、マニュアルによって更に得られる効果も実感できるはずです。

そこで今回は、マニュアルとは何なのか、社内文書としての立ち位置や作成・運用について注意すべき点をご紹介します。

マニュアルとは

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マニュアルを作るためには、まず企業内文書におけるマニュアルの位置付けを明確にしなければいけません。企業内には、文書体系として次の3つがあります。

1.経営者の責任で扱われる文書

たとえば、社是、社訓、経営理念につながるための文書のことです。これは、経営者自信の経営哲学や経営方針に基づいて作成される文書であるため、一社内文書であっても、経営者の判断を仰がなければ改定することはできません。

会社のアイデンティティ決定する文書であるため、全社員の行動規範となっています。

2.管理者の責任で扱われる文書

たとえば、個人情報保護に関する文書、営業規則など、従業員が会社の業務を営むために規範とするための文書のことです。

社内における公的文書から、社外との取り引きに使用する文書まで、さまざまな文書を規範、規定を目的として文書化されています。

3.行動指示書(マニュアル)

行動指示書のことで、一般的には業務マニュアル、作業マニュアルと呼ばれています。マニュアルとは、何らかの一連の行動を初心者に対して示し、教えるための文書のことです。

セールス(営業)マニュアルとは?業務内容や役職 にみるそれぞれの目的と役割

ただし、マニュアルの概念はもっと広く、物事の根幹の考え方や規範、規定を記した文書を含む場合があるため、「経営者の責任で扱われる文書」、「管理者の責任で扱われる文書」、「行動指示書」の3つを合わせてマニュアルと呼ぶ場合もあります。

マニュアル作成・運用で意識すべきこと

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企業におけるマニュアルの位置付けが分かったところで、マニュアル作成・運用で意識すべきことについて考えてみましょう。

1.マニュアルは会社全体との関連性が重要

マニュアルを作る際に最も意識することは、マニュアルはあくまでも社内文書の一部であり、独立した文書ではないということです。

マニュアル作成には、会社組織、経営システムと、規範、規定、行動指示の関連性の把握が必要です。

ここを十分に把握しないままマニュアル制作をしてしまうと、会社内部の仕組みとかけ離れたマニュアルになってしまい、現実に則した運用ができなくなってしまいます。

2.マニュアルは実使用者との関連性が重要

マニュアルは、規範、規定、行動指示を明確にしたものであるため、常に正しく検証されなければいけません。そのため、マニュアルの管理組織が設置されることが望ましいでしょう。

また、マニュアルの管理組織は、経営者、管理者の責任において管理されなければいけません。マニュアルを信用して利用する一般従業員に対して、その上司が勝手な解釈でマニュアルの意義をねじ曲げることを防ぐためです。

3.マニュアルは評価と信頼を求める指標

マニュアルは単なる文書であるため、経営者、管理者は、利用する一般従業員に対する意味付けを行わなければいけません。

このマニュアルが、会社にとって何をするためのものなのか、どうすれば会社のメリットが生まれるのかを意識させることで、経営者、管理者が何を望んでいるかがわかります。

この意味づけにより、マニュアルは、経営者、管理者が従業員を評価する指標の1つになる、と意識させることができます。

マニュアル作成・運用で意識すべきことまとめ

恐らく、マニュアルを疎かにしている方も多いと思いますが、社内文書としては、経営者、管理者の文書と同様に、社内規範に則した形で作られるため、非常に重要な文書なのです。

そのため、マニュアル作成は、単純に機械やシステムのオペレートを文書化するだけではなく、社内のルールを考慮した上で作成しなければいけません。

また、マニュアルは従業員のおおまかな作業を標準化するためのものでもあります。ここに一上司の私的な見解が入ることを防ぐ必要があります。

さらに、マニュアルには必ず意味があり、どのように扱えば会社のメリットが生まれるかの指標があります。そのため、経営者はこれを厳しく管理し、マニュアルによって成果が上がっているのかを把握しなければいけません。

これは、従業員にとっては1つの評価手法になりますし、マニュアルによって体系化された評価手段があるということは、会社や経営者に対する信頼を生む効果があります。

これまで、これらのことを意識せずにマニュアル整備を進めてきた方は、安直なマニュアルでは逆効果になる場合がある、ということを理解しておきましょう。

マニュアル利用者の目線を持ち、明確なコンセプトを設定し、正しく使われているか細心の注意を払って管理をすることで、マニュアルによる恩恵は今まで以上のものになるはずです。