2025年5月22日
インタビューとヒアリングの違いとは? 目的と活用例、実施時のポイントを解説

目次 ▼
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ビジネスシーンでよく使われる「インタビュー」と「ヒアリング」。どちらも「相手から話を聞く」という点では同じですが、実はその目的や進め方には大きな違いがあります。
両者の違いを理解しておくことで、より質の高い情報収集が可能となり、成果にも直結します。
今回は、「インタビュー」と「ヒアリング」の違いや、それぞれの具体的な活用シーン、実施時のポイントについてご紹介します。

インタビューとは?
インタビューは、特定のテーマに基づいて相手に質問し、考えや体験を引き出しながら情報を集める手法です。主にメディア取材や広報、採用などの場面で活用されます。
インタビューの主な目的は、「相手の意見や経験を深く掘り下げ、それを第三者へ伝えること」です。聞き手(インタビュアー)が主導権を握って進行することが多く、質問を通して話し手(インタビュイー)のリアルな思いや背景を引き出すことが重視されます。
インタビューには、主に以下の4種類があり、目的や内容に応じて使い分けることが効果的です。
・Q&A形式
・座談会形式
・モノローグ形式
・ルポ形式
▼インタビューの形式については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
ヒアリングとは?
ヒアリングは、「現状の把握」や「課題の洗い出し」といった具体的な目的達成のために、必要な情報を収集する手法です。顧客との打ち合わせやマニュアル作成など、実務に直結する場面で広く活用されます。
ヒアリングの主な目的は、「相手の状況や要望、課題を把握し、それをもとに提案や改善につなげること」です。話し手に自由に話してもらいながら、聞き手が情報を整理していくというスタイルが一般的です。
インタビューとヒアリングの違い
「相手から話を聞く」という点では共通しているインタビューとヒアリングですが、その目的や進め方、アウトプットには大きな違いがあります。ここからは、その違いを具体的にご紹介します。
目的
インタビューは、相手の考え方や価値観、経験などを深く掘り下げ、それを第三者に伝えることを主な目的としています。例えば、採用ページの社員紹介や広報誌の記事など、社内外への情報発信が前提となるケースが中心です。
一方、ヒアリングは業務に必要な情報を正確に収集し、業務改善や提案に活用することが目的です。マニュアル作成や顧客への提案など、業務プロセスの一環として行われます。

質問内容
インタビューでは、事前に用意した質問をベースに、体験談や感情を焦点を当てて話を引き出します。そして、会話の流れに応じて柔軟に質問を追加し、深掘りしていくことが多いです。
一方のヒアリングでは、目的に応じて質問内容をあらかじめ用意しつつも、対話形式で話し手から目的達成のための情報を引き出します。例えば、営業活動における顧客へのヒアリングでは、顧客の業務内容や課題を聞く中で、顕在化していないニーズが見えてくることもあります。
得られる情報
インタビューで得られるのは、話し手の考えや感想、体験談などの主観的な情報が中心です。話し手の意見や経験を深掘りすること自体がインタビューの目的でもあるため、こうした個人的な視点が重視されます。
一方、ヒアリングは、業務改善や課題整理などに活用されることが多く、現状や課題といった客観的な情報が求められます。話し手の主観が含まれることもありますが、基本的には事実や実態を聞き取ることがメインです。
アウトプット
先述のとおり、インタビューは第三者への発信が前提となっているため、インタビューで得た情報は、読者にわかりやすいように編集され、記事やメディアとして社内外に発信されるのが一般的です。
一方、ヒアリングで得た情報は、業務改善や提案、資料作成など、内部的な目的に使われることが多く、外部への発信を前提としないケースがほとんどです。
このように、インタビューは「ストーリー性」や「共感性」が重視され、ヒアリングは「正確性」や「目的達成」が重視される情報収集と言えます。両者の違いを理解し、目的に応じた手法を選ぶことが、質の高いアウトプットにつながります。
インタビュー | ヒアリング | |
---|---|---|
目的 | 相手の考え方や価値観、経験などを深く掘り下げ、 それを第三者に伝えること | 業務に必要な情報を正確に収集し、 業務改善や提案に活用すること |
質問内容 | 事前に用意した質問をベースに、 体験談や感情を焦点を当てて話を引き出す | 質問内容をあらかじめ用意しつつも、 対話形式で話し手から目的達成のための情報を引き出す |
得られる情報 | 主観的な情報 | 客観的な情報 |
アウトプット | 記事やメディアとして社内外に発信される | 業務改善や提案、資料作成などに使われ、 外部への発信を前提としない |
インタビューの活用シーン例
広報・メディア
インタビューがよく活用されるのは、企業や人物の取り組みを紹介する広報誌や社内報、Webコンテンツなどの作成時です。
例えば、部署のリーダーがどのような思いでプロジェクトを推進しているのか、社員がどのような経緯でキャリアを築いてきたのか、といった個人のストーリーや思いを引き出すためにインタビューが行われます。
採用活動
社外向けの採用ページにおいても、組織の魅力や考え方、価値観を伝える手段として、社員インタビューが多く活用されています。
単なる企業紹介文よりも、企業への理解が深まるとともに、職場の雰囲気や業務内容をより具体的にイメージしやすくなるため、ミスマッチの防止にもつながります。
事例紹介
Webサイトなどに掲載される事例紹介コンテンツでは、「お客様の声」を紹介する手法としてインタビューが効果的です。導入企業や利用者へのインタビューを通して、活用の具体例や満足しているポイントを、実際の言葉で伝えることができます。
こうしたインタビューによる生の声や具体的なエピソードを掲載することで、サービスの魅力により一層説得力が生まれ、信頼感を与えることができます。
ヒアリングの活用シーン例
顧客ニーズの把握
ヒアリングは、顧客のニーズや課題を把握する手法として多く用いられます。
例えば、営業活動では、提案前に顧客の業務内容や困りごとを詳しく把握するためにヒアリングが欠かせません。マーケティングにおいても、顧客の潜在的なニーズを探るためにヒアリングが行われます。
業務・サービスの改善
業務やサービスの改善のために、現場の声を収集する場面でもヒアリングが活用されます。
例えば、マニュアル作成時の業務内容の聞き取りや、担当者からの要望・不満などを通して、業務の実態を把握します。こうしたヒアリングによって、課題が洗い出され、業務改善に活かすことができます。
▼マニュアル作成におけるヒアリングの進め方は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
インタビュー・ヒアリング実施時のポイント
インタビューやヒアリングを効果的に行うためには、それぞれの目的や特性に応じた工夫が欠かせません。ここでは、インタビューとヒアリングそれぞれのポイントに加え、共通して意識しておきたい点についてご紹介します。
インタビューのポイント
インタビューにおいては、相手の経験や考えを深く掘り下げ、読者に伝わるストーリーを引き出すことが重要です。そのためには、事前のリサーチが欠かせません。相手のプロフィールや過去の活動内容、関連するトピックスについてあらかじめ調べておくことで、質問の幅が広がり、相手の話への理解や共感も深まります。
質問の仕方も重要なポイントです。例えば、「どうしてそう思ったのか」「そこからどんな気づきを得たのか」といったオープンクエスチョンを意識することで、相手が自由に話しやすくなり、自然な話の流れが生まれます。
ヒアリングのポイント
ヒアリングは、業務上のニーズや課題などを正確に把握することが目的です。そのためには、体系的かつ具体的な質問を投げかけることが重要です。
「どのような情報が必要か」「何を確認すべきか」を事前に整理し、チェックリストや質問項目を準備しておくことで、聞き漏れや認識のズレを防ぐことができます。
共通して意識したいポイント
インタビューとヒアリングは、目的や進め方に違いはありますが、「相手の話を丁寧に聞く姿勢」はどちらにも共通して必要です。聞き手は話しすぎないように注意しつつ、適度な相づちやリアクションで、相手がリラックスして話せる雰囲気を作ることが、質の高いインタビューやヒアリングにつながります。
また、会話の導入では、アイスブレイクや雑談などを挟み、緊張をほぐす工夫も効果的です。自然な対話の流れを作ることで、相手の本音や本質的な情報を引き出しやすくなります。
さらに、どちらの場合も「なぜこの話を聞くのか」という目的意識を持って臨むことが重要です。ゴールが明確であれば、話の方向性もブレにくく、相手の発言からより深い気づきを得ることができます。
まとめ
今回は、インタビューとヒアリングの違いについてご紹介しました。
インタビューとヒアリングは、どちらも「相手から話を聞く」という手法ですが、目的や聞き方、活用方法にはそれぞれ違いがあります。
聞き手としての役割を意識し、それぞれの手法を適切に使い分けることで、より効果的な情報収集が可能になります。ぜひ参考にしてみてください。
